「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

日本戻って間も無く「ワシントンDCでお世話になった会社から、仕事の誘いが」

 

「サラリーマン職人」家族は生活の安定を考えて賛成。

 

俺のような風来坊生活に、不安を感じていたのだろう。

「迷った」「束縛と引換えの安定」「自分の今までに否定していないのか」

家族への安定は俺の我慢で相殺が出来る「自分を取り巻く人達への配慮」

当分の間は俺自身の心との葛藤となるが、家族を守る為「自分を殺してやってみよう」

但し「子供が社会に出た時に自分に戻る」そう自分に言い聞かせその会社に入る事にした。

 

全く人生間感の違う人達との仕事の関係は「我慢の連続」

「職人は口は悪いが腹はいい」この会社の人間達は口では上手い事を言うが、何を考えているのか解らない。

「怖い人間達だ」俺のような人間とは吸う空気が違う。

「信用出来ない」「我慢、我慢、早く子供が大きくならないかな、自分に戻りたい」

「あの世界を旅した事を無駄にしたくない」「俺はあきらめない」

「人生って、自分が楽しくなければ人生じゃない」そして俺はその日が来るまで自分を捨てた。

 

俺は元の姿に戻る時が来た。

 

「なんの未練もない」生活の為だけの時間潰しだった。

本当にろくでもない人間達がいた「人の足を引っ張る事が趣味みたいな奴ら」

少しでも仕事が上手く行きそうになると、便乗したふりをして潰しにかかる。

「つまらない顔をした人間達ども、さよならだ」

 

「自由な時間を取り戻す」何年かはサラリーマン時代の垢落としをする。

 

そして「自分がやりたかった事もう一度考える」「それが、海外なのか日本なのか」

 

「バカブンドな時間の始まりだ」チャオ 俺、アディオ 我慢した時間。

いつもの朝、俺はブラジル人のカマラーダと一緒に畑に向かった。

 

初夏を迎えるこの季節、朝もやで赤いバラは神秘に見える。

 

香りは「何て言うのか、芳潤で清々しい」

 

その時、カマラーダの一人の若い奴が何か叫んでいる。

 

彼の方に行くと「クイダード、クイダード」

俺は彼に「ケ コイザ」

彼は指を指して、又 「クイダード」と叫んだ。

 

俺は指の先を見た「何かいるのかな」「変な音がする」

シャリシャリシャリ 俺にそう聞こえる。

「クイダード アキ」又 彼が叫んだ。

 

俺の足元の所に、小さな黒い蛇がとぐろ巻いていた。

俺はその蛇が余り大きくないので、捕まえ様と手を伸ばした。

「ノー ノー クイダード!!」彼が大声で叫んだ。

 

その時、その蛇が飛んで俺の方に来た「あー」

「一瞬の事」何とか避ける事が出来た「プッシャビーダ」

この蛇は鈴蛇と言い毒蛇だ「助かった」

 

でも、怖い事より「あの朝もやの赤いバラの方が思い出」

 

「不思議だな、色と香りが今でも消えない」

 

 

店の前は、ポトマック川でヨットハーバーがあった「高級な場所だ」

 

店はそれなりに起動に乗り夏がやって来た。

 

ある日、突然に社長が日本からやって来て「全員を集めてミーティング」

「飛行機に食事を提供する仕事を始める」新しいビジネスの事を説明した。

我々は反対する必要もないが「どうやるのか、人の件はどうするのか」質問が出た。

「現在の人員でやる」その上その責任者は俺。

レストランの方は、天ぷら屋の責任者中心でやると言う。

「初めからこれを考えていたのか」腹がたったが、その時は無表情のまま答えなかった。

 

家に戻り家内に話すと、彼女も話があると言う。

「子供が出来たの」「えっ、本当に」

「嬉しいけれど、これから大変になるけど」子供には罪はない。

女房にもその話をした「忙しくなるね、大丈夫」「子供、どうしようか」「日本で生もうか」

「ばか言え、俺はがんばるよ」俺はその仕事を始める事にした。

 

それから始まる過酷な日々は、想像も出来なかった。

 

その仕事は始まった。

 

昼は通常の営業がある為、我々の新しいビジネスチームは夜中の仕事だ。

内容は飛行機への和食の提供「メンバーは寿司職で親方と合わない奴」

「大学を出て寿司の見習いで、ドライバー兼務の二人」

「都合のいいように俺は使われたのだ」

ビジネスの相手は大企業だが、俺達は瓢箪から駒的な感じでの仕事。

「上手くいけばラッキー、駄目でも痛手が小さい」

 

夜中の仕事は思った以上に辛い、生活が真反対で家族との時間はすれ違い。

その上、年中無休でシフト勤務「責任は全て俺」「どうして、こんな仕事を受けたのかな」

生まれる子供と家族の事を考えると後には引けなかった。

 

「仕事は順調に進んだ」朝方に出来た食事を飛行場に届ける。

 

「飛行場までのフリーウェーは素晴らしい、それと終わった後でのビール」

「普通の人達はその時間に仕事に行く」小さな優越感が自分を支えた。

ある日、事件が起きた。