元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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研司(坪内守さん)が、ひとり、携帯で電話を続けてます

 

でね、取り返そうとして、パチンコにも行ったんですよ。

 

えっ?違いますって。わたしね、パチンコは得意なんですよ。

もうね、釘なんかも、ちゃんと見ますしね。

 

でもぉ、最近のパチンコ、あれ、おかしいですよね。

絶対、裏でなんかやってると思うんですよ。

だって、10万勝った翌日に11万負けるんですから。

ね?おかしいでしょ、これは。

 

いや、だから、そうじゃなくて。

 

家族に?

妻に言えるわけないでしょう。だって、なんにも知らないんですから。

 

えー、えー。それで、金貸しやに行きまして。

 

返済するために、また借金をして・・

 

 

 

金が必要なの!37万円。明日までに利息分の37万円支払わないと、

350万円の強制執行が来ちゃうんだよ。

 

そしたら、妻のパート先にも行っちゃうでしょ。困るんですよ。

妻はなにも知らないんですから。

 

今持ってる金ですか?・・2万

 

 

弁護士に?あんた、なに言ってんだよ!

 

とにかく、金、金、金

 

 

 

あれ?

 

 

切った?

 

くっそー、電話、切りやがった

 

 

あー

 

大の字に寝転がり

 

子供の怪我、親の病気、妻が作った秘密の借金

 

いろんなこと言って、金借りてきたけど、

もう、ダメだ。誰も貸してくれない。

誰からいくら借りたかも、分からない。

 

あー

 

あああー

 

ああああああーーー

 

 

暗転

 

 

♪(コーラス)あー

 

オルガン 半音上がって

 

♪(コーラス)あー

 

はーい、いいでしょう

 

それじゃ、最後、テノールさん

 

オルガンを弾いている立花先生(松岡美結さん)に近い方から

 

小園(山田諭さん)、自称リーダーの田沼(新晟聡さん)、丸山(仲田育史さん)

 

♪(オルガン)

あー

あー

あー

 

はい、ちょっと違いますね。ピアノの音をよく聴いて

 

田沼が小園に「ちょっと、ハズレてるかな」

 

小園「え?そう?」

 

♪(オルガン)

あー

あー

あー

 

はい、

 

田沼が「丸山さんも、ちょっと」

「あっ、すみません」

「大丈夫ですよ、最初は、そういうもんです。ガンバリましょ」

巨人の原・元監督のように、両手をグーにして、丸山にィエィとグータッチ

 

すると、たまらず合唱経験者の丸山綾子(泉田珠華さん)が

「田沼さんも、ハズレてますよ」

 

「えー?そんなことないでしょ」

 

小園「じゃあ、ひとりずつやろうよ」

 

 

田沼「いいですよ」

 

 

では、♪(オルガン)

 

あぁぁあぁ~

 

小園「うわ、ひっでー。田沼さん、オンチじゃん。ほんとに合唱経験者?」

 

 

なんだってぇ?!

 

田沼は、一瞬、手を不器用に上げようとしますが、市役所勤めだからか、殴らないよう、両手を下げて、脇腹に付けるようにして、胸を小園に当てに行こうとします

 

 

ガキのケンカになりそうなところ、丸山さんが間に入って。

 

 

まぁまぁ

 

ほら、田沼さん、ブランクあるから。やってるうちに思い出すわよ

ガンバって

 

と、今度は立花先生から、両手でグータッチを求められて、バツが悪そうな田沼

 

 

小園が「俺の方が上手いんじゃない?」と、混ぜ返して

 

またも、田沼は両手を下げて脇腹にくっつけながら、胸で小園に体を当てに行こうとします

 

 

あー、こんな時にかぎって、すみません。

 

先生、次があるんですよね。電車、大丈夫ですか?

ダイジョウブです♪

 

こんな雰囲気になってしまったこともあって、丸山さんが、この後、居酒屋で懇親会をしようと、

小園、田沼、金子(黒木俊穂さん)を誘います。

 

別にいいけど

 

 

翔太郎くん(清田悠聖さん)は、どう?

 

すみません、今日はちょっと。明日、朝から式の打ち合わせがあるんで

 

あー。宏江さん(今井久美子さん)は?

 

 

わたしも、ちょっと

 

 

綾子「じゃ、先に行ってるわよ」

「わかった。どこ?」

「駅前の居酒屋さん」

 

 

オルガンのところで、集会所の使用届を記入しながら、青木親子と世間話をして

 

じゃあ、お先に

 

 

丸山も帰ろうかとなったところで、部屋の奥で福山雅治(横山貴之さん)が

体育座りをして、丸山のことを見てます

 

どうしたんですか?福山さん。帰らないんですか?

行きます?懇親会。

 

いいんですか?

 

いいに決まってるじゃないですかぁ

 

誘われませんでしたよ(やや、ご立腹)

僕が極度の脇多汗症だから?

 

 

そぉんなことないですよ。忘れてただけです。気にしすぎですよ。

 

なんていう、居酒屋ですか?

 

 

「居酒屋『あんちゃん』」

 

さっ、行きましょ。

 

下手袖にふたり、はけた後、丸山だけすぐに戻ってきて、集会所の電気を切り、暗転

 

 

ステージが明るくなると、

 

黒いベンチに座る、倉元(杉本凌士さん)と森田(大塩ゴウさん)

 

 

僕は、思うんです。なぜ、神は、人を生徒と教師に分けてしまったのか

 

 

ちょっと大げさなんじゃないのぉ?

 

 

可愛い女の子が入学してくると、その子と出来ない代わりに、女子高生もののAVをダウンロードしてるんです。妻に内緒で。

 

そりゃ、そうだろ。

 

最低です。

 

そんなことないよ。分かんないけど、教師なんて、誰だってそんなもんじゃない?

聖人君子みたいな教師なんて、いないだろう

 

倉元さんもそうなんですか?

 

いや、俺は教師じゃないから

 

 

あっ、そうか。。倉元さん、社長さんですか?

 

んん、まぁ、そんなとこだ

 

 

それで?

 

 

その子の名前を、仮に、ヨシコ、としましょう

 

 

ベンチから立ち上がり、黄昏るように

 

 

美和子・・いや、ヨシコは色白で、それは可愛らしい子でした

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

オープニングの出演者紹介が終わると、ステージ中央に置かれた黒いベンチに、ルーズに座って、ポケットから本を取り出して、終盤のあたりを読んでいる男性(倉元道夫:杉本凌士さん)

 

上手袖から、キャリーバッグを引きながら、男性が入ってきました(森田:大塩ゴウさん)

 

 

気配を感じたものの、読書の邪魔をされたくないので、無視していた倉元に近づくと、スマホを手に

 

「さきほどは、どうも」

 

チラ見

 

これ、拾っていただいて。

 

 

あぁ

 

 

 

助かりましたぁ。もう、クリスマスの前にスマホなくしたら、どうなってたことか。

落としたの、全然気が付かなくてぇ。ほんと、ありがとうございます。

 

と言いながら、ベンチの隣に座ります。

 

 

相変わらず、読書の邪魔をされたくなくて、無視してる、倉元の方をのぞき込むと

 

 

おっ、『ハサミ男』ですか。ミステリー、面白いですよね。でも、まさか、犯人が●●だったなんて

 

ギロっ

 

 

あっ

 

 

すみません。怒ってますよね?

 

 

本を閉じて、立ち上がり、ベンチから数歩歩きながら「怒ってません」

 

・・・

 

その本をゴミ箱に投げ捨てました

 

 

やっぱり、怒ってるじゃないですかぁ

 

いや、怒ってませんから。(ベンチに戻り、座りながら)次の電車まで1時間あるし、ちょうど捨ててあったんで、読んでた(ポケットから出してましたので、実際には、拾ったんじゃなくて、自分で買ったんだと思います)だけですから。

 

ただ、さすがに犯人を言われた時は、がっかりしましたけど

 

 

やっぱり怒ってるじゃないですかぁ

 

いや、怒ってませんから

 

ほんと、すみません。

 

 

あのー、お名前は?

 

 

・・・倉元です。

 

倉元さん。いい名前ですね。

どちらまで?

 

角館です。

 

あっ、じゃあ、4時10分の。わたしも角館です。

どのようなご用件で?

 

えぇ、ちょっと

 

 

野暮用ですか?

 

まぁ、そんなもんです

 

いいなぁ、愛人に会いに行くんですか

 

違いますよ!

 

いいじゃないですか。40代になれば、誰だってありますよ

この、このぉ(ひじで横腹を突っつくように)

 

・・・初対面ですよね?

だから、違いますから。

 

あっ、すみません。もう、すぐ調子に乗ってしまって。

 

・・・あなたは?

 

角館に住んでるんです

 

あぁ、そうですか

 

 

ウソです♪

ひっかりましたねぇ、ハハハ

 

なんでそういうこと言うんですか。面白くないよ。

 

あっ、すみません。もう、すぐこういうこと言うから、妻や子供にもよく馬鹿にされるんです

本当は結婚式に出席するんです。教え子の。わたし、こう見えて、高校の教師なんです。

 

そうなんですか。

 

 

でも、出席すべきかどうか、迷ってるんです。

 

 

どうして?

 

 

それは言えません

 

あぁ、そう、ですか。

 

 

・・・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

聞きたくないんですか?

 

 

なにを?

 

 

出席すべきかどうか、迷ってる理由

 

 

別にぃ

 

えぇぇ?!

 

だって、話したくないんでしょ?

 

 

話したくないけど、聞いて欲しいんです

 

めんどくさい人だなぁ

 

お願いします、聞いて欲しいんです。このままじゃ、壊れそうで

 

 

分かりましたよ、わたしは聞きたい、あなたは聞いて欲しい。それでいいんでしょ?

 

 

ありがとうございます!

 

 

駅の待合室のベンチで話してる倉元と森田

ひとり芝居か、父か由貴との会話の研司

合唱の練習と丸山家

 

この3つが、最初はなんのつながりもなく、暗転から、変わっていきます。

最初の倉元と森田の会話、ここまでだったか、ちょっと自信ないです。

このふたりのシーンは、その後も、かなり笑いの要素が多くて、

「男魂史上、もっとも静かな」

という印象ではありませんでした。

それが、わずか2時間の中で、こんなに展開していくとは!

 

暗転後、研司(坪内守さん)がひとりポツンと座って、携帯で電話してます

 

 

あっ、マドモアゼル・アイ先生ですか?相談したいことが・・えっ?

直接、アイ先生に相談できるんじゃないんですか?

