ON×SOUL「イノチボンバイエ」感想⑨ラスト;みなさんには、幸せになる権利があると思うんです | 元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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浅野温子×劇団男魂(メンソウル)

TEAM ON×SOUL 1st

「イノチボンバイエ」 中野ザ・ポケット

 

亜紀子(浅野温子)がひとり座っている談話室に、両側をふたりの看護師に抱えられて、緒方さん(杉本凌士)が保護室からやってきました。

 

 

目は焦点が合わず、口は半開きで、覇気のない、緒方さん。

 

緒方さんは医者ではなくて、統合失調症でここに入院している患者さん。

自分を医者だと思い込み、亜紀子の「緒方先生、いい先生よね。こんな病院、乗っ取っちゃばいいのに」という言葉にスイッチが入ってしまい、看護師を縛り上げて、「この病院を悪徳院長から奪」おうとして。亜紀子に「もう、やめんね!忠!」と怒鳴られて、頭が混乱し、大暴れした後に、看護師によって取り押さえられて、保護室に入れられたました。

 

 

忠・・

 

 

ね、ぇちゃん。久しぶりじゃね。

からだは、どげんね。

 

うん、だいじょうぶ

いつから、わかとったと?

 

 

最初から、たい。いつ、ねぇちゃんが気が付くか、楽しみだったとばい。

 

 

でも、5才の時、別れてから、一度もおうとらんのに、よう分かったね

 

 

あ、たりまえ、たい。きょうだい、やもん。

 

オレは、かんじゃに寄り添った医者ばなりたかと、想っとると。

ばってん、こころの病は、人、それぞれ。たいへんたい。

 

うん

 

 

ねぇちゃん、やくそくば、おぼえとる?

 

 

なに?

 

 

おとこだったら、泣いちゃいけん、と。

オレ、あの日から、いちども泣いとらんとよ。

 

 

うん。

 

 

ボンバイエ、やろ?

 

 

うん、ボンバイエ

 

 

ねぇちゃんの笑顔を見て、笑顔になる忠。

生気は戻らないまま、看護師に支えられて、談話室を出ていきました。

 

 

そこに、亜紀子の部下で、連絡が取れなくなっていた川本(谷川昭一朗)がやってきました。

 

 

いつもと雰囲気が異なり、神妙な面持ち。

 

 

社長・・

 

 

ゆっくりと、土下座する、川本

 

 

川本・・

 

 

社長、申しわけありませんでした

 

 

川本、どうしたの?

 

 

優秀な、弁護士とコンサルタントだと思っていたんですが、

騙されまして。会社を、乗っ取られてしまいました

 

 

申し訳ありませんでした!申し訳ありません・・泣き崩れる川本

 

 

そんな川本を気遣う、亜紀子

 

 

ねぇ、川本。わたし、ゼロになれたかな?

 

 

えっ?

 

 

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

人はだれも、人生はいい事も悪い事もあって、プラスマイナス、ゼロ。

これまで、わがまま三昧だった亜紀子には、これからはマイナスばかりが待ってるんじゃないですか?と言っていた川本に、問いかける亜紀子

 

 

人生、プラスマイナス、ゼロなんでしょう?

わたし、ゼロになれたかな?

 

 

川本、いちから出直しだね。

川本、ひとつだけお願い。

 

 

翌日の診察室には、亜紀子と川本。

今日は亜紀子が院長先生(及川いぞう)先生側に座っています。

 

 

そうですか、退院したいですか

 

 

はい。

 

 

治ったと思いますか?

 

 

分かりません。

 

 

一刻も早く退院して「一から出直す」はずなのに、「分かりません」という亜紀子の答えに、驚く、川本

 

 

何が正しくて、何が正しくないのか。ただ、ここに来た時とは、変わった思います。

 

 

院長先生、笑顔で「いいでしょう、退院の手続きしましょう」

 

長いこと、医者をやってるとね、最初に患者んさんを診ただけで、分かるもんです。

深水さんは、自分からここへやってきた。あなたは、病院に、救いを求めていたんでしょう。

 

でも、それはおごりかもしれない。

本当の苦しみは、患者さん本人にしか、分からないのかもしれない。

 

 

また、みんなに会いたくなったら、いつでも、来てください。

 

 

 

はい

 

 

これからが、頑張りどころですよ、亜紀子おねぇさん。

 

 

 

 

 

そして、患者たちが集まっている談話室へ

 

 

相変わらず、ミキ(花奈澪)は苦手というか、怖いらしい亜紀子(笑)

 

 

亜紀子がミキを避けるように歩くと、そこにクロマニヨン赤星(鶴忠博)がミキにシャドーボクシングで威嚇?

 

どけよ!

