バモスミサイル、発進せず

一昨日の日記を「詳細は明日」で締めながら、昨日はYO-ENさんの快挙に浮かれてすっかりすっ飛ばしてしまった。

一昨日は「タクシーで出かけタクシーで戻る」豪勢な外出をしたのである。

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病院に大腸の検査に行ったのだ。内視鏡検査。

というのは2021年１月。ブログには書かなかったけど僕は大腸ホリープの除去手術を受けた。

前日はまるで宇宙食のような特別食を食べ、

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旅行ができない身体になってもう使わないだろうと思っていたボストンバッグを持って一泊入院をした。

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その時は大小６個のポリープを除去して「３年後に検査を受けてください」と言われての、今回の検査だったのだ。

注意書きに「自動車、バイク、自転車で来ないでください」とある。検査に鎮静剤を使うので、帰途その薬効が残っていて危険ということらしい。そんな大げさなとも思ったが従って、タクシーで行ったのだ。

午前中はひたすらこの薬剤を呑む。なかなかつらい。

来月、原画展を開催させていただく『焼けあとのちかい』の原点ともいうべき半藤一利先生の『15歳の東京大空襲』を読みながらじっくり腰を据えて。

一昨日の「内視鏡センター」は結構空いていて、前室では80代のご婦人と二人だけ。彼女は3年前の僕と同じでこのあと手術が控えているそうで、しきりに不安を訴えてくるので

「寝ている間に終わるから大丈夫ですよ」

となだめた。

午後一で不織布の「貫頭衣」に着替えて処置室に入った。ドクターは3年前と同じ先生。大好きな俳優・大人計画の正名僕蔵似なので忘れられない。

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いや「似」を越えてるな。ほぼ同じ容貌。顔も体型も髪型も同じ。メガネまで同じなのはもしかしたら「寄せて」いるのかもしれない。

3年前は手術の前に「ではトマツさん、頑張りましょう」と声をかけられて逆に不安になったのを覚えている。「えー? 頑張らなくちゃいけないんですかぁ」と。

隣りのブースからは、一足先に処置室に入ったかのご婦人の痛みを訴える声が聞こえてきた。今頃「だんなさんの嘘つき、痛くないって言ったのに」と恨んでいるかもしれない。

そう、彼女は僕に呼びかけるのに「だんなさん」と言ってきたのだ。「だんなさんは3年前はどうでしたか」と。なるほどなぁ。中年以上の女性につい「奥さん…」と呼びかけそうにになって「いかんいかん」と思いつつなんて呼び掛けていいのかわからずに「あのー」とかでごまかしているけど、逆も難しいよななぁ。

そして僕。ナースの「では点滴に鎮静剤を入れますね」の声までは覚えているのだけどそのまま寝落ち。おなじくナースの「はい、お疲れ様でした」の声で目が覚めた。

ベッドで一時間近く休憩して釈放。着替えて会計を済ませて帰った。なんだこれなら車でも全然大丈夫じゃん。

と思ったんだけどとんでもない。最寄りの中河原駅まで歩いて駅で客待ちのタクシーに乗って帰ったのだけど…。記憶があやふやなのだ。タクシーに乗る前に。駅前のスーパー「ライフ」に寄ったのはなんとなく覚えているのだけど、なんのためにライフに行ったかライフの中で何を見たかは思い出せず、タクシーがどういうルートを走ったかも記憶にないのだ。帰った後はそのままソファーに倒れ込み、夕食まで眠ってしまった。

明らかにクスリが残っていた。もしあれで運転していたら「バモスミサイル」発進となっていただろう。僕は人より麻酔が効くタチなんだなぁ、きっと。

唯一の食事である夕食を食べた後はどうにかすっきりして一昨日の日記を書いた。

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そして今日は朝一番で検査結果を聞きに行った。

結論から言うと「新しいポリープはあるものの癌化の可能性は低く除去する必要はない」との診断。そして「3年後にまた検査にいらっしゃい」と。どうやら僕はポリープができやすい体質みたいなので「なにか普段の生活で気を付けることありますか」と聞いたら僕蔵先生ニコッと笑って、

「なーんもありませ～～ん」

そして今日の請求額は230円だった。