あっ、まず話して、採用されたら。あー、そうでしたか。

はい、分かりました。

 

えー、わたくしぃ、5年ほど前に、会社で高価な機械を壊してしまいましてへぇ、

その弁償のために、給料から大幅に引かれるようになりまして。

で、このぉ、だんだんと、会社にも行きづらくなりまして。

 

携帯を持ってない方の手を、反対の脇の下にはさみながら、時折、声を裏返しながら

話す様子に、なんとも、追い込まれてる、そわそわ感がありました。

最初のシーンで父親のところでみせた、不機嫌そうな無表情とは違います

 

 

続く

 

 

 

劇団男魂(メンソウル)第17回本公演「航路」 @中野ザ・ポケット

 

舞台、上手奥にある小さなテーブル上に置かれた、小さなラジカセから、AMラジオの放送が流れています。舞台は暗転し、その小さなラジカセにピンスポットが灯されて、開演しました。

 

舞台上が明るくなると、カップラーメンの食べ掛けやらで汚れたテーブル、周りにもゴミが散らかった中で、白髪の初老の男性(寛治:よこやまよしひろさん)が缶ビールを飲んでます。少し離れて、無表情で座っている男性(研司:坪内守さん)。

 

(ラジオを聞くでもなく)けっ、くだらねぇな。こないだの野球観たか?日本シリーズの最後の試合が10-4だってよ。くだらねぇ。だいたい、なんで泣いてんだ?男が人前でよぉ、くだらねぇ。

 

ん?(缶ビールを飲み干して)

 

よろよろと立ち上がって、冷蔵庫から、また缶ビールを取り出すと、プシュっと。

 

研司が、見かねて「おい、昼間っから飲み過ぎだろう」

 

うるせぇ、どうせオレぁ、もうすぐ死ぬんだぁ。

なぁんにもなくなっちまった。

 

あいつらに、ただ飯食わせてやって、金出して仕事とってきてやったのに。辞めたと思ったら、独立だってよ。おまけに、取引先、全部、持ってきやがって。オレぁなぁ、あいつらんとこ行って、殺してやろうと思ったよ。

 

道夫さんだっけ?あの人、最後までいたんじゃないのか?

 

あ?ふっ、道夫か。最後の日、俺が軽トラのフロントガラスぶち割ってたら、じーっと見てたっけ。

 

ここいらじゃ、脇田電工って言やぁ、知らないヤツはいなかったんだ。

それがよぉ。

 

 

ラジオでは「マドモァゼル・アイ」先生による、人生相談が流れています。

 

年齢は?

42歳です。

ご家族は?

主人が50歳、子供は上が13歳・男の子、下が10歳・女の子です。

どうされましたか?

上の息子なんですが、高圧的な父からの態度に、他人とのコミュニケーションが取るのが苦手になりまして。不登校になったのが小学校3年の時で・・・

 

ところで、何しにきた?金ならねーぞ。

ここには、なぁんにもないんだ。(せき込む。)

 

 

やめろよ、気が滅入るよ。

 

俺なんか、ずっと滅入ったままだ

 

どうした?高圧的な父からの態度に、他人とのコミュニケーションが取るのが苦手になったか?

 

 

 

研司は、いら立つように部屋を出ていきました(部屋、と言っても、床に散らかったゴミと、テーブルがあるだけです)

 

 

暗転

 

 

ピアノの音  ♪ドー

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

♪ド#

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

明るくなると、オルガンを弾いてる先生の前に、数名が縦2列になって、発声練習をしてます

 

♪レ

 

コーラス

♪まめまめまめま

 

はーい、じゃあ、これから歌う曲の譜面を配りますね

ここは、集合住宅の有志で始めたばかりの合唱サークルの練習場

 

立花先生役の松岡美結さんは、ミュージカルに出演されていて、最近は実際にボイトレの先生をされているそうです。

 

いやぁ、疲れたなぁ。ちょっと、一服しません?

と、お調子者であまりやる気なさそうな小園(山田諭さん)

 

僕も、一服

いかにも軽そうな金子(黒木俊穂さん)

 

一服って、まだ30分しか経ってませんよ

 

あの・・脇汗がヒドいんで、着替えてもいいですか?

鼻の下にひげをはやし、あまり表情がなくて朴訥とした感じの福山(横山貴之さん)

 

コーラス経験者は2名で、

気が強そうな丸山綾子(泉田珠華さん)と

自称リーダーで俺が引っ張るぞオーラ全開(でも、なんか勘違いさんっぽい)な田沼(新晟聡さん)

 

とても姿勢がよくて、でも、それがとっても緊張しているっぽい、青木宏江(今井久美子さん)と、

宏江のとなりに立っているハンサムな好青年、宏江の息子の青木翔太郎(清田悠聖さん)

 

僕も、ちょっと、トイレ  と、この場を離れる翔太郎

 

5分休憩することになり、コーラス経験者の綾子と田沼が、団地内での交流を深めて犯罪を防止することを目的に、この合唱サークルを立ち上げたってことを立花先生に説明します。

 

でも、よく集まりましたね

 

なんか、すみません。ほら、合唱、って感じじゃない人もいるし

 

 

稽古場の奥で、脇汗で濡れたTシャツを脱いで上半身裸になって、脇の下にスプレーをかけてる福山さんをチラ見した綾子が

 

なんか、すみません

 

いいんですよ、そのために私がいるんですから

 

同じ団地とはいえ、ほとんど面識がないので、自己紹介しようと田沼が提案して、

立花先生も「いいですねぇ」と言ったところで、

 

ほら、ちょうど、みんな戻ってきましたよ

 

 

田沼

 

えー、練習を始める前に、先生に自己紹介をしたいと思いまぁす!

 

 

すると、また小園が「やだよ、そうじゃなくて緊張してるのに、自己紹介なんて」

同調する金子「僕は、ミステリアスな男でいたんで(自己紹介、しません)」

 

すると、綾子が今にも殴りかからんくらいの勢いでふたりに詰め寄り

「自己紹介!先生が欲しがってるんだよ!」

 

 

と、そこに

 

やぁ、すみません、遅くなっちゃって

 

と、男性がひとり入ってきます

 

田沼「ちょうどよかった、今、自己紹介してるとこなんですよ。じゃ、丸山さんから」

 

「えっ?なんで?」

 

すると、綾子がビンタ( ゚Д゚)

 

えー、丸山です。今、殴ってきたのは、わたしの妻です。

なんで殴られたのか、分かりません(仲田育史さん)

 

次に田沼さんが自己紹介して、農協職員だそうです

 

青木宏江です。コーラスをやるのは、短大のサークルの時以来で30年振りです。

すごく緊張しています。よろしくお願いします。

 

 

あっ、じゃあ、次、お願いします

 

 

福山です

 

福山さん、広告代理店?印刷屋さんでしたっけ?

 

・・いえ

 

 

すると、丸山さんが「それ、A棟の福山さんでしょう。あの人、印刷屋さんですよ」

 

 

あ、そうでしたか、すみません。あの、お名前は?

 

 

福山です

 

じゃなくて、下の

 

 

・・・あーるです。・・・雅治です。

 

 

えっ?

 

みな、爆笑になります。怪訝そうな、福山。

 

爆笑の理由は、福山のルックスが、朴訥としていて、あまりにも名前と不釣り合いなもので

 

 

またも小園が「フルネームでやってよ、じこしょうかい!」と脱線させていきます

 

 

田沼が「すみません、もう、収集つかないんで、フルネームでお願いできますか?」

 

すると、ステージ前方の中央に立って「福山雅治でぇす」と、モノマネで自己紹介した

福山さんでしたが、客席は笑っているけど、ステージ上の稽古場ではビミョウな空気に(笑)

 

あ、普通の名前ですみません。青木翔太郎です。

 

となりに福山さんが、相変わらずちょっとびっくりしたような表情のままで立っていて

田沼さんに「福山さん、目立ちすぎ。ちょっとさがりましょうか」とたしなめられます

 

市役所に勤めています。このコーラスには、母に誘われて参加しました。よろしくお願いします。

 

 

小園「よ、いい男!女の子、連れてきてよ!」

 

(申し訳なさそうに)もうすぐ結婚するので

 

 

てな感じで、素性が明らかになった人と、そうじゃない人がいますが、

なんとか自己紹介が終わり

 

では、始めましょう

 

立花先生がオルガンを弾き始めました

 

 

ベートーベンの「運命」

 

♪ジャジャジャジャーン  ジャジャジャジャーン

 

すると、ステージ奥の壁の上半分が「バン!」と下へと開き

 

そこに「航路」の大きな文字と、

なにやら、A3サイズをもうちょい縦長にした色画用紙が降ってきて、

 

合唱メンバーと先生がそこへと集まります。BGMは、「運命」の続きが

 

 

で、ひとりずつ落ちている色画用紙を拾って、ステージ前方に出てきて

その色画用紙を客席に見せます。そこには、「清田悠聖」など、

それぞれ、出演者の名前が書かれています。

 

丸山夫妻が自分の色画用紙を客席に見せたところに、舞台上手から、バレリーナっぽい回転をしながら

若い女の子が入ってきて、背中に「宮瀬葵菜」と書かれた色画用紙を貼っていて、丸山家の娘さんの由貴ちゃんです。

 

曲は、運命から、何曲かに変わっていきました。

 

 

コーラスメンバーが自分の名前が書かれた色画用紙を客席に見せてから、袖にひとりずつはけていき、全員いなくなると、第1シーンでビールを飲んでいた、寛治、研司がひとりずつ、ステージ上を横切りながら、自分の色画用紙を客席にみせて

 

最後は、大きめのキャリーバッグを引きながら、なぁんかさえない表情の男性(森田:大塩ゴウさん)

 

そこまで大きくはない荷物を持った男性(倉元道夫:杉本凌士さん)が色画用紙を持たずに上手袖から入ってくると、下手袖近くの黒い壁(今回のセット、左右と奥は黒い壁で、そこにオレンジ色や水色などの三角形や長方形に色画用紙が貼ってあるセットです)から、長方形の色画用紙をはがすと、そこに「杉本凌士」と書いてあり、その色画用紙を下手袖に投げて、

 

ステージ中央に置かれた黒いベンチに座ります。

 

ここまでが、オープニング。

 

ここから、

・倉元と森田、ふたりの会話

・研司の一人芝居+由貴、寛治との絡み

・合唱の稽古場、丸山家

 

3つの話が、独立して、話の内容も、雰囲気も全く異なるオムニバスのように展開していきました。

 

 

続く

(「キ上の空論ツイッターより、拝借しました)

こんな、みんなが(中島さん以外)笑顔のシーンは、ありません

 

オープニングは暗転しないまま始まりました。

下手手前の袖から、戸田ちゃん(石塚みづきちゃん)が、ひとり歩いてきて、舞台中央を少し過ぎたあたりで立ち止まると、不機嫌そうに後ろを振り返り

 

「山本!さっきから、なんなん?ずっと後つけてきよんの分かっているから。山本!」

 

山本が誰か分からないけど、明らかに戸田ちゃんの方が上から目線な強い口調をさえぎるように、豪雨の音が鳴り響き、暗転

 

 

 

真っ暗闇の中

 

 

ねぇ、純くん。

ねぇってば。

 

なにぃ?

 

 

もうやめようよ。

 

 

ちょっと、待っとって。すぐ終わるから。

 

 

 

イナビカリが真っ暗闇をチカチカと照らすと、

無言で動かず、仰向けに寝ている女子とセックスしてるっぽい、男子の影が

 

 

 

ねぇってばぁ。

 

 

ちょっと待っとってよ、すぐ終わるから。

 

 

再びイナビカリにチカチカと映し出される二つの影

 

 

その傍らには金属バットを持って突っ立っている少年

 

 

 

ねぇ、戸田さん動かないよ。

死んじゃったのかな?

