明日への轍 -24ページ目

明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

今日も引き続いて炎症が治まらない。
食止めにして点滴及び抗生剤の投与を続けている。
熱は、朝方に37度7程もあったが、次第に下がって夕方には36度半ば位になった。
だが、ドレーンの挿入部辺りが赤く腫れているようである。
痛みも継続している。

午後からは抗生剤の量を増やして点滴を続けるとしている。
この炎症が収まれば、当初の予定通りにドレーンを抜いて食事が始まるはずであるから
今は兎に角気長に待とう。
自然治癒でも抗生剤によるものでもいずれ炎症は治まるとは思うが...。

抗生物質は「ゾシン静注用」。
適応症は「敗血症、肺炎、腎盂腎炎、複雑性膀胱炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎」
現在、点滴で投与しているが、三日目になる。
急激には回復しないのであろうか。

お腹については、以前は咳やくしゃみをすると強烈に痛かったし、笑っても同様だった。
でも、今日現在で言えば、これらについては何ら痛みはなくなった。
それだけ手術による直接の痛みはだいぶ治まってきたものと思われる。
しかし、このドレーン周辺の痛みと炎症は継続している。

朝の採血による結果でもやはり炎症反応が出ているとの事である。
何時になれば炎症が治まるのか。

今日は予定ではお腹にある仙骨前面ドレーンを外す予定だった。
だが、二日前からどうもドレーンがあるあたりのお腹が痛い。
鈍よりと言うよりもキリっと言う感じの痛みである。

痛み止めのロキソニンを飲んでいるが、あまり効いているような気がしない。
動かなかったり寝ていたりすれば、そうでもないが、どうも動くと痛くなる。
本日の回診で主治医にそれを訴えたところ、検査を追加しましょうと言うこととなた。
造影剤使用によるCT撮影である。以前手術前の検査でも同様の検査をした。
よって、お昼は食止めである。検査は午後か。

昨日の主治医の説明ではこのまま行けば28日(水)が早い場合の退院予定日だったが様子が変わってきた。

夜に主治医の説明あり、内容は次のとおり
採血及びCT検査の結果、ドレーンがある仙骨周辺が炎症を起こしている可能性あり。
大腸そのものについては炎症を起こしているかどうかは不明。
どうしても人間の体は異物(ドレーン等)が進入してくると炎症を起こしやすい。それが原
因かどうか判断するために食事を止めて抗生剤を投与して様子を見たい。
それで炎症が治まってくれば問題はない。

ドレーンは抜くのは簡単だが、入れるのは容易ではない。
一番怖いのは縫合不全を起こしている場合だが、それを確認する重要な装置がこのドレーン
である。よって、最終的に炎症が収まって縫合不全を起していないと確認できてから外したい。
現在のところ、縫合不全を疑わせるような排出液などはなく、縫合不全は考えにくい。
よって、抗生剤の効果を確かめるために食止めとし、炎症が収まるのを待ちたい。
慎重を期してじっくり対処していきたいので、退院等はもう少し延びると考えてほしい。

まあ、元々全てお任せであり慎重に対処を考えて貰っている以上なにも言うことはない
指示通りにじっくり行こう。
手術の為に入院してから二回目の日曜日である。
天気は朝から良い。
こんな日は今までなら間違いなく出かけていた。
残念だけれども、今までの不摂生を反省する機会なのかもしれない。

今日の朝も「流動食」だった。
看護師からは「今日のお昼から三部粥ですね。」と言われた。


午前10時主治医と他の医師が回診に来た。
お腹の傷を見た後、肛門のドレーンを外すことを告げられた。
やはり、尿道のそれと違って肛門の場合は医師が処置するのだろう。
横になってお尻を突き出した状態で居ると糸を切る音が聞こえた。
それから力を抜くよう指示されて直ぐにドレーンが抜かれた。
正直言ってホッとした。 
本当は抜いたドレーンを見せてほしかったが、言うのを止めた。

それから主治医から次のように言われた。
「順調に回復してきていますので、来週の水曜日位に退院ですね。」

嬉しかった。
自分としては手術から最低でも二週間は掛かると考えていた。
仮に水曜日だとすると手術日から数えて10日目、入院した日から数えて13日目
に退院することとなる。

肛門のドレーンが外れたことにより非常に身軽になった。
ベッドに居る必要はない。座って楽な姿勢でネットも出来る。

お昼には三部粥が出た。
その前より若干だが米粒の形があった。

メニューは
1 三部粥
2 鶏すり流し汁
3 塩焼き
4 醤油 5ml
5 含め煮
6 梅干し

美味しく頂いた。

その後、直ぐにトイレに行ってみた。無事におならと排便があった。
再び自分の肛門からでた便である。
しょうもないことだが、正直嬉しかった。
私の直腸は癌に侵された部分を切除して再び元の大腸と吻合された。



