劇団男魂第17回本公演「航路」② 3者3様~駅の待合室での会話の始まり | 元玉拾い(もと、たまひろい)のスポーツとか草花とか

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オープニングの出演者紹介が終わると、ステージ中央に置かれた黒いベンチに、ルーズに座って、ポケットから本を取り出して、終盤のあたりを読んでいる男性(倉元道夫:杉本凌士さん)

 

上手袖から、キャリーバッグを引きながら、男性が入ってきました(森田:大塩ゴウさん)

 

 

気配を感じたものの、読書の邪魔をされたくないので、無視していた倉元に近づくと、スマホを手に

 

「さきほどは、どうも」

 

チラ見

 

これ、拾っていただいて。

 

 

あぁ

 

 

 

助かりましたぁ。もう、クリスマスの前にスマホなくしたら、どうなってたことか。

落としたの、全然気が付かなくてぇ。ほんと、ありがとうございます。

 

と言いながら、ベンチの隣に座ります。

 

 

相変わらず、読書の邪魔をされたくなくて、無視してる、倉元の方をのぞき込むと

 

 

おっ、『ハサミ男』ですか。ミステリー、面白いですよね。でも、まさか、犯人が●●だったなんて

 

ギロっ

 

 

あっ

 

 

すみません。怒ってますよね?

 

 

本を閉じて、立ち上がり、ベンチから数歩歩きながら「怒ってません」

 

・・・

 

その本をゴミ箱に投げ捨てました

 

 

やっぱり、怒ってるじゃないですかぁ

 

いや、怒ってませんから。(ベンチに戻り、座りながら)次の電車まで1時間あるし、ちょうど捨ててあったんで、読んでた(ポケットから出してましたので、実際には、拾ったんじゃなくて、自分で買ったんだと思います)だけですから。

 

ただ、さすがに犯人を言われた時は、がっかりしましたけど

 

 

やっぱり怒ってるじゃないですかぁ

 

いや、怒ってませんから

 

ほんと、すみません。

 

 

あのー、お名前は?

 

 

・・・倉元です。

 

倉元さん。いい名前ですね。

どちらまで?

 

角館です。

 

あっ、じゃあ、4時10分の。わたしも角館です。

どのようなご用件で?

 

えぇ、ちょっと

 

 

野暮用ですか?

 

まぁ、そんなもんです

 

いいなぁ、愛人に会いに行くんですか

 

違いますよ!

 

いいじゃないですか。40代になれば、誰だってありますよ

この、このぉ(ひじで横腹を突っつくように)

 

・・・初対面ですよね?

だから、違いますから。

 

あっ、すみません。もう、すぐ調子に乗ってしまって。

 

・・・あなたは?

 

角館に住んでるんです

 

あぁ、そうですか

 

 

ウソです♪

ひっかりましたねぇ、ハハハ

 

なんでそういうこと言うんですか。面白くないよ。

 

あっ、すみません。もう、すぐこういうこと言うから、妻や子供にもよく馬鹿にされるんです

本当は結婚式に出席するんです。教え子の。わたし、こう見えて、高校の教師なんです。

 

そうなんですか。

 

 

でも、出席すべきかどうか、迷ってるんです。

 

 

どうして?

 

 

それは言えません

 

あぁ、そう、ですか。

 

 

・・・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

聞きたくないんですか?

 

 

なにを?

 

 

出席すべきかどうか、迷ってる理由

 

 

別にぃ

 

えぇぇ?!

 

だって、話したくないんでしょ?

 

 

話したくないけど、聞いて欲しいんです

 

めんどくさい人だなぁ

 

お願いします、聞いて欲しいんです。このままじゃ、壊れそうで

 

 

分かりましたよ、わたしは聞きたい、あなたは聞いて欲しい。それでいいんでしょ?

 

 

ありがとうございます!

 

 

駅の待合室のベンチで話してる倉元と森田

ひとり芝居か、父か由貴との会話の研司

合唱の練習と丸山家

 

この3つが、最初はなんのつながりもなく、暗転から、変わっていきます。

最初の倉元と森田の会話、ここまでだったか、ちょっと自信ないです。

このふたりのシーンは、その後も、かなり笑いの要素が多くて、

「男魂史上、もっとも静かな」

という印象ではありませんでした。

それが、わずか2時間の中で、こんなに展開していくとは!

 

暗転後、研司(坪内守さん)がひとりポツンと座って、携帯で電話してます

 

 

あっ、マドモアゼル・アイ先生ですか?相談したいことが・・えっ?

直接、アイ先生に相談できるんじゃないんですか?

あっ、まず話して、採用されたら。あー、そうでしたか。

はい、分かりました。

 

えー、わたくしぃ、5年ほど前に、会社で高価な機械を壊してしまいましてへぇ、

その弁償のために、給料から大幅に引かれるようになりまして。

で、このぉ、だんだんと、会社にも行きづらくなりまして。

 

携帯を持ってない方の手を、反対の脇の下にはさみながら、時折、声を裏返しながら

話す様子に、なんとも、追い込まれてる、そわそわ感がありました。

最初のシーンで父親のところでみせた、不機嫌そうな無表情とは違います

 

 

続く