 

 

あぁ、もう。

集中キレたわ。

 

 

 

腹減った。

ガスト行こ。

 

 

 

ついさっきまで強姦していた背の高い男子は、淡々とそう言いました。

そのあと、声が高い、背の低い少年に対して、なんかひどいこと言ったんだけど、

思い出せないです。

 

 

イナビカリの中、一瞬、背の低い少年が金属バットを振り上げたように見えましたが、

次の瞬間、金属バットを降ろすと

 

 

うん。

 

 

背の高い男子の後を追うように、舞台奥の下手へ歩いて去っていきました

 

 

 

今回、再演となる「幸福の黄色い放課後」と

新作である、本作「幸福の黄色い10日後」が同時上演のため、

セットが一緒です。

 

舞台奥に、大きな窓が開いた壁(学校の教室と廊下を隔てている壁のように見えます)、のみ。

 

 

転換がありません。

暗転も、ほとんどありません。

 

 

強姦され、気を失っている戸田ちゃんは、動かずに舞台中央よりやや上手側、少し奥に倒れたまま動きません。

 

そのままの状態で、薄明りで身動きしない戸田ちゃんが見えている状態で、

舞台上手が明るくなり、手前側には、教室の椅子に座った女子;アヤカ(レベッカさん)と、なんかウキウキしたテンションを隠せない男子;志摩(鈴木研さん)

 

 

ふたりは、幼馴染で(高校生なのに、アヤカ、化粧濃くない?)

志摩は、クラスメイトのリナ(岩井七世さん)が大好き。告白したいけど、どうしたらいいか分からなくて、アヤカにアドバイスを求めてます。

 

平和な高校の放課後。

普通の青春。

 

ふたりが、可愛らしい恋愛トークをしている奥には、

強姦され、気を失ってる戸田ちゃんが倒れている

 

 

時系列的に考えてみると、戸田ちゃんが山本(真弓瞬さん)に金属バットで頭を殴られて気を失い、

純(むらさきしゅうさん)の自殺した父親が経営していた工場に連れ込まれて、純に強姦されたのは、

この10日間の一番最後の日じゃないかと思います。

 

でも、この時点で志摩はリナにまだ告白どころか、話がある、と呼び出すための手紙も渡してないんじゃないかな。

 

なので、戸田ちゃんが強姦された時と、

アヤカが進路面談の順番を待っていて、

そこに志摩がいたのは、同じではないはずです。

 

そうした、別の時刻の出来事が同時に舞台上にあることに、違和感は無かったです。

もしかしたら、僕の勘違いかもしれないし。

 

群像劇で、たくさんの話がオーバーラップしながら同時に進行(しかも、時間は行ったり来たり)しているので、いつものように、完璧に再現する自信がありません。というか、出来ません。

 

 

とにかく、リナは笑顔が素敵な、誰からも愛されそうな女の子で

 

 

 

 時折、背中が泣いていることに、気付きませんでした。

 

 

 

すでに、このあたりで、次、どの場面だったか、思い出せない。。

 

ただ、観ながら伏線が回収出来る手際の良さ、複数の場面が同時に舞台上にある構成、観客に投げっ放しでもなく、ダラダラと説明することもなく、セットが無かったり、表には出てこない(正解が分からない)セリフがあったりするので、いろいろと自分の中で考えることが出来るんです。

 

例えば、純は死んだのか?死んでないのか?

リナが泣いていたのは、リュウジくんに別れを告げた後なのか、告げる前なのか?

また、リナが久美ちゃんと楽しそうに会話してるのは、佐藤さん(リュウジくんの妹で建築科)に、リュウジくんとホテルに入るところを見られ、佐藤さんがら「どうすればいい?   別れぇや、当たり前やろ!」と罵倒された後なのか?

佐藤さんは、戸田ちゃん、リナにウソをついているのか、事実なのか?

 

 

 

 

山ちゃんの白いYシャツが血で真っ赤に染まり

 

意識を取り戻した戸田ちゃんが、ゆっくり体を起こし、跪きながら、スカートに手を入れて

恐る恐るその手を見ると・・

 

「血が出とるやん!」

 

 

 

リナ、辻ちゃん(野中ななみさん)、エミコ(加茂井彩音さん)は仲が良く、3人で下校しながら、

どうも、リナがコクられた?みたいな話になり、

 

 

エミコ「えーーーっ!リナもかよぉ」

 

「いや、まだ分からんし」

 

 

エミコの執拗な(笑)な追及は電車に乗っても続き

 

リナは、つい、手紙をもらったことを口走ってしまいます

当然、エミコは「手紙、見せてぇ」ってなるよね。リナは嫌がるよね。

 

あぁ、そうか、そうですか、手紙見せられない?もう戦争や!

と、電車の中でリナに詰め寄るエミコでしたが、

次の瞬間、満面の笑みで、手には黄色い封筒を持っているのでした

 

へぇ、志摩とか、意外やわぁ

 

 

封筒の外見だけって言ってたのに、結局、中から手紙を取り出そうとするエミコ

必死に止める、リナ

 

 

で、戦争はリナの全面降伏で、志摩くんが、話したいことがあるから、明日、夜、会いたいって書いてあったこと、待ち合わせ場所も、と白状。

 

夜だってぇ♪

 

エミコ「いいなぁ、みんな幸せで」

 

辻ちゃん「そうでもないよ、きのうもバトったし」「えっ、なんで?」「あぁ、たいしたことやないんやけどね」

 

 

たぶん、これは、後から出てくるのですが、ユタカ(川上憲心さん)が、辻ちゃんをサラぁ~っと、ホテルに入ろうとして、辻ちゃんが「今日はダメ!」って拒否したことを言ってたんだと思います。

 

 

なぁんて他愛もないガールズトークをしている視線の先には、

頭に包帯を巻いた男子が椅子に座り、その横に、男子が立っているのが目に入りました

 

 

建築の子やろ?

 

なんか、建築って荒れてるらしいやん

 

そうそう、カツアゲとか。財布無くなってたり

 

えぇ!ややわぁ

 

こないだなんて、暴力事件(こういう言い回しじゃなかったと思うのですが・・)があって、

あたり一面、血まるけだって

 

こわぁ

 

 

これも後から分かるのですが、梅村(奥田龍平さん)からのいびりにブチ切れた純が、隠し持っていたスパナで梅ちゃんの頭をぶん殴ったのです。その場には、山ちゃん、戸田ちゃん、夏樹(ナガタユウイさん)がいて、梅ちゃんの彼女である戸田ちゃん以上に夏樹が「梅村!」と梅ちゃんを助けようとして、

 

そこに、ユタカが教室に入ってきて、「血まるけ」の床を見て、ビックリするんです。そして、後日、辻ちゃんとデートしながら、

そう、なんか、そいつ、父親が自殺して。いっつも、口が半開きなん

 

えーっ、半開きって、閉じるか開けるか、どっちかにしてよって

 

みたいな話をしてるんです。だから、接点がないデザイン科と建築科だけど、

建築科で起きた事件を辻ちゃんは知ってたわけ。

 

夏樹は、ユタカに向かって「先生呼んできて!」と叫ぶんだけど

戸田ちゃんが「やめて!誰にも言わんといて。」「だって・・」

「梅ちゃんがあいつらにどんだけ酷い事してたかバレてまうやないの!そうじゃなくても、生活指導に目を付けられてるやから」

 

 

3人が電車から降りた後、梅ちゃんが「なんね?」

 

「行先が同じだけ」

 

 

純が手を伸ばすと、梅ちゃんが、チェッて顔しながらも、千円札を渡しました

座りぃや

 

端がいい

 

 

端に座っていた梅ちゃんは、ひとつずれて、そこに純が座りました

 

 

オレ、お前の彼女に「死ね」って言われたわ

 

 

 

戸田ちゃんに「死ねばいいのに」と言われるシーンは、後半にありました。

 

 

唐突に出てきた言葉が、後から実際にその場面が描かれて、あぁ、なるほどぉ、それで「死ね」と言ったのか、とかね、なんで強姦したのか、そういうことが徐々に明かされていくのです

 

 

重たい空気になったので、最後は、ユタカと辻ちゃんのホテルのお話しを

 

 

 

 

ユタカが辻ちゃんに告白するシーンよりも、

付き合いだしてから、ホテルに行こうとする場面の方が先に出てきました。

 

 

ねぇ、入ろうとしてるよね?

 

えっ、あ、ほら、別にそういうことじゃなくて、ゆっくり話がしたいなぁって、

カラオケとかゲームとかあるかもしれんしさ

 

あ、いや、準備が・・

 

え?毛とか?

 

そうじゃなくて、心の(準備が)

 

あー、そっか。じゃ、待ってる

 

 

手を降ろして結び、待ってるユタカ

 

あっ、本屋行ってようか?

 

いや、今日とか、そういうことじゃなくて。ごめん。

 

あっ、いいよ、いいよ、全然。お互い初めてだと緊張するもんな

うん、もう、全然

 

 

それから・・初めてじゃぁ・・ない・・かな

 

 

・・あっ、そうなんや。

 

ごめん、でも、こういうこと、先に言っといたほうが、いいかなって

 

あ、でも、全然、気にしとらんよ。オレは今の辻ちゃんが好きなんやし。

で、何人?

 

 

えーっ?!聞くの?

 

 

まぁ、ほら、世間話みたいなもんだから!

 

 

辻ちゃん、左手の人差し指を立てて、(ひとり)

 

 

それを見たユタカは、うんうんとうなづいてたら・・

 

 

ひょこーっと、右手がパーの状態で人差し指の後ろに(笑)

 

 

えーっ、十分、心の準備出来る経験値やん

そんなんやったらさ、パッと行って、ささっと

 

 

なにぃ、辻の体が目当てなの?!

 

 

そうじゃない、そうじゃないけど

・・初めては、いつなん?

 

小6

 

 

え”~早っ!

 

別に、普通やん

 

 

ごねるユタカに

 

 

今日は、月に一度の、女の子の辻なんで!

ルナルナな辻なんで!

 

 

・・・、それでも、いい!

 

 

よくない!

 

 

つづく!

