今回のお題は、過去をふり返らない花業界がすっかり忘れてしまった母の日ネタ。
まだやるかとの声が聞こえてきそうですが、ポットカーネーションの後始末について。
母の日のカーネーション切り花はとうに役目を終え、生ごみとしてすてられたでしょう。
では、ポットカーネーションはどうなったでしょうか?
わが家では花が終わり、下葉が枯れあがり、葉の色がぬけ、株全体が弱ってきたのでお役目終了となりました。
今年のポットカーネーションは、スーパー・マルナカで買った定番の赤「ミアモーレ」の5号、1,580円(税別)。
画像 2023年5月13日にマルナカで購入、5号1,580円(税別)
これから咲きそうなつぼみの数が多く、株に勢いがあり、値段の割にはお得感。
イオンの同じ5号は、余分な持ち運びバッグが付いていて2,280円(税別)。
すこし枯れた花があり、店員さんが摘みとっていました。
何年か前まではカーネーションとあじさいの鉢がピラミッドのように積みあげられていたのに今年は2段でさびしい
生産協会で定めた鉢ものの日持ち試験マニュアルでの日持ちは購入後17日。
これは咲いた花の数の80%が枯れたときが日持ち終了。
鉢花カーネーションの日持ちが17日、
過去の実例から、まあ、こんなもんでしょう。
赤カーネーションは室内では赤色が退色し、鮮やかさが失われるのが欠点
枯れた花は購入後5日間は摘みとっていたが、その後はそのまま残してある
今年はカーネーション切り花と日持ちを比較できませんでした。
昨年は、イオンで買った地元の淡路産赤スタンサードで17日、
香川県香花園のスプレーは24日(健全な花が2花になった時点)、すべての花が枯れたのは忘れたころで39日でした。
まださほど暑くない5月、6月上旬の室内ですから、切り花はこれぐらい持って当然(香花園スプレーは特別長いですが)。
母の日のポットカーネーションは「根がついた切り花」と言ってきました。
2022年5月15日「母の日のポットカーネーションは根がついた切り花」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12742872451.html
根がついているから、根がない切り花より日持ちが長いが大前提。
しかし、カーネーションでは、根がない切り花のほうが、根があるポットカーネーションより日持ちが長い。
切り花は生産者が、STSをきっちり吸わせて出荷。
消費者が花びんに後処理剤(クリザール小袋)を入れているわけですから、淡路産でも17日の日持ち。
香花園ではスプレーの全花が枯れるまでに39日。
切り花より短いポットカーネーションの日持ちについては複雑な心境ではあります。
2022年5月29日「なぜ母の日のポットカーネーションは切り花より日持ちが短いのか?」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12745199224.html
さて、花が終わった後のポットカーネーション、消費者はどうされているのでしょうか?
植物学的にはカーネーションは宿根草ですから、花が終わっても株は生きています。
さらに、今のカーネーションは四季咲きですから、下の芽が生育して早ければ8月に、遅くても9月下旬には次の花が咲きます。
ただし、室内では光が不足して、軟弱、ひょろひょろになるので、外に出します。
そうすると、スリップス(アザミウマ)、ダニ、アブラムシの攻撃をうけ、健全な姿で花を咲かせるのはかなりシンドイ。
マルナカで買ったポットカーネーションも、購入時には少々花がスリップスにかじられていました。
赤ですから食害痕が目立ちます。
しかし、つぼみのときにかまれた傷ですから、花びらの外側、開花すると見えなくなります。
花が終わった後は、茎がかじられて曲がりくねります。
イオンでもスリップス食害痕が見られました
カーネーションの宿命?
赤品種は特に目立つ
花びらの外側だから、開花すると見えなくなる
消費者が母の日に贈られた、あるいは買ったポットカーネーションの後始末のことを生産者、花屋さんは考えておかなければなりません。
これは鉢もの全体の課題です。
来年も咲くように育てているひともいずれは廃棄します。
その時、鉢も土も燃えるごみとして捨てられることが鉢ものに求められています。
花屋さんが土を引きとり、リサイクルしたり、処分したりする活動もありますが、広がっていません。
燃やせる土にして、自己完結的に処分できるのが効率的でしょう。
わが家の都会のマンションに住む子どもが帰省する時には、クルマのトランクに古い鉢土。
都会では捨てるところがないので、実家へのおみやげ。
都会でも1戸建ての人や地方に住むひとには、そんな苦労はないでしょうが。
千葉県農林総合研究センター研究成果
俺の農業新聞さんのFBより引用
「燃やせる土」での鉢もの栽培の技術はできています。
具体的には、ピートモスやココピート(ヤシ殻)などです。
これらを燃えるごみとして焼却することは、ごみの削減に反するようですが、それはそれ。
もちろん花壇や菜園の土に混ぜこむこともできます。
生育には問題がありませんし、底面吸水も可能です。
鉢ものの土は、生産者の都合より、消費者の都合を優先して「燃やせる土」にする時代になりました。
農業協同組合新聞のweb版(JAcom 無料)に、
コラム「花づくりの現場から」を連載しています。
https://www.jacom.or.jp/column/
宇田明の『もう少しだけ言います』(No.383 2023.6.25)
2015年以前のブログは
(http://ameblo.jp/udaakira)でご覧頂けでます