 

 

ミキのボディブローがまたもさく裂して、ダウンする、クロマニヨン赤星(笑)

 

赤星に亜紀子が手をかざして「ポーキー♪」

 

その手に軽くジャブを出す、赤星

 

 

白田くんが亜紀子のとこにやってきて

 

 

ねぇ、今度、いっしょに、高倉健のコンサートに行かない?

 

 

いいよ♪天国でね!

 

 

フェレディー・マーキュリーな不破さん(仲田育史)に、”独特な散文詩”でコミュニケーションをとろうとする亜紀子

 

 

ニューヨークの、・・・、レインボウ

 

 

おぇぇ、なんだよ、それ、的な表情の不破さん

 

えぇぇ、ダメぇ??

 

 

草薙さん「あのよ・・」

 

 

やらせないよ、一発も!

 

 

なっ、ケチなんだからなぁ

 

 

なんだか、楽しそうな亜紀子の笑顔

 

 

 

ベンチチートに座るミキに、床に座った天敵の後藤(新晟聡)が、ヤクルトを飲みながら、1本はミキにあげます。ふたを開けるのが面倒なミキは、後藤に(開けてから、渡せよ!)、みたいな感じで、

 

はい、って従う、後藤。いつのまにか、天敵から、上下関係に変化してた(笑)でも、後藤に罵声を浴びせたり、殴りかかったりはしていないし、

 

 

クロマニヨンへのボディーブローは、ふたりの間では挨拶みたいなもんで、クロマニヨンも、シャドーをミキに当てるつもりはなく、むしろ、ボクシングを楽しんでて、唯一、相手をしてくれるミキとは、相性がいいんじゃないかなって思うし、

 

 

後藤から受け取ったヤクルトを飲みながら、横を通った、強迫神経症の佐古っち(横山貴之)には、そっと折り紙をプレゼントしたり、

 

ミキの症状は、改善されているようです

 

佐古っちも、受け取った折り紙を持って、自分の定位置の机まで歩いていくと、その折り紙を机に置いて、とても、リラックスしているように見えます

 

 

こうして、仲間のみんなと最後の別れを惜しむ、亜紀子は、

グループ・カウンセリングの時には、嫌がって、ちゃんとしなかった自己紹介を始めました

 

 

みんなは聞いているのか、聞いてないのか、分からないけど。

 

 

 

深水亜紀子です。緒方忠のねぇちゃんです。

歳は55才です。

食品関係の会社で社長をしています。

お金が大好きで、面倒なことは大嫌いで、

 

面倒なことは、人に押し付ける、そんな生き方をしてきました。

 

でも、皆さんと会って、これからは、人のためになる仕事をしたいと思っています。

これは、マジです。

 

皆さんは、幸せになる権利があると思うんです。

たいへんだと思いますが、負けないで!

 

 

亜紀子は深くお辞儀をしました

 

 

いつものように、無表情で部屋の中をひきずるように歩いている小幡ちゃん(山田諭)が、

定まらない視線、口が半開きの状態で座っている緒方さんの元に近づき、耳元でささやきました

 

(あきこ、ボンバイエ)

 

 

忠「あ、き、こ。ボンバイエ」

 

 

すると、他の患者たちも、自分たちのペースで、口々に

 

 

亜紀子

 

 

ボンバイエ

 

 

亜紀子!

 

 

ボンバイエ!

 

 

やがて、それは、ひとつの大きな声になり、

 

 

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

亜紀子!ボンバイエ!

 

 

暗転

 

 

僕は、凄く好きになった舞台を観た後は、こうして、感想というよりは、頭の中に残っている台詞やト書きを、吐き出すようにというか、忘れないように、ブログに書いています。

 

書いています、と言っても、これは、2年前の夏、上田慎一郎監督脚本・共同演出、橋本昭博さん演出・主演、秋山ゆずきさんがヒロインの劇団モラトリアムパンツ第7回公演「恋する小説家」、

 

が初めてで、その次は、2年後、つまり、今年の夏、

 

清水尚弥さん、花奈澪さん、秋月成美さん主演、劇団た組。「惡の華」

 

 

この、「イノチボンバイエ」の「感想」を書いてる途中で書いた、

 

チタキヨ第4回公演「わたしはミシン」(田中千佳子中村貴子高橋恭子名倉右喬小笠原佳秀。脚本・演出:米内山陽子

 

そして、「イノチボンバイエ」。この4作品です。

 

文才ないので、かっこよくて感動的な観劇感想を手堅くまとめて書くこと出来ないし。

それならば、その舞台そのものを直接文章にして、読んで下さった方が、そこから、何かを感じていただければ、

 

読んで下さっているのは、実際にその舞台を観られた方が多いと思うので、作品を観た時の感動を思い起こしていただけたらよいな、と思います。

 

まぁ、主には書いてる自分が、改めて感動出来ればいいなって思いながら書いてます。

直近の「わたしはミシン」「イノチボンバイエ」は、書いたものを自分で読み返して、自分で泣いてます。

 

 

終わり