ラストラブ -20ページ目

壊れゆく心

その頃から私は、不安感にさいなまれはじめた。
JUNからメールの返事がこないと不安になり、
HPに行くと不安になり、安定剤を飲むという毎日になっていた。


夫は相変らす、家に帰っては酒を飲んで暴れている。

もう逃げる場所は、彼のいるパソコンしかなかった。
夜を待ち、彼とパソコンで遅くまで話する。

こうなると夫の怒りは収まらない。


パソコンばかりして家事をしてないやろ


こっちから離婚してやる、慰謝料をとってやる


夫はそう怒鳴る。


毎晩のように響きわたる怒声と
物の壊れる音・・・・。
それは近所に響き渡るほどの大きなものだった。


だから、私の心の混乱と不安はJUNによるものだけでは
なかった。


そんな日々の中、季節は初夏から夏へと変わっていった。


JUNは、そんな私の不安を知り、苦しかったら

句(5・7・5)を詠んでここに投稿してと、
携帯用HPのアドレスを教えてくれた。


私は詩は書くけれど、句は詠んだ事がなかったが
不安を打ち消したい思いで句を考えた。


☆もうしない 本気の恋は つらいだけ

☆叶わない 恋ならいっそ 友達で

☆枯れた花 一輪さすは 君の窓

☆君思い 一晩泣いて 忘れたい

☆涙さえ出ない苦しみどうするの?


★色恋も 行動なしでは すすまない

★ふれてみて はじめてわかる 君の愛

★病さえ 吹き飛ぶ愛の 力かな

★珈琲の 香りの中に 浮かぶ君

★ぼんやりとするわたしでも 愛を知る


私の句作は7月16日で終わっていた。
あやめのブログの更新は7月19日で終わっている。

それが何を物語るのかは、記憶が切れたという証。


その頃も、彼からメールは来ていた。

JUNに逢うと心に決めていたので、彼と逢うことを
断り続けていたのだった。


けれど、次第に私の精神は崩壊をはじめていた。


当時の詩を見ればよくわかる。


あなたは

わたしを

気のふれた女と言い

君は

わたしを

妄想癖の女だと言う

どちらにしても

くるった女には

変わりはない


そして、何の苦しみもない世界に行きたいと
願っていた・・・


自由の国は

もしかして

この世界にないのかも

しれないね

がんじがらめに

縛られることなく

心のままに

ゆったりとした

時間を過ごすこと

それは

すこしの悲しみとの

引き換え切符なんだね


7月16日だったと思う。私は、彼と逢う約束をした。
(記憶が定かではないので・・)


彼と逢うのは、これが最後だと心に決めて・・・・。






苦しみの始まり

7月。その年はとんでもなく暑い夏だった。
JUNとネットで知り合って2か月。


彼は私の知らない世界を教えてくれた。

夜、家族が寝静まると、私はメッセンジャーを開き彼を待つ。
または、彼が私が来るのを待っていてくれた。


メッセの壁紙は、いつもハートのマーク。


すごいね~、こんなこともできるんだ。


私はただ驚くばかり・・・。


マイクで彼と話す。彼は詩を書く人とは
思えない、冗談の上手い人で
私はいつも笑っていた。


笑うことが、身体に良いと彼はいつも言っていた。
彼が話すには(ネットだけのお付き合いなので実際の彼は知りません)
バツイチで、仕事は一級建築士、愛していた彼女が
若くして亡くなったということ。

偶然にもその彼女と私の歳が一緒だったということ。
私はそんな彼の悲しい過去に同情し、また
私が彼女の変わりになれないけど、なにか力になれるのでは
ないか、そう思った。


その頃の私は、心理学にはまりカウンセラーアカデミーに
通っていた。よくある、うさんくさい、高額な受講料を取る
カウンセリング教室だったのだが。
そのせいか、私の中で何らかの方法で彼を癒せるのではないかと
自負していた。


私は彼のサイトによく行くようになり、そこのコミニティでも
私たちの仲は、知られる所なった。

でも彼は、そんなことは知らないように
相変らず、女性の詩人さんに愛の詩を書き込んでいる。
彼は、それはネットの言葉遊びの一貫に過ぎないという。


そんな中、私自身のHPのネット友、雫さん(仮名)のHPにも
彼は書き込みを初めていた。


どうして、そんな事を書くの?


そう私が尋ねると彼が言った。


彼女とは茶飲み友達だよ。

・・もちろんネット上のことだが。


彼は長年そのコミニティにいたので、あちこち女性のネット友がいた。
最初は彼の友人なので仕方がない、詩や返歌は彼のネットの楽しみだから
と思っていたが、だんだん、精神的に参ってきていた。


メッセでは、私に愛を語り、愛していると言うのに
HPでは、他の女性に愛を語る。

ネットなのに、次第に私の心は混乱を始める。


苦しい・・・心は悲鳴を上げ
体は、拒食になっていく。夜は眠れない。
ふらふらになっていく身体。
7月・・・私はかかりつけの医院で毎日ほど点滴を受けていた。


そして、家庭生活では家事をするものの、熱病にかかったように
なっているので、自分はしたつもりでも全くされていない。
まるで、なにか精神の病気にでもなったような私がいた。




予告?

失くした記憶



自分の過去を小説に書くと、一度や二度
あまり思い出したくない過去がある。
そしてそれを書くのを躊躇してしまう。


いまその状態なのだが、私の場合は少し違う。
書きたくても思い出せないのだ。
私には過去の記憶を数か月失っている。

人はショックを受けると、その記憶を消してしまう
そうだ。


失われた記憶をどうやって書くか・・・
それは当時の詩ブログ、掲示板を見て
少し残る記憶に付け足していくしかない・・・。


そういう理由で、事実とはかなり異なるものに
なるかもしれないので、関係者の方(読んでないと思うけど)
ご了承ください。


お話の続き、もうしばらくお待ちくださいね。


あやめ