 

 

 

 

 

キ上の空論「幸福(しあわせ)の黄色い10日後」

@サンモールスタジオ

 

とにかく、素晴らしいの一言。書きたいことがあり過ぎて、書き始められずに、千穐楽から10日後になってしまいました。

 

岐阜の田舎の、建築科とデザイン科がある共学の高校が舞台。

高校2年生の7月。

建築科は、イジメやカツアゲが酷くて、デザイン科は明るく仲良しでカラーが違う感じ。

建築科は女子3人、男子4人。

デザイン科は女子5人、男子1人、が出演者。

当日パンフレットには、役名とキャスト名が縦2列で書いてあるんだけど、

左側がデザイン科(+デザイン科の、ひとりの女子と姉妹のように仲良しの妊婦さん、ひとり)、

右側が建築科だって、今、気付いた💦

 

10日前にも、イジメや不倫、決して幸福なことばかりではなかったけれど、幸福な時間もあった。

その10日後、最悪な出来事から描き始め、時間を遡り、行き来しながら、話は進んでいきました。

 

複雑過ぎて置いて行かれることはなく、観ながら、意味が分かりにくかったシーンの意味が、後から明らかになっていく構成・脚本がホント、良くて。

 

この10日間に起こる出来事・明らかになる事は、かなりハード。

自分をイジメてた男子生徒の彼女を強姦、金属バットでの殺人、援助交際、妊娠、不倫・・

 

ただ、これが決して特別な作り物にはならず、普通の高校で、普通に起きている出来事のひとつに過ぎないと思えるのです。それは、例えば、同時並行に起こっている出来事として、

 

男子が、どうやって好きな女子に告白しようかと考えたり、

告白して手を握っただけで、幸せの絶頂になったり、

付き合うことになったら、いきなりキスしようとする男子がいたり、

人気のあんみつ屋さんに友達と行こうとしたり、カラオケ行ったり、

 

ごく普通の高校生活も、そこにはあるのです。

 

名前も、それぞれ、下の名前で呼ばれるキャラの生徒は下の名前だけしか出てこなくて、

その名前も、リナ、純、ユタカ、エミコ・・・ごく普通の名前

苗字で呼ばれるキャラの生徒は苗字しか出てこなくて、

戸田、辻ちゃん、梅村、佐藤・・ごく普通の苗字

 

ごく普通の高校生が、

ごく普通の高校生活を送っていて、

表裏一体とした、ドロドロの世界も、そこにはあって

 

一部の役以外は、誰がどの役をやるか決めずに2日間ほどのワークショップを行い、

それから、配役を決めたのだそうです。で、その後、あて書きはしてないそうなんですが、

 

どの役も、はまり役で。これは、役者さんたちも芝居が出来る方々ばかりだったのに加えて、

脚本・演出の中島庸介さんの人を見抜く力と演出力が、とても高いのだと思います。

 

最初に人間関係を整理します。

 

建築科の戸田ちゃん(一番上の写真、石塚みづきちゃん)は、元・野球部で暴力的な梅村(奥田龍平さん)と付き合ってます。ラブラブです。

 

 

 

 

野球部マネージャーの夏樹(本田祐衣さん)は、ふたりと友達。

 

 

 

 

梅村は、純くん(むらさきしゅうさん)を、いじめ、パシリにし、カツアゲもしてます。純くんは見た目、根暗な感じ。

 

 

声変わりをまだしてなくて、体も小さい、山本(真弓瞬さん)も、梅村からいじめられてて、なので、純くんとは仲良くしてます。

 

無口で、目立たない存在の女子、佐藤さん(ししどともこさん)は、中盤まではほぼ存在感がないのですが、戸田ちゃん、山本、デザイン科のリナ(岩井七世さん)、リナを妹のように可愛がっている、妊婦の久美ちゃん(いしいまいさん)と絡みがあります。

 

闇を抱えた生徒ばかりの建築科で、唯一、明るくて、爽やかに、エッチなことに興味津々なユタカ(川上憲心さん)は、

 

 

デザイン科の辻ちゃん(野中ななみさん)と付き合うようになります。建築科の生徒たちと絡むシーンは1つしかありません。

 

 

辻ちゃんは、同じデザイン科のリナ(岩井七世さん)、

 

 

エミコ(加茂井彩音さん)と仲良し。

 

リナは、妊婦の久美ちゃんとは幼い頃から、本当の姉妹のような仲。

 

デザイン科の志摩(鈴木研さん)は、リナが大好きで、どうやって告白するか、思案中。

そんな志摩とは幼馴染で、同じくデザイン科のアヤカ(レベッカさん)は、リナのクラスメイト。

一緒に帰ったりするほどは仲良しではないけど、友達。

 

いつも体育の授業を休んでて、友達がいない奈菜(杉本知佳さん)は、ある偶然から、リナと話をするようになり、エミコと3人でカラオケにも行きます。

 

天真爛漫、誰からも好かれそうなリナを罵倒する、佐藤さん。

 

セットは後ろを通り抜けられる、大きな穴が開いた壁のみ。

あとは、学校の椅子が数個。

 

次のブログでは、ストーリーをたどりながら、振り返りと僕が感じたことを書いていきます。

 

 

つづく

 

ふくだみゆき監督「こんぷれっくす×コンプレックス」

下北沢トリウッドでの公開、全20回が終了したので、感想を書きます。

映画内容に関する感想は、ネタバレを大いに含みます。

 

写真は、一部、こんぷれっくす×コンプレックス公式ツイッターアカウントより、

拝借しました。


なぜ、新海誠監督が「こんぷれっくす×コンプレックス」を鑑賞して、「素敵な映画」とツイートされたのか、少しでも伝わるとよいな、と思います。

 

 

 

2017.2.4

 

24分の短編flashアニメが劇場公開された日。

ふくだ監督、上田慎一郎プロデューサー、主題歌を歌う、北村瞳さん

 

わき毛をどうしても見ちゃう、わき毛好きなことがこんぷれっくすの中学2年の女の子

小谷ゆいちゃん役・林奏絵さん

実写映画と一緒に審査する、2つの映画祭で女優賞を受賞しています。

 

わき毛が濃いことがコンプレックスの中学2年の男の子

武尾マサト役・上妻成吾くん

 

 

 ゆいちゃんの友達で、生徒会で一緒の先輩と付き合ってる、しっかり者

中村ふみちゃん役・春名風花さん

 

はるかぜちゃん(春名風花さん)は、当時小学校6年生で、所属していた子役事務所には、自分がやりたい声優の仕事がこないことから「自分で取りに行った」と、この映画のオーディションを受けて、見事に役を射止めて、本作が声優デビュー2作目です。

 

公開初日が16歳のお誕生日だったので、舞台挨拶時に、サプライズで北村瞳さんが主題歌「こんぷれっくす」を歌う・・と見せかけて、キーボードは

 

♪ハッピーバースデー

 

客席からは、事前に配られていたクラッカーが鳴り渡って、その時のことが、

日刊スポーツに動画付きで記事になっていました。

 

日刊スポーツの記事『春名風花、誕生日サプライズ祝福に「呼吸困難」』、こちら

 

 

 

この3名がヤングチームの声優さん。

 

アダルトチームの声優さんは

 

ゆいちゃんのお母さん役・広江美奈さん

ゆいちゃんのお父さん役・武田直人さん

ゆいちゃんのお姉ちゃん、小谷まいちゃん役・山口遥さん

先生役・岡田昌宣さん

 

 

それでは、これから、ネタバレありで、感想書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

絵はとっても丁寧でキレイですし、目が実際にはあり得ないほど大きな「アニメ」的ではなく、アニメと写実の中間くらい。動きが少ない分、観ている自分が頭の中で補完して、そのことがよりストーリーに入り込めた一因ではないかと考えています。

 

長さも24分だから、全体の台詞量も少ない。少ないんだけど、しっかり伝わってきます。例えば、ゆいちゃんのお姉ちゃんの会話は1シーンだけだし、お父さんとは1シーンだけで、かつ、お父さんの姿は一切出てこない。お母さんも出てこない。それでも、ゆいちゃんは、決して特別な(特異的な)ことはなく、友達みたいに仲良しのお姉ちゃん、反抗期も無く大好きなお父さん、ゆいちゃんを個人として尊重しつつ、いつも優しく見守っててくれるお母さん。ごく普通の温かい家庭の次女。

 

「わき毛が好き」という、一見、キワモノ?と思わせるけど、実際はどこにでもいる、自分かもしれない、それがゆいちゃんなんだなって。

 

説明っぽい台詞は全く無いけど、そうした、ゆいちゃんのバックボーンが少ない会話で頭に描けるのは、声優さんたちの演技力の賜物ですね。

 

ゆいちゃんは、唯一、全員と会話があります。友達のふみちゃんと話すとき、お母さんと話すとき、武尾くんと話すとき・・その微妙な演じ分けをする奏絵ちゃんは、さすが女優賞を映画祭(蓼科高原、FOXムービー)で受賞したのもうなずけます。

 

かつ、ふみちゃんと話しながら歩いて下校するときの話し方も、会話内容によって、声の表情が違うし、それが武尾くんとの会話になると、更に多くのバリエーションになります。

 

メイキング映像、2回観ました。顔合わせの日に本読みをして、次に声優陣が集まった日は、もう収録。こんな短期間に、これだけのことが出来ちゃうっていうのは、衝撃でした。なんせ、奏絵ちゃんは本作が初めて受けたオーディション。収録した3年前は、まだほとんど演技経験は無かったはずです。それが、これだけ出来ちゃうのは、本人の資質と、ふくだ監督の演出力が非常に高いのだろうなぁ。

 

不安定さを録りたかった、あえて崩した、とアフターイベントのティーチインや舞台挨拶でふくだ監督がおっしゃっていました。そんな中、ふみちゃんは、先輩と付き合ってる、1歩先行くおませな子なので、3人の中で、唯一、しっかりと話してました。

 

ゆいちゃんは、わき毛が濃い(大人と比べても、外人さんと比べても、ブルース・リーと比べても、武尾くんが断然、1位!)武尾くんをいつも目で追っちゃいます。

 

おとなみたい(わき毛=おとな、がゆいちゃんの想い)

 

ふみちゃんが先輩と付き合ってることを、「付き合うってさ、どんな感じ?」とゆいちゃんに聞かれると、

「楽しいよ」

 

おぉ、おとなですねぇ

 

「もう、やめてよぉ」

 

でも、中盤まで、ゆいちゃんが「わたし、わき毛が好き」と言葉では言ってません。

自然とゆいちゃんワールドに観客が入り込んでる感じ。

 

収録時、ちょうど声変わりの真っ最中で、声がふつうに裏返っちゃう武尾くん役の成吾くん。

お姉ちゃんに頼んだら、前髪が短くなり過ぎちゃったゆいちゃん、それに気付いた武尾くんが

 

「なんか、マチルダみたいだね」(この”マチルダ”が、max声が裏返ってて、それが、今、このときしか録れない声、を如実に物語ってます)

 

と、ゆいちゃんに言ったことがキッカケで、ふたりの距離が近くなっていきました。

 

ネットで調べて、マチルダっていうのが、映画「レオン」に出てくる少女だと知り、

早速、お父さんに頼んでTSUTAYAに行き、DVDで「レオン」を観て、

そのことを武尾くんに話し、好きな映画の話になって、武尾くんは

「カンフー、まじ、最高!」

 

武尾くんが、こっそり(クラスメイトにばれると、そういうのって、からかわれるかれね)カンフー映画のDVDを貸してくれます。

 

最初は観てても退屈だったゆいちゃんですが、決闘シーンで上半身裸なので、わき毛が!

 

おぉ!あっ、そこ、あっ、ぅお、あー、惜しいぃ

 

「面白かったぁ。スリルって言うかぁ、わくわくって言うか、チラリズムって言うか」

「チラリズム?」

「あっ、観ていて、体が動いちゃうっていうか。とにかく、カンフー、サイコー!って感じ」

 

自分が好きなものを「サイコー!」って言ってくれる女子は、そりゃ、男子にとって、

嬉しいよね。


「そうなんだよ、小谷さん分かってるねぇ。カンフー、最高なんです。女子でカンフー好きって、はじめてだよ」

 

ふたりは休み時間の教室でカンフー映画について話してるとき、

ゆいちゃんは、カンフーについて熱く語ってる武尾くんに、

上の空の相槌を打ちながら、目は袖がまくれあがった、半袖のYシャツからのぞいてる

わき毛にくぎ付け。

 

武尾くんには気付かれてないだろうという、上の空感が、

翌日の悲劇へとつながり、ゆいちゃんの声の張りが一気になくなりました。

 

武尾くんが、わき毛を剃っちゃったのは、自分がチラ見(ガン見)してたせい?