今日は土曜日、週末なので外来等はなく人気の少ない病院だ。
午前中にレントゲン検査があった。
いつもの場所ではなく緊急用レントゲン室での検査だ。

今日のお昼から食事が再開された。勿論メニューは「流動食」

1 重湯 150
2 P塩 0.3g
3 味噌汁(流)
4 カスタード
5 アイスクリーム

重湯と言う物を初めて食べた。いや食べると言うより流し込んだ。
味噌汁にしても具のない汁である。 メニューに(流)と追記してあった。
カスタードはコーンスープのようなもので温かくて割といけた。
アイスクリームは流石に美味しかった。

夕飯もやはり「流動食」だ。 大腸のためであるから仕方がない。
それでも順調に進歩している感じだ。

朝からお腹が少し痛むため、ペンタジンを点滴追加した。
本来ならば薬に頼らない方が良いのかも知れない。
でも、何せお腹が痛いと体を動かそうと言う気にもなれない。
それなら、痛さを我慢せず薬で誤魔化してでも動いたほうが大腸には良いかも。
午後からは経口の痛み止め(ロキソプロフェン)を処方してもらった。
何でも強い薬で、胃薬(ムコスタ)と同時服用して間を6時間明ける様指示された。

それにしても肛門のドレーンは煩わしい。
通常の姿勢では自分で見えない。トイレでパッドを交換するときに尻を拭く過程でなんとなく判る。

一体どんな形で肛門に収まっているのか、形状も含めて興味があったのでデジカメで撮って見た。
想像ではチューブ状だと思ったが、違っていた。
形としては、3㎝程に切った細めのストローを7本を横一列に貼り付けたような形状をしていた。
見ようによってはパイプオルガンのパイプの一部のような・・・天と地ほどの差があるが・・・。

肛門のドレーンは黒い糸で肛門付近に縫い付けられていた。
材質は判らないが、そのまま座っても痛いことはないので、柔らかい素材なのだろう。
一見すると何の罰かと思える状況である。

肛門内に挿入されている部分はどんな形なんだろう。
全体の形状(画像)をネットで探そうとしたが、「経肛門ドレーン」で探しても見つからなかった。

主治医の話では日曜日あたりに肛門の管を抜くような事を言っていた様な気がしていた。
素人考えでも排出されるものがあの形を通る必要があるから、外されるのはもう間近なのであろう。

明日に期待しよう。
昨夜はやはりよく眠れなかった。
お腹の痛みは薬のお陰で抑えられていることから、それが原因ではない。
腰の痛みも和らいだ。布団を柔らかい物に変えてもらった事も良かった。
でも、やはり日中に良く動いていた事が良かったのだろう。
眠れないのは枕が違うからか環境が違うからか。
慣れれば大丈夫だろう、いや慣れるほどは居たくない。


背中に付いていた管は手術に際して麻酔をした時のものである。
手術後はアナペイン(鎮痛薬)を入れていた。
手術後の激しい疼痛を抑えるために用いられる鎮痛薬で、脊髄と脊髄の間にある硬膜外腔に
投与(硬膜外麻酔)されるらしい。

この背中の管は午前中に外された。針金のような形状に見えた。
この針は医師にしか処置(抜く)できないらしい。

そして、煩わしかった尿道に入れられていた管も抜いてもらった。
尿道と肛門に入れられた管は数ある管の中でも1・2位を争うぐらい嫌なものだ。
これを入れられている間は、急所を握られて何もできない、敗北感で一杯の管である。
尿道の管はクリーム色の直径5㍉位のものだった。
抜くときにやはり痛いのかと思ったが、違和感だけで痛くはなかった。


肛門の管は肛門から数センチ出ている。経肛門ドレーンと言うのかな。
尿道の管のようにそこから排出された量等を計ったり目視したりする訳ではないらしい。
肛門は残してあるわけだが、手術により大腸を切ったり吻合したりしているから、直ぐに従来
どおりに働くという訳にも行かないようだ。
簡単に言えば、従来通りに働くまでの間に管を通して排便できるように一時的な補助の役割かな。
縫合不全を防ぐためでもあるらしい。まあ、こんな単純なものではないだろうが・・・。

当然の事に管なので自分でコントロールできない。言わば垂れ流し状態である。
だから、時々お尻が冷たく感じるようになると尿パッドが汚れている。
手術後3日までは看護士に体を拭いてもらう時に尿パッドを交換してもらっていたが、自分で歩ける
ようになってからはトイレで自分でウォシュレットで尻を洗い交換している。
汚れたなというのが判るので直ぐに交換できるから良い。

肛門の管が付いていると座るときにドーナツ座布団が無いと座りにくい。
妊婦か痔の患者の話で聞いたことがあるが、大腸手術で使うとは思わなかった。
この肛門の管は明後日位に外される見込み。
そして、その翌日にはお腹の管(仙骨前面ドレーン)も外れると思われる。

今日、手術後初めて水を飲むことが出来た。
500㍉位まで冷たくないものを一日かけてゆっくり飲んでくださいとの指示だった。
本来なら、ビールのように冷たくして一気に飲みたいところだが・・・。
午後には洗髪をした。長い髪ではないが、やはりさっぱりするものだ。
そしてお腹の痛み止め(ペンタジン)を点滴追加してもらった。

今日は、相撲の白鵬が33回目の優勝を果たし、サッカーはアジア杯の敗戦が決まったようだ。
もう少しだったのに残念だった。