「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

今日の仕事が終わり、明日から7日間の休み。

 

今働いているのは、パリの小さな日本レストラン。

俺はここでバイト生活、そんな俺にも休みが来た。

「店が休店のおかげです」

 

同じバイト仲間と少し旅をする事にした。

 

夜の11時30分位で、マルセイユに向かう汽車に乗る。

 

ところが、急にもう一人も行きたいと言って来た。

 

汽車の時間に間に合わず、よく朝一番の汽車に変えた。

「当然、駅で酒盛りをして夜を明かした」

 

汽車の中では爆睡、気がついたらリヨンを過ぎていた。

 

着いたマルセイユで簡単なランチをして、バルセロナに向う。

 

汽車の中では陽気なスペイン人、ペラペラ うるさい。

「こう言う奴は危ない、スリが多いヨーロッパです」

 

そんな時間が過ぎて、バルセロナに着く。

 

古い石畳を歩き、サクラダファミリア向かいながらバールで飲み食い。

「美味しい 楽しい 笑いが一杯」

 

その日の内に、マドリードに向かい汽車に乗った。

 

まだまだ続く汽車の旅「マドリードは明日の朝」

冬の始まりの草津、朝と夜は可成り寒い。

 

この街に来て数ヶ月過ぎた「温泉はいいけど 狭い街だ」

 

働いているホテルには、色々な人達が流れ着く。

 

訳ありの人種は過去を話さない「昔話は聞いても嘘が殆ど」

 

東京からの派遣で来た俺は、期間限定の仕事で気楽だが「朝が早いのがきつい」

 

夜は仕事上がり早いので、温泉と酒の毎晩「その時の話が嘘と本当のてんこ盛り」

 

ある日、少し仲良くなった板前と昼飯時の事、見かけない若い中居が一人で食事してる。

 

板前の彼が「いい女だな なんか影あり気になる」「声かけてみたら」「え〜 ちょっとな」

 

「夜の酒飲みでも誘ったら」「行ってみますか」彼はそっとそばに近づいて行った。

 

「ダメ 全然話しならないよ、無視だよ」「ぶっきら棒に声かけたからじゃないの」

 

「じゃ行ってみてよ」「まっ その内ね」俺はそこまで興味が無いので、話の相槌程度。

 

何日だったか、通路で彼女とすれ違った時「お疲れ様」と言って来た「あっ お疲れ」と返した。

 

「どう仕事慣れた」「少しは慣れたけど 未だ疲れる」「その内慣れるよ 気楽にね」

 

「ありがとうございます」俺は背を向けて歩き始めた「もう仕事は上がりですか」

 

「そうだけど」「お茶しません」「えっ 俺と」「東京から来ているでしょ 私も同じ」

 

「どうして解るの」「言葉使いで解りますよ」湯畑のそばの店で待ち合わせる事になった。

 

板前の彼には黙って合う事にした「何か話したいのかな」

 

先に彼女が来ていた「中居の姿とは違い、若い女子って感じ」「ごめん 待った」

 

「うん〜ん 全然 寒いね」「そうだね 暖かい物食べようか」「お茶じゃなくてもいい」

 

「もちろんよ それと熱燗もね」結構気さくな感じでいい。

 

酒も進み、何となく過去話「東京でOLしていたの、失恋して流れて来た」

 

「何で俺に声かけたの」「食堂での話しが楽しいそうだから」「東京の人の方が話やすいので」

 

「中居さんの中にもいるでしょ」「ここの女は曲者だらけ だから怖い」

 

話も合うので時間が過ぎるのが早い「明日も朝が早いので帰ろ」「そうね帰ろうか 楽しかった」

 

「ねえ 又付き合ってもらってもいい」「いいけど 変に噂されても大丈夫」

 

「ここに真ともな人もいないから大丈夫、ねえ いつまで草津にいるの」「雪が降る前まで位かな」

 

「それまで よろしくお願いしてもいい」「何がよろしく?」「それは又次の時ね」

 

そんな感じで話し友達の様な時間が動き始めた。

 

草津で季節の変わり目を、彼女とドラマみたいな時間で迎える事になるとは。

再びパリ、一年ぶりでシャンゼリゼを歩いた「なんか ただいまだかな」

 

前にバイトしていた店に顔出した「あら 久しぶりね」店の女将が声をかけてくれた。

 

「又 バイトしたいですが」「真面目にやってね 直ぐに辞めない事 守るならいいわよ」

 

「はい 守ります」着いて直ぐにパリ生活に目処がついた。

 

前にいた人達とは結構変わっていた「俺の仕事は変わらずの、揚げ物係」

 

それと、週二回の朝早くの市場への買出し「これは前にはなかったがしょうがない」

 

ある日、新しい表のサービスメンバーに、日本から女性が来た「見た目が地方の子みたい」

 

「よろしくお願いします」一人一人に挨拶して来た「お願いします」俺も挨拶を返した。

 

特に気にする事なく1ヶ月が過ぎた。今度はアメリカ人の女性がサービスメンバーに加入して来た。

 

この女性はモデル並み美人で長身、日本語も出来る「ねえ お茶でも一緒しない」「いいよ」

 

店の表で彼女を待っていたが出てこない。そこに先月に来た女の子が「彼女なら帰りましたよ」

 

「え〜 お茶の約束してたのに」「残念でした ふふふ」笑われた「可笑しいですか」

 

「いいえ ごめんなさい」「ねえ よかったらお茶でもする」「身代わりですか」

「まあ そう言わないで」

 

行きつけの店でカフェを飲んだ。信州の出身だそうだ「話は弾まない」

 

そんなきっかけで何度かお茶したり、たまに酒を飲んだり「なんか近くなった感じ」

 

相変わらずの友達以上に意識はなかった。そんな時「ねえ 今日軽く飲まないですか」「いいよ」

 

「どうせ俺は暇だから」サンジェルマンの雰囲気いい店でワインを飲んだ。

 

「どう最近は店にもパリにも慣れた」「まだまだですよ」「まあ 来年になればもうベテランだよ」

 

「もう何年パリにいるの」「うんーん パリだけじゃないけど約二年はいるね」

 

「パリ以外は何処に」「あちらこちらヨーロッパを回って、バイトしたのはブリュッセルと

フランクフルト、ジュネーブとパリだけど」「え〜 凄いね」

 

「ヨーロッパの前はブラジルのリオとサンパウロで働いていたよ」「本当に凄いいんだね」

「大した事はないけど、歩いたな」

 

そんな話をしたけど、夜も遅くなったので「この続きは又にしよう」

 

この日から始まったような気がする「花のパリのラララが」