武尾くんがわき毛を剃っちゃったことがショックだったのに加えて、

それが自分のせいだと思い、ますます落ち込む、ゆいちゃん

 

目的は違えど、カンフー映画という共通の話題で親しくなったゆいちゃんと武尾くん

 

わき毛を目で追っちゃったことで、気まずくなったゆいちゃんと武尾くん

(武尾くんとしては、気まずいではなくて、「訳分かんねぇよ」)

 

そして、意を決して、ゆいちゃんは武尾くんに告白します

 

「好きなの!」

 

(自分の趣味をサイコー!と言ってくれた、ゆいちゃんだから)

「オッ、オレも」

 

「わき毛が」

 

「えっ、あ、はぁ??」

 

ゆいちゃんは、わき毛が好きで、どうしても目で追っちゃうこと、

中でも武尾くんのわき毛は、1番なのってこと、を告白しました

 

このときの告白は、武尾くんが好きなんじゃなくて、

武尾くんのわき毛が好きなんだよね

 

でも、武尾くんにしてみれば、クラスでひとりだけわき毛が濃いのが、

気持ち悪いとコンプレックスに思ってて、

 

自分の趣味じゃなく、今度は自分のコンプレックスを好きだと言ってくれた。

コンプレックスからの解放と嬉しさとで、武尾くんは泣いてしまいます。

 

「1番って言ってくれて、救われたっていうか、嬉しいよ」

 

ゆいちゃんからしても、「わき毛が好き」という、こんぷれっくすに対して、

救われた、嬉しいと言われて、


「わたしも、武尾くんにそう言ってもらって、スゴく嬉しい」

こんぷれっくすからの解放と嬉しさとで、泣いてしまいます。

 

泣いてるふたりを観ている観客は笑っています。

 

 

ただ、このシーンは、ふたりが、お互いのコンプレックスを「そこが好きだ」と相手に言ってもらったことで、距離がグーンと近づいた瞬間でもあり、熱いものがこみあげてくるお客さんもいます。

 

ここは、感じ方によって、笑えるシーンにもなるし、泣けるシーンにもなるんです。

 

 

この勢いに乗って、夏休み、一緒に映画を観に行こうと誘う武尾くんと、

最高にうれしい声で「うん」って応えるゆいちゃん。

 

そして、中学2年生の男子にとって、ものすごい勇気だったでしょう、

武尾くんは、ゆいちゃんを抱きしめて「好きだ」

 

ちょっと前に言った「オッ、オレも(好きだ)」とは、好きの深さが全然違う。

 

でも、ゆいちゃんは「わかんない」と武尾くんを突き飛ばして、教室を出て行ってしまいました。

 

そのまま、夏休みへ。

 

夏休み、ゆいちゃんは外出もせずに、家でカンフー映画ばかり観てます。

わき毛を目で追うこともなく、ただ、観てます。

カンフー映画の向こう側に、武尾くんを感じてたんじゃないかな。

武尾くんのわき毛じゃなくて、武尾くんを。


(娘の悩んでる姿に、優しく、何気ない言葉をかけてくれるお母さんも、温かくて、好きです)

 

でも、行動に移すことなく、2学期に。

 

窓の外を観てる、ゆいちゃんの目線の先には、

女の子と親しげに、これまでみせたことない笑顔で話してる、武尾くんが

 

 

武尾くんのわき毛じゃなくて、武尾くんを目で追ってた、ゆいちゃん

 

 

廊下で武尾くんと出くわしました

 

 

お互い、あのことには触れず、平静を装って会話しました

 

あのとき、一緒に行く?と誘われた映画、

 

 

もう、終わっちゃったね

 

 

うん

 

 

あっ、でも、すぐDVDになるしね、きっと

 

 

 

うん

 

 

あー、ゴメン。観たんだ

 

 

 

あ、そうなんだ。面白かった?

 

 

あー、ビミョウ?

 

ビミョウ?そうか。

 

 

 

 

 

ひとりで?

 

 

(武尾くんのこと、「好き」じゃなければ、「ひとりで?」と聞くことは無いよね)

 

 

 

武尾くんは、右上に目が泳ぎながら

 

 

うん、ひとりで。

 

 

ひとり

 

 

ひとりでね。

 

 

 

そうか。

 

あっ、じゃ、行くね。

 

歩き出すと

 

 

 

あ、あのさ・・

 

 

 

いや、なんでもない

 

 

あっ、そうか

 

 

 

 

 

 

あっ!

わたし、わき毛生えたんだ。

それだけ。

 

 

いったん、「じゃあ」って話を切り上げて歩き出したのに、

なんで、このタイミングで、言ったんだろ?って考えてました。

 

 

ふくだ監督のティーチインのとき、「実は、ゆいちゃん、わき毛は生えてないんじゃないかと思うんです」とおっしゃってて、そうかぁ、と。それからは、ラストシーンを観るたびに、泣いてしまいます。

 

武尾くんは、「わき毛生えたんだ」と言われても、えっ?だから何?

って思うだろう。そんなことは百も承知なのに、思わず言っちゃった

 

(わたし、わき毛が生えて=もう、大人だから、「好き」って、どういうことは分かるし、

 だから、ほかの女の子と付き合っても、それは、自分が武尾くんのことを振ったからで、

 1回振られたくらいで、わたしのことあきらめて、別の子と付き合うんだ、なんて、

 責めたりしないから。だから、隠さなくて、いいよ)

 

夏休み中、自分のこんぷれっくすを「嬉しい」と言ってくれたこと、

そう言ってくれた武尾くんのことをずっと考えていた

 

 

でも、それを武尾くんに伝えられなかった

 

 

メイキング映像で、奏絵ちゃんが一番難しかったと言っていて、

ふくだ監督とマンツーマンで何度も練習していた、最後のセリフ

 

 

ガキ

 

 

見え透いた嘘ついてんじゃないわよ、武尾くん、ガキね

 

 

 

 

 

ではなくて(その意味もある、と監督はおっしゃっていました)

 

 

 

 

 

素直に自分の気持ちを伝えられず、

相手が理解出来ないこと分かってる言葉で、

背伸びしたウソを武尾くんについてる

 

 

わたし、ガキだ・・

 

 

失恋だけでなく、

むしろ、それ以上に、強がってる自分が情けなくて、流れた涙

 

 

24分のflashアニメの中に、中学2年生の女の子と男の子の

揺れ動く恋心と、成長と、挫折と

 

そこに、家族の愛情も描かれていて

 

 

笑って、泣けて、普遍性のある

 

 

まさに、パンポコピーナ(上田プロデューサーが立ち上げた、映像団体)

の理念にぴったりの映画だと思います。

 

 

今回のトリウッドでの上映で、観客動員500名突破だった、

「こんぷれっくす×コンプレックス」が、

もっとたくさんの人に、

 

コアな自主制作映画好きだけでなく、

ごく普通に映画が好きな人に、

 

実際に思春期真っ只中な中高生に

 

届きますように

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

亜紀子(浅野温子)がひとり座っている談話室に、両側をふたりの看護師に抱えられて、緒方さん(杉本凌士)が保護室からやってきました。

 

 

目は焦点が合わず、口は半開きで、覇気のない、緒方さん。

 

緒方さんは医者ではなくて、統合失調症でここに入院している患者さん。

自分を医者だと思い込み、亜紀子の「緒方先生、いい先生よね。こんな病院、乗っ取っちゃばいいのに」という言葉にスイッチが入ってしまい、看護師を縛り上げて、「この病院を悪徳院長から奪」おうとして。亜紀子に「もう、やめんね!忠!」と怒鳴られて、頭が混乱し、大暴れした後に、看護師によって取り押さえられて、保護室に入れられたました。

 

 

忠・・

 

 

ね、ぇちゃん。久しぶりじゃね。

からだは、どげんね。

 

うん、だいじょうぶ

いつから、わかとったと?

 

 

最初から、たい。いつ、ねぇちゃんが気が付くか、楽しみだったとばい。

 

 

でも、5才の時、別れてから、一度もおうとらんのに、よう分かったね

 

 

あ、たりまえ、たい。きょうだい、やもん。

 

オレは、かんじゃに寄り添った医者ばなりたかと、想っとると。

ばってん、こころの病は、人、それぞれ。たいへんたい。

 

うん

 

 

ねぇちゃん、やくそくば、おぼえとる?

 

 

なに?

 

 

おとこだったら、泣いちゃいけん、と。

オレ、あの日から、いちども泣いとらんとよ。

 

 

うん。

 

 

ボンバイエ、やろ?

 

 

うん、ボンバイエ

 

 

ねぇちゃんの笑顔を見て、笑顔になる忠。

生気は戻らないまま、看護師に支えられて、談話室を出ていきました。

 

 

そこに、亜紀子の部下で、連絡が取れなくなっていた川本(谷川昭一朗)がやってきました。

 

 

いつもと雰囲気が異なり、神妙な面持ち。

 

 

社長・・

 

 

ゆっくりと、土下座する、川本

 

 

川本・・

 

 

社長、申しわけありませんでした

 

 

川本、どうしたの?

 

 

優秀な、弁護士とコンサルタントだと思っていたんですが、

騙されまして。会社を、乗っ取られてしまいました

 

 

申し訳ありませんでした!申し訳ありません・・泣き崩れる川本

 

 

そんな川本を気遣う、亜紀子

 

 

ねぇ、川本。わたし、ゼロになれたかな?

 

 

えっ?

 

 

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

人はだれも、人生はいい事も悪い事もあって、プラスマイナス、ゼロ。

これまで、わがまま三昧だった亜紀子には、これからはマイナスばかりが待ってるんじゃないですか?と言っていた川本に、問いかける亜紀子

 

 

人生、プラスマイナス、ゼロなんでしょう?

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

川本、いちから出直しだね。

川本、ひとつだけお願い。

 

 

翌日の診察室には、亜紀子と川本。

今日は亜紀子が院長先生(及川いぞう)先生側に座っています。

 

 

そうですか、退院したいですか

 

 

はい。

 

 

治ったと思いますか?

 

 

分かりません。

 

 

一刻も早く退院して「一から出直す」はずなのに、「分かりません」という亜紀子の答えに、驚く、川本

 

 

何が正しくて、何が正しくないのか。ただ、ここに来た時とは、変わった思います。

 

 

院長先生、笑顔で「いいでしょう、退院の手続きしましょう」

 

長いこと、医者をやってるとね、最初に患者んさんを診ただけで、分かるもんです。

深水さんは、自分からここへやってきた。あなたは、病院に、救いを求めていたんでしょう。

 

でも、それはおごりかもしれない。

本当の苦しみは、患者さん本人にしか、分からないのかもしれない。

 

 

また、みんなに会いたくなったら、いつでも、来てください。

 

 

 

はい

 

 

これからが、頑張りどころですよ、亜紀子おねぇさん。

 

 

 

 

 

そして、患者たちが集まっている談話室へ

 

 

相変わらず、ミキ(花奈澪)は苦手というか、怖いらしい亜紀子(笑)

 

 

亜紀子がミキを避けるように歩くと、そこにクロマニヨン赤星(鶴忠博)がミキにシャドーボクシングで威嚇?

