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明日への轍

齢五十を過ぎて、ある日大腸がんが見つかる。
手術から回復したと思った一年後、肝臓と肺へがんが転移。
更に続くがんとの付き合いを記録します。

久しぶりの大腸外科のN先生の診察だった。

週前半の火曜日に採血と肝胆膵外科の先生の診察もあり、本日の検査はなし。

N医師からは今後の検査の予定について説明があった。

 

採血は2~3か月毎

CT検査は半年毎に

大腸の内視鏡検査は一年毎に

 

今後、要観察の期間はどの位かと聞いてみたが、まあ五年ぐらいでしょうかと言われた。

それ以上でも癌の発生が全くなくなるわけではないが、概ねの目安らしい。

よく五年生存率と言う基準が癌のサイトに登場するのはわかる。

 

今回も腫瘍マーカーの数値が基準値内であり心配ないですねと言う事だった。

腫瘍マーカーは三種類

 

1 CEA(癌胎児性抗原)    基準値0.0-5.0   今回の数値は 1.3

2 CA19-9            基準値.0.0-37.0  今回の数値は 6

3 血清中抗P53抗体      基準値0.0-1.3   今回の数値は 0.4

 

P53抗体は大腸がんのN医師が追加で検査したものらしい。

 

「新たに承認されたp53抗体では、がん細胞をもつ人の体内だけに作られる抗体を測るというもので、その陽性率は、0-Ⅰ期30~40%、Ⅱ期 40%、Ⅲ期も40%、Ⅳ期は30%台となっており、特に、早期がんに対しては従来の腫瘍マーカーの約10倍と格段に成績が向上しています。

p53抗体と従来のマーカーと組み合わせることで、血液検査だけでも50%ぐらいの確率でがんの疑いが判別できると期待されています。また、患者の予後を予測する際や、治療前後にモニタリングも行う際にも有用とされています。」(腫瘍マーカー.comより)

 

これらを組み合わせて検査を継続して新たな癌の発生を早期に発見して対処する、必要であれば手術等も行う。

既に三回の手術を経験した身である。だからと言って平気なわけではない。

でも、まだまだやりたいことは一杯ある。

必ず完治する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久しぶりに呼吸器外科のK医師の診察があった。
事前にレントゲンの検査も
結果から言えば、特に問題ないですね。と言う事だった。

特に気になることはと聞かれた。

気になることは、右腕の痛みである。
実は、一か月以上前から右肩が上がらない、ひねると痛い。夜に寝ているときも痛くて寝返りをしても痛い。
五十肩の症状だろうと思っているが、心配なこともある。

大腸がんの骨への転移である。確率は低いが骨への転移はあるようだ。
医者でもないので自分のこの痛みの原因がわからない。
勿論、整形外科で見てもらおうとは考えているが。

K医師は詳しく見てみないと判らないものの、骨への転移の確率は低いと思われると言われた。
飽くまで断定はできないが・・・。

それにしても、体に部分的にでも痛みがあり、それが継続すると辛いものである。
五十肩であれば、痛みの期間は数か月で引くようだ。
そうなれば、不安も解消されるであろう。

呼吸器外科の担当医としては、手術後の経過も順調であり、定期的に診察をする必要もないので、一旦は肺に関しては完治したものとして、以降は何らかの必要があれば診察するというものであった。
それはそれで、よい結果であった。

久しぶりに大腸癌手術の時の主治医の診察があった。
大腸癌が転移した肝臓と肺の手術を終えて、今後の治療方針を考えるためである。

最初に自身の体調と術後の様子はどうかと聞かれたが、特に問題となるようなことはない。
それに術後の採血やレントゲン撮影に結果も良好であることを肝臓や肺の担当医師から聞いている。
勿論、主治医もそれらの結果は見ているはずである.

