この本は、タイトルはあざといけれど、高級機械式腕時計収集についての体験をできるだけ正直に書いた、立派な内容のものです。
テキトーに書き飛ばしたような文章だけど、でも結構緻密に計算して書いているようで、明らかにすることと隠すべきことを上手にわけているへん、好感が持てる。
隠している点で、俺が知りたいなーと思うのは以下の三点ね。
①第三章にでてくる阿漕なブランドは、どこだ!HOLY TRINITYの一つとキチンと書いてあるけれど、具体的にどれなのか、やっぱ気になる。XXXXなのかなー、やっぱり。
②本を売るためか、著者は「はじめに」で時計を買うために金を使いすぎて人間失格みたいになっているようなフンイキを醸しだしているけれど、時計売買の収支は実際にはどうなっているか。転売したときできるだけ損しないような時計を買っていると22ページ(電子版)にあるし、今持っているのは20本(113ページ)とあるので、新しい時計を買うために今持っているのを売った、ということがかなりあった筈なのだが、そこらへんについては書いていない。買うことだけでなく、売ることについても書いてあったら、収集家の体験談としてもっと価値があるものになったでしょう。
③著者は、本の中で自分のことをコミュ障のダメ男みたいによく言っているけど、31ページにはチャンと奥さんがいると書いてある。旦那が時計に狂った時、奥さんはどう反応したんでしょうね。
高級機械式腕時計を買うためには、多大なゼニが必要であるため、なかなかリアルな話がしにくい。この本は、できるだけのことをしてくれたわけで、とても貴重なものです。俺は諸般の事情で今時計からはリタイア状態なんだけど、この本を読んでいて、昔の時計収拾についての情熱を思いだしました。やっぱ、時計は楽しい!そのうち、この趣味に復帰したいなー、できることなら。どっとはらい。