 

どけよ!

 

 

ミキのボディブローがまたもさく裂して、ダウンする、クロマニヨン赤星(笑)

 

赤星に亜紀子が手をかざして「ポーキー♪」

 

その手に軽くジャブを出す、赤星

 

 

白田くんが亜紀子のとこにやってきて

 

 

ねぇ、今度、いっしょに、高倉健のコンサートに行かない?

 

 

いいよ♪天国でね!

 

 

フェレディー・マーキュリーな不破さん(仲田育史)に、”独特な散文詩”でコミュニケーションをとろうとする亜紀子

 

 

ニューヨークの、・・・、レインボウ

 

 

おぇぇ、なんだよ、それ、的な表情の不破さん

 

えぇぇ、ダメぇ??

 

 

草薙さん「あのよ・・」

 

 

やらせないよ、一発も!

 

 

なっ、ケチなんだからなぁ

 

 

なんだか、楽しそうな亜紀子の笑顔

 

 

 

ベンチチートに座るミキに、床に座った天敵の後藤(新晟聡)が、ヤクルトを飲みながら、1本はミキにあげます。ふたを開けるのが面倒なミキは、後藤に(開けてから、渡せよ!)、みたいな感じで、

 

はい、って従う、後藤。いつのまにか、天敵から、上下関係に変化してた(笑)でも、後藤に罵声を浴びせたり、殴りかかったりはしていないし、

 

 

クロマニヨンへのボディーブローは、ふたりの間では挨拶みたいなもんで、クロマニヨンも、シャドーをミキに当てるつもりはなく、むしろ、ボクシングを楽しんでて、唯一、相手をしてくれるミキとは、相性がいいんじゃないかなって思うし、

 

 

後藤から受け取ったヤクルトを飲みながら、横を通った、強迫神経症の佐古っち(横山貴之)には、そっと折り紙をプレゼントしたり、

 

ミキの症状は、改善されているようです

 

佐古っちも、受け取った折り紙を持って、自分の定位置の机まで歩いていくと、その折り紙を机に置いて、とても、リラックスしているように見えます

 

 

こうして、仲間のみんなと最後の別れを惜しむ、亜紀子は、

グループ・カウンセリングの時には、嫌がって、ちゃんとしなかった自己紹介を始めました

 

 

みんなは聞いているのか、聞いてないのか、分からないけど。

 

 

 

深水亜紀子です。緒方忠のねぇちゃんです。

歳は55才です。

食品関係の会社で社長をしています。

お金が大好きで、面倒なことは大嫌いで、

 

面倒なことは、人に押し付ける、そんな生き方をしてきました。

 

でも、皆さんと会って、これからは、人のためになる仕事をしたいと思っています。

これは、マジです。

 

皆さんは、幸せになる権利があると思うんです。

たいへんだと思いますが、負けないで!

 

 

亜紀子は深くお辞儀をしました

 

 

いつものように、無表情で部屋の中をひきずるように歩いている小幡ちゃん(山田諭)が、

定まらない視線、口が半開きの状態で座っている緒方さんの元に近づき、耳元でささやきました

 

(あきこ、ボンバイエ)

 

 

忠「あ、き、こ。ボンバイエ」

 

 

すると、他の患者たちも、自分たちのペースで、口々に

 

 

亜紀子

 

 

ボンバイエ

 

 

亜紀子!

 

 

ボンバイエ!

 

 

やがて、それは、ひとつの大きな声になり、

 

 

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

 

 

暗転

 

 

僕は、凄く好きになった舞台を観た後は、こうして、感想というよりは、頭の中に残っている台詞やト書きを、吐き出すようにというか、忘れないように、ブログに書いています。

 

書いています、と言っても、これは、2年前の夏、上田慎一郎監督脚本・共同演出、橋本昭博さん演出・主演、秋山ゆずきさんがヒロインの劇団モラトリアムパンツ第7回公演「恋する小説家」、

 

が初めてで、その次は、2年後、つまり、今年の夏、

 

清水尚弥さん、花奈澪さん、秋月成美さん主演、劇団た組。「惡の華」

 

 

この、「イノチボンバイエ」の「感想」を書いてる途中で書いた、

 

チタキヨ第4回公演「わたしはミシン」(田中千佳子中村貴子高橋恭子名倉右喬小笠原佳秀。脚本・演出:米内山陽子

 

そして、「イノチボンバイエ」。この4作品です。

 

文才ないので、かっこよくて感動的な観劇感想を手堅くまとめて書くこと出来ないし。

それならば、その舞台そのものを直接文章にして、読んで下さった方が、そこから、何かを感じていただければ、

 

読んで下さっているのは、実際にその舞台を観られた方が多いと思うので、作品を観た時の感動を思い起こしていただけたらよいな、と思います。

 

まぁ、主には書いてる自分が、改めて感動出来ればいいなって思いながら書いてます。

直近の「わたしはミシン」「イノチボンバイエ」は、書いたものを自分で読み返して、自分で泣いてます。

 

 

終わり

 

 

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

亜紀子(浅野温子)がひとり座っている談話室に、両側をふたりの看護師に抱えられて、緒方さん(杉本凌士)が保護室からやってきました。

 

 

目は焦点が合わず、口は半開きで、覇気のない、緒方さん。

 

緒方さんは医者ではなくて、統合失調症でここに入院している患者さん。

自分を医者だと思い込み、亜紀子の「緒方先生、いい先生よね。こんな病院、乗っ取っちゃばいいのに」という言葉にスイッチが入ってしまい、看護師を縛り上げて、「この病院を悪徳院長から奪」おうとして。亜紀子に「もう、やめんね!忠!」と怒鳴られて、頭が混乱し、大暴れした後に、看護師によって取り押さえられて、保護室に入れられたました。

 

 

忠・・

 

 

ね、ぇちゃん。久しぶりじゃね。

からだは、どげんね。

 

うん、だいじょうぶ

いつから、わかとったと?

 

 

最初から、たい。いつ、ねぇちゃんが気が付くか、楽しみだったとばい。

 

 

でも、5才の時、別れてから、一度もおうとらんのに、よう分かったね

 

 

あ、たりまえ、たい。きょうだい、やもん。

 

オレは、かんじゃに寄り添った医者ばなりたかと、想っとると。

ばってん、こころの病は、人、それぞれ。たいへんたい。

 

うん

 

 

ねぇちゃん、やくそくば、おぼえとる?

 

 

なに?

 

 

おとこだったら、泣いちゃいけん、と。

オレ、あの日から、いちども泣いとらんとよ。

 

 

うん。

 

 

ボンバイエ、やろ?

 

 

うん、ボンバイエ

 

 

ねぇちゃんの笑顔を見て、笑顔になる忠。

生気は戻らないまま、看護師に支えられて、談話室を出ていきました。

 

 

そこに、亜紀子の部下で、連絡が取れなくなっていた川本(谷川昭一朗)がやってきました。

 

 

いつもと雰囲気が異なり、神妙な面持ち。

 

 

社長・・

 

 

ゆっくりと、土下座する、川本

 

 

川本・・

 

 

社長、申しわけありませんでした

 

 

川本、どうしたの?

 

 

優秀な、弁護士とコンサルタントだと思っていたんですが、

騙されまして。会社を、乗っ取られてしまいました

 

 

申し訳ありませんでした!申し訳ありません・・泣き崩れる川本

 

 

そんな川本を気遣う、亜紀子

 

 

ねぇ、川本。わたし、ゼロになれたかな?

 

 

えっ?

 

 

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

人はだれも、人生はいい事も悪い事もあって、プラスマイナス、ゼロ。

これまで、わがまま三昧だった亜紀子には、これからはマイナスばかりが待ってるんじゃないですか?と言っていた川本に、問いかける亜紀子

 

 

人生、プラスマイナス、ゼロなんでしょう?

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

川本、いちから出直しだね。

川本、ひとつだけお願い。

 

 

翌日の診察室には、亜紀子と川本。

今日は亜紀子が院長先生(及川いぞう)先生側に座っています。

 

 

そうですか、退院したいですか

 

 

はい。

 

 

治ったと思いますか?

 

 

分かりません。

 

 

一刻も早く退院して「一から出直す」はずなのに、「分かりません」という亜紀子の答えに、驚く、川本

 

 

何が正しくて、何が正しくないのか。ただ、ここに来た時とは、変わった思います。

 

 

院長先生、笑顔で「いいでしょう、退院の手続きしましょう」

 

長いこと、医者をやってるとね、最初に患者んさんを診ただけで、分かるもんです。

深水さんは、自分からここへやってきた。あなたは、病院に、救いを求めていたんでしょう。

 

でも、それはおごりかもしれない。

本当の苦しみは、患者さん本人にしか、分からないのかもしれない。

 

 

また、みんなに会いたくなったら、いつでも、来てください。

 

 

 

はい

 

 

これからが、頑張りどころですよ、亜紀子おねぇさん。

 

 

 

 

 

そして、患者たちが集まっている談話室へ

 

 

相変わらず、ミキ(花奈澪)は苦手というか、怖いらしい亜紀子(笑)

 

 

亜紀子がミキを避けるように歩くと、そこにクロマニヨン赤星(鶴忠博)がミキにシャドーボクシングで威嚇?

 

どけよ!

 

 

ミキのボディブローがまたもさく裂して、ダウンする、クロマニヨン赤星(笑)

 

赤星に亜紀子が手をかざして「ポーキー♪」

 

その手に軽くジャブを出す、赤星

 

 

白田くんが亜紀子のとこにやってきて

 

 

ねぇ、今度、いっしょに、高倉健のコンサートに行かない?

 

 

いいよ♪天国でね!

 

 

フェレディー・マーキュリーな不破さん(仲田育史)に、”独特な散文詩”でコミュニケーションをとろうとする亜紀子

 

 

ニューヨークの、・・・、レインボウ

 

 

おぇぇ、なんだよ、それ、的な表情の不破さん

 

えぇぇ、ダメぇ??

 

 

草薙さん「あのよ・・」

 

 

やらせないよ、一発も!

