コロナ新規感染者数が激減。
緊急事態宣言が解除され、飲食店の営業も通常に戻りつつあります。
GoToトラベルも再開されるそうです。
いよいよ経済活動が再開。
花の消費はどうなるのでしょうか?
昨年2020年はコロナに明け、コロナで終わった年でした。
花産業では、葬儀やブライダルなどの業務需要が激減。
その影響で切り花が苦戦。
それでも
若い世代の切り花購入額が大きく増えたことは明るい話題。
また、
ステイホームによりプチ園芸ブーム。
観葉植物と花苗、野菜苗は絶好調。
2021年2月21日「ステイホームで花産業は若い顧客を獲得した」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12657740299.html
10月になり、やっと感染拡大が沈静化した2021年はこれまでのところ、コロナ禍の影響はどうだったのでしょうか?
総務省家計調査から検証します。
総務省家計調査。
月報として公表された2021年1月~8月の購入額を、コロナ前の2019年、コロナ真っ最中の2020年のおなじ期間と比べます。
対象は二人以上世帯。
図1 2021年1月~8月の切り花、園芸用植物、園芸用品の購入額を2019年、2020年と比較
(総務省家計調査 二人以上世帯)
園芸用植物:鉢もの・苗もの・盆栽、たね、球根など
園芸用品:ポット、プランター、用土、肥料など
家計調査のデータでは、昨年に引き続き2021年も鉢ものや苗ものなどの園芸用植物の購入額が大きくアップ(図1)。
2021年1月~8月は、2019年より23%アップ、2020年より8%アップ。
プランター、用土、スコップ、ジョウロなどの園芸用品は2019年より19%増えましたが、2020年より3%減りました。
これは、
ステイホームでの園芸初心者が、昨年2020年に、プランター、用土、スコップ、ジョウロなどを買いそろえたため、園芸用品購入額が大きく増えましたが、今年は備品的なものはそのまま使えるので、2020年より購入額が減ったのでしょう。
このことから、
うれしいことに、
2021年前半もプチ園芸ブームは続いていることがわかりました。
では切り花。
購入額の減少傾向には歯止めがかかっていません。
2021年1月~8月の購入額は、2019年より6%減、2020年より5%減。
2020年は2019年より3%減でした。
切り花は、
コロナ禍で業務需要が減っただけでなく、家庭用=ホームユースも減っています。
切り花は、
園芸用植物のようなステイホームの効果はなかったようです。
というよりも、
家庭用の切り花=ホームユースはコロナ禍がなくても減っていたでしょう。
切り花の購入額は、
賃金が上がらない、老後が不安などの家計の節約志向が影響しています。
肌感覚では、
コロナ禍でホームユースが増えているとの情報がありますが、家計調査を見るかぎり二人以上世帯の切り花購入額は減っています。
(市場価格は輸入の不安定や、国産の減少などがあり、2019年、2020年よりアップしています)
ただし、
若い世代にはちがう動きがあります。
昨年2020年(1月~8月)は、2019年対比が全世代平均では1%減でしたが、29歳以下だけは特異的に増え146%増でした。
図2 2021年1月~8月の年代別切り花購入額を2019年、2020年と比較
(総務省家計調査)
図2は、
2021年1月~8月の年代別切り花購入額の2019年、2020年と対比。
ことしも29歳以下は特異的で、2019年より107%増えました。
しかし、2020年よりは16%減りました。
これは、
前年対比146%も増えた2020年には及ばなかっただけです。
30歳代でも2019年より7%、2020年より5%増えています。
家庭用の切り花=ホームユースは全体としては減っていますが、若い世代では増えているという動きは2021年もかわっていません。
若い世代の定着が、これからのホームユース拡大の鍵になるでしょう。
では、
ホームユースの定着、拡大にはなにが必要なのでしょうか?
生産者と市場の活動だけでは不十分です。
消費者、とくに若い世代に切り花を手軽に買える場面をもっと多く提供することです。
気軽に買える場所としてスーパー・量販があります。
2021年3月21日「ホームユース販売の主役はスーパー・量販」
https://ameblo.jp/awaji-u/entry-12663591220.html
消費者(二人以上世帯)の切り花購入先は、2019年にはスーパー・量販等(スーパー、コンビニ、ディスカウントストア・量販専門店、生協・購買)が39%で、一般小売店(花専門店)の34%を追いこしています(図3)。
(総務省家計構造調査)
スーパー・量販等:「スーパー」、「コンビニ」、「ディスカウントストア・量販専門店」、「生協・購買」の合 計
ホームユースの定着・拡大にスーパー・量販が果たしている役割は大きいですが、限界もあります。
食料品を買う「ついで買い」。
もっといろんなところで花に出会えたら、おもわず買ってしまうことが増えます。
花はだれが見ても美しく、ひとを引きつけます。
そんなことは小売業の方は先刻ご承知。
みんな考えることはおなじ。
コロナ禍のいま、異業種の花の小売りへの参入があいついでいます。
たとえば、ユニクロ、無印良品、ブックオフ。
画像 日本農業新聞(2020年7月21日)MPS松島社長のブログ
クリーニング店での生花販売もあります。
「俺の農業新聞」さんFB
イオン傘下のドラッグストア ウエルシアの花販売参入の影響力は大きい。
「俺の農業新聞」さんFB
専門店の老舗
日比谷花壇もサブスクなどで来客数を増やし、ホームユースを拡大させています。
「俺の農業新聞」さんFB
さらに、前回、前々回報告した家庭のポストに郵便で切り花が届くサブスクが増えています。
2021年10月10日「超ミニ化するホームユース規格に生産者はどう対応するのか」
https://ameblo.jp/awaji-u/page-2.html
花の自動販売機までが参入。
クロスオーバー MPSジャパン 松島社長のブログ
2021年9月19日「新宿東口 花自販機」
http://mpsjapan-blog.jugem.jp/?day=20210919
画像 日本農業新聞(2021年9月15日)
クロスオーバー MPSジャパン 松島社長のブログ
このようなことは今までにもありました。
協調型の日本企業は、一斉におなじ方向に走りだします。
情報は多様化しているようで、画一的。
みんなおなじことを考えるようです。
思ったほど儲からなければ、潮が引くように撤退するのも一斉。
そのくりかえし。
今回はコロナ禍で、ひとびとの生活、はたらき方、気分がかわりました。
そこに異業種の参入で花を目にする機会が増え、買い方が多様化。
いよいよホームユースが定着・拡大する環境が整いはじめました。
宇田明の『まだまだ言います』」(No.298 2021.10.24)
2015年以前のブログは
(http://ameblo.jp/udaakira)でご覧頂けでます