今後の抗がん剤等の治療についての話となったが、結論から言えば直ぐに抗がん剤等をやらずに経過観察をしましょうと言う事になった。

大腸がんの手術時は、リンパ節まで転移があるためそれも切除して、抗がん剤の服用を始めた。
これに関しては抗がん剤服用の効能があるという判断で投与したが、今回のように他の臓器へ転移した後の抗がん剤の使用に関しては効能に関して決め手となる判断がないらしい。
それでも、何もしないよりはと抗がん剤を投与することもできるが、医師としてそれはお勧めしないと言う事である。
抗がん剤は効能ばかりではなく、反対に正常な組織に悪影響を及ぼす可能性もある。
だから、やたらめったらと使えばよいというものでもない。
いろいろと説明されたが、要約するとそういう事らしい。

まあ、自分としては医師の判断を信じて指示通りに治療をするつもりでおり、今回の判断も信頼する主治医の慎重な判断であると思えば納得できる。
願わくば、これで腫瘍は取り切って残っていない。そして血管を通じて転移した大腸がんの「芽」も他の臓器で発芽することなく消えて行ってくれた。そうであった欲しいものだ。

8月に肝臓の主治医の診察、9月に肺の主治医の診察がある。それと前後するように大腸の主治医の診察も受ける。
それぞれの診察は採血とCT、レントゲン等の検査結果も含めて経過観察すると言う事になりそうだ。

今日は、退院後9日目である。
呼吸器外科のK医師の診察があった。それと同時に採血と肺のレントゲン撮影も。

体調と傷口の痛みについて聞かれた。
体調は頗る良い。非常に元気。食欲もある。ラジオ体操もしている。
傷口は寝返りを打つと傷の部分が少々痛い程度。それと、今日まで傷口を縛る糸があったので、違和感があった。
K医師によれば、少々傷口の部分がかぶれを起こしているようだとの事。
それに傷口の内部は既に閉じているが、表面部分が少し口が開いているとの事。
どうりで痛いわけだ。
絆創膏だと被れることもあるので、ガーゼを大きめに当てて分泌液を吸収する方が良いと説明された。

当初は本日に抜糸をして、風呂につかることができるかと思っていたが、次回の診察までお預けとなった。
仕方がない。

採血の結果は、非常に順調であった。
特に以前はγ-GTPが基準値の三倍あったが、基準値内に収まっている。
やはり酒を断っているのが大きいようだ。

四月当初からほとんど飲んでいない。今まで退院時に缶ビールを一缶だけ飲んだぐらいである。
結局、最初の喉越しの一杯があればそれで良い訳で、必ずしも「アルコールがなければ」と言う訳ではない事が判った。よって、ノンアルコールビール(炭酸飲料の表示)を飲んでいるが、今では全然平気になってしまった。

大腸癌の主治医の再診予約を取った。
当初は三か月先まで予約が一杯ですと言われたが、直接に主治医に連絡して貰って、7月8日で予約をして貰った。 
週に一度の金曜日だけの診察のため仕方がないが、配慮をして貰ったようでありがたい。

とりあえず現段階で表面化した癌は切除できた。
血管を通じて、更に腫瘍が転移して表面化する可能性は否定できない。
でも、早期に発見して、小さいうちに其の芽を摘むしかない。
原発性の大腸癌部分は削除したのだから、癌の供給源は断った。後は残党の始末だけと思いたい。

6月14日に予定通り退院した。

今回の肺がん手術では8日(水)入院、10日(金)に手術、そして14日(火)に退院と一週間だった。

これが胸腔鏡による部分切除の肺がん手術である。



K医師からも説明があったが、部分切除の場合は割合軽い手術で終わる場合が多いとの事だった。

しかも、肺がんの場合は大部分の手術を胸腔鏡で行うそうで、その分患者の負担は非常に少ない。

以前の開胸手術では脇の下あたりを30cm程度と大きく切って、しかもろっ骨も切ってしか手術できなかったようだ。でも、最近は開胸手術でも傷は15cm程で、肋骨を切らない場合もあるようだ。

やはり技術は進歩しているということだろう。



自分の場合は更に大腸癌が転移したもの(腫瘍は16㎜で1個)であったために、下葉全体を切除する必要性もなかった。

当初から予想されていたことではあるが、それでも原発性の肺がんではなかったことに安堵した。



やっと、二つ目の山を超えたことになる。連休前からの入院・手術と退院、そして自宅休養を経て今回の入退院である。入院日数だけを比べれば、大腸癌20日、肝臓癌13日、肺癌7日と言う事になる。

これらの日数は術後の状況などによっても大きく影響されるものであろうし、連休などの日程によっても変わってくるものである。だが、いずれの手術も腹腔鏡や胸腔鏡による手術だったため、概して短かった。