 

 

なっ、ケチなんだからなぁ

 

 

なんだか、楽しそうな亜紀子の笑顔

 

 

 

ベンチチートに座るミキに、床に座った天敵の後藤(新晟聡)が、ヤクルトを飲みながら、1本はミキにあげます。ふたを開けるのが面倒なミキは、後藤に(開けてから、渡せよ!)、みたいな感じで、

 

はい、って従う、後藤。いつのまにか、天敵から、上下関係に変化してた(笑)でも、後藤に罵声を浴びせたり、殴りかかったりはしていないし、

 

 

クロマニヨンへのボディーブローは、ふたりの間では挨拶みたいなもんで、クロマニヨンも、シャドーをミキに当てるつもりはなく、むしろ、ボクシングを楽しんでて、唯一、相手をしてくれるミキとは、相性がいいんじゃないかなって思うし、

 

 

後藤から受け取ったヤクルトを飲みながら、横を通った、強迫神経症の佐古っち(横山貴之)には、そっと折り紙をプレゼントしたり、

 

ミキの症状は、改善されているようです

 

佐古っちも、受け取った折り紙を持って、自分の定位置の机まで歩いていくと、その折り紙を机に置いて、とても、リラックスしているように見えます

 

 

こうして、仲間のみんなと最後の別れを惜しむ、亜紀子は、

グループ・カウンセリングの時には、嫌がって、ちゃんとしなかった自己紹介を始めました

 

 

みんなは聞いているのか、聞いてないのか、分からないけど。

 

 

 

深水亜紀子です。緒方忠のねぇちゃんです。

歳は55才です。

食品関係の会社で社長をしています。

お金が大好きで、面倒なことは大嫌いで、

 

面倒なことは、人に押し付ける、そんな生き方をしてきました。

 

でも、皆さんと会って、これからは、人のためになる仕事をしたいと思っています。

これは、マジです。

 

皆さんは、幸せになる権利があると思うんです。

たいへんだと思いますが、負けないで!

 

 

亜紀子は深くお辞儀をしました

 

 

いつものように、無表情で部屋の中をひきずるように歩いている小幡ちゃん(山田諭)が、

定まらない視線、口が半開きの状態で座っている緒方さんの元に近づき、耳元でささやきました

 

(あきこ、ボンバイエ)

 

 

忠「あ、き、こ。ボンバイエ」

 

 

すると、他の患者たちも、自分たちのペースで、口々に

 

 

亜紀子

 

 

ボンバイエ

 

 

亜紀子!

 

 

ボンバイエ!

 

 

やがて、それは、ひとつの大きな声になり、

 

 

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

 

 

暗転

 

 

僕は、凄く好きになった舞台を観た後は、こうして、感想というよりは、頭の中に残っている台詞やト書きを、吐き出すようにというか、忘れないように、ブログに書いています。

 

書いています、と言っても、これは、2年前の夏、上田慎一郎監督脚本・共同演出、橋本昭博さん演出・主演、秋山ゆずきさんがヒロインの劇団モラトリアムパンツ第7回公演「恋する小説家」、

 

が初めてで、その次は、2年後、つまり、今年の夏、

 

清水尚弥さん、花奈澪さん、秋月成美さん主演、劇団た組。「惡の華」

 

 

この、「イノチボンバイエ」の「感想」を書いてる途中で書いた、

 

チタキヨ第4回公演「わたしはミシン」(田中千佳子中村貴子高橋恭子名倉右喬小笠原佳秀。脚本・演出:米内山陽子

 

そして、「イノチボンバイエ」。この4作品です。

 

文才ないので、かっこよくて感動的な観劇感想を手堅くまとめて書くこと出来ないし。

それならば、その舞台そのものを直接文章にして、読んで下さった方が、そこから、何かを感じていただければ、

 

読んで下さっているのは、実際にその舞台を観られた方が多いと思うので、作品を観た時の感動を思い起こしていただけたらよいな、と思います。

 

まぁ、主には書いてる自分が、改めて感動出来ればいいなって思いながら書いてます。

直近の「わたしはミシン」「イノチボンバイエ」は、書いたものを自分で読み返して、自分で泣いてます。

 

 

終わり

 

 

(写真は、男前な花奈澪さん。元宝塚花組娘役だけど)

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

四条(剛州)は、借金をかかえた、フリーのジャーナリストで、産地偽装バレて、病院に逃げ込んだ、深水亜紀子(浅野温子)社長を追って、この病院に患者として、もぐりこんでいたんです。ここでの会話は、ボイスレコーダーに、しっかり、録音

 

これ、週刊誌に持ち込むか、おたくの会社に買い取ってもらうか考えていたんですけどね。どうも、おたくの会社は買ってくれそうもないんだなぁ。

 

部下の、川本さん、気を付けた方がいいですよ。意外とやり手だからなぁ。

 

 

そぉんな、ことあるわけないじゃない。

 

 

どうですかね、実際、川本さんと連絡、取れてないんでしょう?

 

 

 

ここで、「イノチボンバイエ」唯一の(この幕の前後にあるので、回数としては2回になります)暗転。

 

ここまで、転換は、「役者がいったん、役を離れて、スタッフとして椅子などの小道具を運んでます」的なことがなくて、転換も、常に芝居の流れを遮断しないので、観ていて、集中力が途切れません。

 

そして、幻想的なクライマックスシーンの前後だけに暗転を使うことで、

このシーンの特別感が増していました。

 

 

暗転の中、歓声が聞えてくると・・

 

 

緒方さん(杉本凌士)、山崎さん(中村尚輝)が暴走し、看護師の本田(上村剛史)と大島(町屋友康)を後ろ手に縛り上げて、この病院を「乗っ取ろう」とします

 

緒方さんの手には、凶器のはさみが

 

 

山崎の強烈なまわし蹴りが、看護師ふたりの頭上を襲いました

 

 

 

「あるがまま」になった、患者たち

 

 

いつも、黒いジャージにパンクロックのような黒いTシャツだったミキ(花奈澪)は、

真っ白で、フリフリの衣装を着て、ベンチシートに立つと

 

アイドル歌手のように「ねぇ、みんなミキのこと、好きぃ?」

 

 

こちらも、デニムのベストと短パンにバンダナを巻いて、すっかり印象が変わった佐古っち(横山貴之)や

 

クロマニヨン赤星(鶴忠博)が、ミキに歓声を上げてます「好きぃ!」

 

 

ミキの隣には、清楚なブラウスとスカートから、真っ赤なミニのワンピに着替えた真理子(みはと)が、ホストクラブでこうしてはしゃいでいたのかな?っていうはじけっぷり

 

変わらず、無表情でぼそぼそと歩いてる小幡っちゃん(山田諭)を見つけると

 

「ノリ、わりぃんだよ!」と後ろからけり倒す、真理子

 

 

カオスと化した、談話室

 

 

院長先生(及川いぞう)がやってきて、必死に

 

 

みんな、やめるんだ!緒方さんは医者じゃないんだ!患者なの!

キミたちのことを本気で治そうとしているのは、この私だ!

こんなことしたら、警察の世話になって、本当に出られなくなるぞ!

 

 

亜紀子が、ついに大きな声で

 

やめなさい、忠!!

 

あああぁぁああ~

 

 

忠(緒方さん)からはさみを取り上げ、縛られている、看護師の本田と大島を解こうと

 

 

この、非現実的で幻想的なシーンをさらに異次元のものにしたのは

 

 

 

フレディー・マーキュリーな不破(仲田育史)

 

 

着てるものが、いつも以上に、フレディー・マーキュリーで

 

 

肩にラジカセを担いで、上手からゆっくり歩いて登場

 

ラジカセから流れている曲は・・・

 

ズズ・チャ ズズ・チャ ズズ・チャ ズズ・チャ

 

QUEEN  ♪We Will Rock You の前奏

 

 

 

 

 

一瞬鎮まる、面々

 

不破はそのまま、ベンチシートに登ると、いったん音楽を停止して、ラジカセを持ってない方の手を高く掲げ、

 

 

再び、再生ボタンを押すと・・・

 

 

壮大なメロディーが

 

下のyoutube、5分15秒~

 

これ、どうしてもタイトルが分からなくて、終演後になみおちゃんに聞けばよかったんだけど。

とりあえず、Googleで「タータタータタータ」で検索してみたら、けっこう、yahoo!知恵袋で、同じことしてる人がいて。でも、この曲はなくて

 

クラシックなら、秋山璃帆ちゃんに教えてもらおうと思い、ライブがすぐにはなかったので、

SNSで質問することに。

 

壮大なな感じ、4拍子。

ターータタータ

ターーターー

ターータタータ

ターーーー

 

モールス信号みたいですが💦、さすが、秋山璃帆、一発で「威風堂々ですかね?」

 

 

そうだぁ!正解!

ありがとう、璃帆ちゃん٩(ˊᗜˋ*)و✨✨

 

大音量で「威風堂々」が流れると、清原くん(清田悠聖)が「この曲、やめてぇ!!!」

演奏会で音が出なくなってしまったの、この曲だったのかな?

 

 

亜紀子が紐をほどいたので、看護師の本田と大島は、気が抜けたようになった緒方さんを両側からふたりがかりで捕まえて、保護室(舞台の中央、奥)へと連れて行きます

 

が、威風堂々のメロディーの盛り上がりに合わせるように、

緒方さんの勢いが復活して、ふたりを振り解き、戻ってきました

 

 

この次のシーンは、唯一、アンケートで、

 

良くないと思います

 

 

と書きました。

 

看護師は、ふたりして緒方さんを殴りつけ、倒れたところを、更に何度も蹴りを入れてました。

 

この後の終盤のシーンで、亜紀子が勝手に「ハゲの院長、ヤブ医者」と勘違いしていただけで、本当は患者想いの良い先生だと分かります。良い先生が院長の病院であれば、たとえ、患者が暴れたとしても、暴力で押さえつけることはしないと思うんです。

 

もちろん、これは、フィクション。お芝居なので、分かりやすい演出にしたのだとは思いますが、殴る蹴るはせずに、暴れる緒方さんをなんとかふたりが保護室へと連れて行く、というようにした方がいいんじゃないかなって思いました。

 

 

こうして、緒方さんが談話室から連れ出されると一緒に、暗転

 

このクライマックスシーンは終わります

 

 

続く

 

 

(写真は、1シーン以外、一切こんなお茶目な表情をみせない花奈澪さん)

 

浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

いくつか、どこの場面で出てきたのか、記憶があいまいなシーンを、まずはまとめて

書きます。

 

亜紀子(浅野温子)が、清原くん(清田悠聖)に向かって言ったんだっけなぁ。

 

 

緒方先生(杉本凌士)、いい先生だよね。

あたしの主治医、ハゲの院長でさぁ。

 

 

さらに「こんな病院、(緒方先生が)乗っとっちゃえばいいのに」

 

 

この言葉が、後から、危険な事態を招くことになるとは・・

 

 

亜紀子は、ハゲの院長とはそりが合わないんだけど、緒方先生とは、よく話をします。

 

ここにいる患者は、ずっと退院できないんですよ。

 

どうしてですか?

