「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

「あの日 あの時 世界の街角で」バカブンド

ブラジル移民から世界放浪 若い頃にフラッシュバック
消せないアルバムの話。

初夏のパリは空気が変わり空は青くなる。

 

時間を重ねると、友達会話も近くなり「歳下でも、段々とタメ口になってるな」

 

嫌な時と気持ちいい時とあるけど「話しのテンポが今一のらないな」

 

信州の子は元気だ「ねえ 又 サンジェルマンでワインいいですね」「うん いいけど」

 

「この前の続きだけど、ブラジルの話を聞かせて」「じゃあ リオの海の話をしようかな」

 

ダラダラ話して内に遅くなったので「もう帰ろうか」「そうですね」

 

今まで知ってる子とは可成り違う「真面目で垢抜けない感じ」洒落が通じない。

 

それでも友達になっていく。

 

そんな時、店のバイトでソルボンヌ大学の学生がいた、彼女はフランス語を教わっている。

 

彼が、信州の子が好きになったみたいで「告白されたの」彼女が俺に言う。

 

「え〜 そうなんだ、それで」「うん〜 嬉しいけど 今はね」「私は後一年半で日本に帰るから」

 

「じゃあ 彼にちゃんと言わないと、それが大人の対応だよ」「わかった そうする」

 

こんな話の相談にのるなんて、俺もおじさんジャンルだな。

 

ある日、又 日本から新しいサービススタッフが来た「二十代後半かな」

 

少し気位が高く「挨拶が上からだ」。なんか嫌いなタイプの女性。

 

その人は信州の子とは仲良くなり「今日 三人でもいい」「いいけど 俺 大丈夫かな」

 

突然、気位の高い彼女が「ごめんなさい 今日はよろしくお願いします」

 

いざ三人で、サンジェルマンで飲んで会話してみると「なんか気さくな感じ」

 

「私し日本から逃げて来たの、好き男に振られて」「その人には奥さんがいたの」

 

奥の深い大人の話しになってきた「ついていけない」

 

「ねえ 彼と付き合ってるの」、信州の子と俺は同時に「友達」「えっ あはは」

 

「気づいてないね、友達以上にしか見えないよ」信州の子は黙ってしまった。

 

その日は雰囲気が変になりお開きに。

 

次の日、気位の高い昨日の彼女が「お昼 私に付き合ってください」「えっ 何」

 

「後で話すから」「わかった」

 

近くのカフェで彼女が「昨日はごめんなさい、少し飲み過ぎでペラペラと」

 

「信州の彼女はいい子、だから つい 口が軽くなって」

 

「でも 彼女はあなたの事は好きよ」「本当に 俺は旅人だよ、まさか」

 

「鈍いね でも 大事にしてね」なんかお説教された感じだ。

 

その夜、今度は信州の子が「お茶して帰ろう」声をかけてきた「昼の事が聞きたいんだな」

 

店の隣のカフェで会った「お昼 何の話したの」「昨日の話、軽口が過ぎたって」

 

「なんだったっけ」「お酒飲んでの話なんで、よくわからない」

 

季節が夏から秋に変わる、最高のパリの時がやってくる。

 

「人も景色も心地いい季節の始まり」俺の季節も変わりそう。

アボカド、初めて見たのはブラジル。

 

あちらこちらの木に大きな実がなっていた。

 

「切ってみると中は薄いグルーン」

「そのまま食べると変な味」

 

「レモンと砂糖をかけて混ぜて食べる」

「これが美味い、病みつきになる」

 

ブラジルではビタミナと言うジュースがある。

アボカドにリンゴ、バナナに牛乳に砂糖、氷を入れてミキサー。

「夏の暑い時に最高、濃厚なジュースだけど何杯でも飲める」

「あの味でブラジルに戻れるひと時の自分がいる」

 

「今でもアボカドの食べ方はブラジル式だ」

 

「もう行く事はないかも知れないが、味はフォエバー」

シャンゼリゼ通りの裏通り、ダルトア通り。

 

ここ通りの小さな和食レストラン、ここに若者が集まる。

 

毎日がドラマの様な青春物語、キャストも千差万別で男も女もだ。

 

ウェーター、フレンチのコック、美容師、ファッション関係、スキープレーヤー

絵描き、バックパーカー族等々。

 

「こんな時間は二度とない、真似も出来ない、お金じゃ買えない、最高の自慢だ」

「あの時の出来事を全部話してみたい」

 

ある日曜日にスキープレーヤーの車で、バックパーカー族、絵描きと自分、

パリ郊外にドライブした。

 

途中の道沿いにイチゴ狩りの畑があった。

 

スキープレーヤーが「イチゴが好きだから食べたい、絵描きも賛同」

皆んな金も無いのに「気楽な連中」「食べ放題だからお昼ご飯だ」

「食べた食べた」どの位食べただろう、そして 笑った笑った。

 

「何を話したかあの時間」青い空、一面のイチゴ畑

 

あの日のあの時間「忘れられない」出来るならタイムトラベルしたい。