 

家族が許可を出さない限り、退院できないです。病院は責任をとりたくないんでしょう。

引き取りを拒否している家族もいますし。

 

 

 

 

夜。エリカさん(信川清順)が、キャベツを赤ん坊のように抱きながら

 

「よーし、よーし。

 よーし、よーし。」

あやすように、歩いてました。

 

キャベツも、食べてた

 

 

 

 

これまでに、どんな病気で、どうして発症したか、いろんな形で明らかになってきました。

 

佐古っち(横山貴之)は、草薙さん(坪内守)が亜紀子に紹介する形で、脅迫神経症、原因は明かされず、

 

清原くんは、草薙さんが亜紀子に紹介と、カウンセリングで、パニック障害、原因は父からの暴力・暴言による過度のストレス、

 

後藤(新晟聡)は、グループカウンセリングでの告白と、幻覚・幻聴で、ホストクラブで飲みまくるしか給料をもらう手立てがなくて、アルコール依存症に、

 

真理子さん(みはと)は、草薙が高梨先生(及川いぞう)に話してたのと、幻覚・幻聴で、ホストにハマり、薬物にも手を染めた挙句、借金を抱えて風俗で働くも借金は減らず、ホストから追い込まれることで、自傷行為に、

 

エリカさんは、自分の子供を亡くしたショックから、子供の人格が出てしまうということが、緒方先生が亜紀子に教えていたのと、「キャベツ」をあやす姿で分かり、

 

クロマニヨン赤星(鶴忠博)は、亜紀子が川本(谷川昭一朗)に教える形で、元ボクサーと分かり、川本が亜紀子にボクサーの過酷さを話すことで、恐らく、パンチドランカー、

 

草薙は、やたらとせわしなくしゃべりまくっていた(自分は精神疾患ではないと確信している)かと思うと、「1発、やらしてくんねぇがい?ほれ、これこれこれこれ」と別人格の性欲の塊になったりするのが、行動で分かりますが、病名・原因は不明、

 

ミキ(花奈澪)は、感情のコントロールが出来ず、すぐに暴力を振るったり、暴言を吐いたりしますが、原因は不明、

 

不破さん(仲田育史)と四条さん(剛州)は、草薙が亜紀子に不破さんのことを「天才となんとかは紙一重って言うじゃないですか」と言ってるだけで、なんで会話が「ケンちゃん、チャコちゃん」「収入印紙だね」なのか、病名・原因は不明、

 

 

 

小幡っちゃん(山田諭)は、草薙が亜紀子に「治療の一環で、こうして歩いてるんですけど、なんの治療か分かりません」って言っただけで、病名・原因は不明、

 

そして、白田(大塩ゴウ)くんは、「今度、レディ・ガガが会いに来るから、紹介するよ」と言ったり、「スパニタクル星人。ここは危ないんだからっ、アブナ!」「スパニタクル・バリーーーーア」と、なにがなんだか分からなかったのですが、

 

夜、亜紀子に向かって「ボクの日記」を読んで聞かせることで、原因が、なぜスパニタクル星人なのかが明らかになりました。

 

大塩ゴウさんは、TBS「闇金ウシジマくんseason3」でに、チンピラの柏木役で出演していて、その風貌はスキンヘッドに眉毛もなく。しゃべり方も声のトーンも、やくざ。あまりのギャップに、腰抜かしました。

 

 

白田くんは、13~16才くらいだと思います。

 

ボクの日記

 

(小刻みに足踏みしながら、目を大きく見開いて、読み始めます)

 

かなり、実際の日記とは違ってるけど・・(頭にちゃんと日記が残ってないので💦)

 

 

朝ごはんに、誰かが、ツバを、掛けた。

イヤだけど、ご飯をた、べないと、弱ったと、ころを、

スパ、ニタクルせ、いじんに、攻撃さ、れるから、ガマンして、食べる

 

今日も、誰かが、ボクが、エグザイルに入るのをジャマ、するために、

耳の奥に、スピーカーを仕込んで、ボクを罵倒する

スパニタクル星人も、ボクを、罵倒する

 

お昼は、もっとサイアクだ。

今度はご飯におしっこを、かける

アンモニアの臭いがす、る、ご飯を、たべる

 

たまに、スパニタクル星人に、みつからずに、隠れることが、出来る

そんなとき、ボクは、とても、おだやかな気持ちに、なれるん、だよ。

 

でも、また、すぐに見つかって、殴られる

 

日記を書いた紙をたたむと、正面を向いて

 

 

でも、ボクは負けないぞ。マケナイ、マケナイ、マケナイ

 

白田くんは学校で壮絶ないじめを受け、朝ごはんもってことは、もしかしたら、家庭でも親から虐待されていたのかもしれない。

 

その現実から心を守るため、自分はスパニタクル星人に攻撃されてるというストーリーを作り上げていたんだということが分かりました。

 

 

混乱した亜紀子は、談話室の外にある公衆電話から(携帯は病院に取り上げられているので)、会社に電話するんですが、川本がつかまりません。

 

 

と、まぁ、このあたりが、順番があやふやです。

 

 

談話室に全員そろってるところに、緒方先生と看護師の山崎さん(中村尚輝)がやってきて、

 

 

緒方先生から

 

 

今日は、大事な話があります

 

 

エリカや白田くんが、いつものように騒いでると、ミキだったかな、「静かにしろよ、大事な話って言ってんだろ!」

 

皆さん、森田療法はご存知ですか?

たいへん、実績がある治療法です

 

歩くウィキペディアの草薙さんが「いや、わたしとしたことが、知りませんでしたぁ」

 

森田療法の説明をする緒方先生。最後に、

 

あるがままを受け入れる。そして、ここが一番大切です。薬に頼らない、ということです。

 

 

するとミキが「えっ?薬を飲まないの?」と不安そうに言うと

 

 

飲まないんじゃない、飲んじゃいけないんです。

 

 

じゃあ、もう薬は出ないの?

 

いいえ、山崎くん。

 

 

山崎さん、ベンチシートの上に立つと、手にe-maのど飴みたいな丸くて直径は8mmくらいのものを舌に乗せて、観客にも、患者さんたちにも見えるようにします。で、飲み込んで、口には何もないことを見せます。いったん口を閉じて、また口を開けて舌を出すと、舌の上には、さっきの丸い飴が。

 

 

それを見た、亜紀子が

 

あー、それ、得意・・・な気がします

 

 

でも、もう、薬は出ないんじゃないんですか?

 

いえ、院長には言っていません。薬を辞めたら、利益が減りますからね。病院は薬を辞めたがらないんです。

 

実績を積んで、それを院長に、いや、医師会にぶつけるんです!

 

 

でも、そんなことしたら、緒方先生が・・・

 

 

僕のことはいいんです!

 

 

そして、薬を飲んだフリの練習から、男性患者たちが一列に並んで、ふたりの看護師の前で、薬を受け取ると、次々に飲んだフリをしていきました

 

白田くんは、成功して、口の中に残ってる薬の粒をさくらんぼの種飛ばしのように、緒方先生に向かって、笑いながら吐き出しました。

 

 

亜紀子は、自分が処分されることを恐れずに、患者のために新しい治療法を提案・実行する緒方先生を、完全に信頼、尊敬のまなざしでした。

 

ここでも、流れるような転換で、患者が全員いた談話室から、翌日の診察室へ。

 

 

亜紀子は、高梨先生に切り出します。

 

 

あの、先生を代えて欲しいんですけど。患者にだって、そういい権利、あると思うんですよ。

 

 

えっ?代えるって?

 

 

はい。

 

 

この病院の医者は、僕だけですよ。

 

 

まったぁ。若くて、いい先生がいるじゃないですか。

 

 

??

 

 

緒方先生ですよ。

 

 

緒方先生?あー!緒方先生ね。

 

 

院長先生は、ふたりの看護師の方へ振り向いて、笑い出しました。

 

 

あー、女性は階が違うから、知らないのかな?

緒方さんはね、統合失調症の患者なの。

どういうわけか、自分を医者だと思い込んでてね、

ほんとは大工なんだけどね。

なんていうのかな、なんかの拍子で、スイッチが入っちゃうんだよね。

なまじ、医者の知識があるもんだから、厄介なのよ

 

あっ、薬飲んでないのかなぁ。本田くん、ちゃんとチェックしてる?彼、飲んだフリするの上手いから。ちゃんとチェックしてよ。

 

 

衝撃の言葉に、固まる亜紀子

 

 

だって・・看護師も・・

 

 

あぁ、山崎くん?彼はね、解離性同一性障害。いわゆる多重人格。

これね、上手い具合に、ふたり、ペアになってるんだなぁ。

 

病気ってすごいでしょ?下手な役者なんかより、よっぽど本物みたいだから。

 

 

さらに固まる、亜紀子

 

なにか、変なこと言われてないですか?

いま、あなたは自分の病気を治すことだけ、考えてください。

 

 

 

スイッチを入れちゃったの、わたしだ。。

 

 

亜紀子が談話室に戻ると、患者たちが、緒方先生に、状態を報告していました。

 

草薙は、絶好調

白田くん「今日、スパニタクル星人、来なかったよ!」

 

ところが、後藤が手を挙げると「オレさ、特に変わらないんだけど。小幡っちゃんなんか、むしろ、テンション下がってない?あと、佐古っちとクロマニヨンも」

 

 

緒方先生、怒ったように「デトックス効果です。まだ1日目だ。わたしの言うことに従っていればいいんだ!」

 

 

山崎さんが、各自に合わせたプログラムを記入した用紙を配ります。

 

それじゃ、体調の変化があったら、教えてください。よろしく。

 

部屋から出ていく、緒方さんと山崎さん。

 

 

亜紀子、(どうしよう、どうしよう、どうしよう)

 

 

みんな、聞いて!緒方さん、先生じゃないの!患者さんなの!

 

 

一同、ポカーン

 

 

すると、草薙が「知ってますよ。それがなにか?」

 

 

えっ??

 

 

ミキ「医者とか、患者とか、関係ねぇんだよ。

   どうせ、オレたち、ここから出られないんだから」

 

 

草薙「子供のころ、あいつ、頭おかしい!ってよく言われたんですよ。でも、人間なんて、みんな、狂ってますから」目がマジ。怖い表情のまま出ていくと

 

ミキが「えー、なに?ちょー受ける。行こう!」真理子と一緒に草薙の後を追っていきました。

 

 

混乱を極める、亜紀子。

 

 

談話室に残っているのは、清原くん、四条さん、フレディー・マーキュリーの不破さん。

 

 

上手側前方に立ち尽くす亜紀子に向かって、不破さんが歩いてきました

 

ダイク、キュウシュウ、タダシブラザース

 

 

ダイク、キュウシュウ、タダシブラザース

 

亜紀子  はい、はい(混乱してるところに、いつもの、意味不明なことを言い出す不破さんにイラつきながら)

 

ダイク、キュウシュウ、タダシブラザース

 

はい、はい・・・えっ?

 

 

 

大工、九州、忠ブラザース

 

 

そのまま、立ち去る不破さん

 

 

(まさか、まさか!)

 

 

清原くんに

 

ねぇ、緒方さん、下の名前は?

 

っ、タダシ

 

 

どこの出身?

 

知らない。でも、お医者さんじゃないときは、九州の言葉をしゃべってるよ

 

 

清原くんも、部屋から出ていきました

 

 

 

緒方さんは、5才の時に離れ離れになった、弟の忠だ!

 

 

談話室に残っているのは、亜紀子のほかには、フレディー・マーキュリー不破さんと気が合っていて、「コメットさん」「駒澤大学付属苫小牧高校」で不破さんとの会話が成立している、四条さんだけ。

 

 

亜紀子は、まさかの弟との再会と、弟の「スイッチ」を入れてしまったことで、

混乱、混乱、混乱

 

 

さらに、イラつかせるように、四条が

 

ジャーナリスト、ホッカイドウシュッシンデス

 

 

 

ちょっと、黙っててくれない?

今、すごく混乱てて

 

ダイジナハナシヲシマス

 

 

タダシイモリタリョウホウハ、サイショノイッシュウカン、ショクジイガイ、カンジャを寝かせておくことです。

 

あるがままを受け入れる。危険だと思いませんか?

大変なことになってきましたねぇ、深水社長。

 

 

続く