その時間、世界で1番幸せだった猫さんのお話しです。 | 一般社団法人エイベットavetのブログ

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おはようございます。エイベット碓井です。

 

日曜日ですね。

 

今日は私の大切なお話をさせてくださいね。

 

エイベットには日々多くの里親募集のご依頼が来ます。

その中で、時々白血病の猫さんや、癌などの治療中の猫さんの

おうち探しのご依頼が来ることがあります。

 

 

 

 

今年の5月に猫白血病キャリアのリク君という猫さんが

ずっとのおうちを見つけました。

 

その時のお話↓↓

https://ameblo.jp/avet-amami/entry-12276011752.html

 

 

リク君のずっとのおうちは猫さんを迎えるのが初めてのおうちでした。

 

リク君はそんなに人馴れしている子ではなかったので

初めてのおうちでも大丈夫かな?と不安はあったのですが

 

しっかり時間をかけて考えてくださって

それはもうたくさんの事を調べてからお申込み下さったこと

 

そして、保護主さんとしては、リク君の残りの猫生を

少しでもいいから家猫さんとして過ごさせてやりたいという気持ちだったので

 

もしもダメだったら戻してくださってもいいという気持ちで

里親さんに送り出しました。

 

 

けれど全然そんな心配なんて必要なくて

 

最初は馴れていなかったリク君を

毎日毎日それはそれは大切に大切に愛情を注いで毎日を過ごしてくださって

 

時折送ってくださるメールは

愛情がたっぷりこもった内容で リク君が心開いていく様子がよくわかりました。

 

最初はケージにこもりっぱなしだったリク君が

どんどんリビングの真ん中でお腹を見せて眠るようになって

 

何よりもそういうリク君を大切に大切に愛しておられる様子に

私もいつも嬉しくて、メールを頂くのを楽しみにしていました。

 

 

 

元気に伸び伸びと過ごしていたリク君だったのですが、

お盆明けの17日の木曜日にリク君は旅立ちました。

 

白血病を発症したと思われる症状になってから

本当に間もなく、旅立っていきました。

 

最期は里親さんのいる時に、そして里親さんも驚くほどあっけなく

さらりと旅立っていきました。

 

私はリク君の最期のお顔をみることが出来たし

エリコ先生もしっかりと確認してくださいました。

 

おそらくは発症して胸水が溜まっていた事が原因だったと思われます。

 

リク君は、猫白血病でしたが保護されて、

保護主さんは、預かりさんでもいいから家猫として可愛がってくれるヒトを探して欲しいと

その想いをエイベットに託された幸せな猫さんでした。

 

 

リク君の里親さんは、預かりではなくずっとのおうちになりたいと言ってくださって

 

 

 

お引越し当初、最初はずっとケージで固まっていたリク君

 

 

 

 

 

 

けれど、1か月2か月と経つにつれて

 

 

 

 

 

こんなにも甘えん坊の家猫さんになりました。

 

 

 

たった3か月。

 

里親さんとリク君が過ごした時間でした。

 

 

猫白血病だとわかっていたこととはいえ

こんなに早く・・ともう言葉も出なくて

 

里親さんにもリク君にも、まともにお別れのご挨拶も出来ませんでした。

 

 

リク君にとってはきっと間違いなく幸せな3か月であったことはわかります。

そこはもうお写真を見てもわかるし、確信があります。

 

けれど、里親さんにとっては?

 

動物との別れは本当に言葉に尽くせない悲しみがあるのに

たった3か月でその想いを背負わせてしまったのではないか?

しかも初めての猫さんとの暮らしだったのに・・

 

猫白血病の猫さんへの里親募集は間違っていたんじゃないかなって思ってしまいました。

 

頭の中がグルグルと、胸が詰まってどうすればいいのかわからなくなりました。

 

 

ところが、エイベットから帰る前に里親さんが

腕に抱きしめたリク君の体を見ながらポツリとおっしゃいました。

 

「悲しいけど・・でも・・白血病じゃなかったら出会えていなかったしね」

 

私は胸を打たれました。

 

本当に胸が詰まって、感謝とも謝罪とも違う、なんて表現したらいいのか

リク君と里親さんの素晴らしい時間があったのだと改めて感じました。

 

私なんかが思っているよりも

もっともっと深いところでもっともっと大きな愛で

リク君と暮らしてきて下さったんだと思えました。

 

 

それからずっと猫白血病の猫さんの譲渡について考えました。

 

猫白血病とわかっただけでも、安楽死にされてしまうこともあります

検査で白血病が出たらリターンする、陰性なら保護するということもあります。

 

そんな中でリク君は保護された本当にラッキーな子だったと思います。

しかも、とてもとても大切にしてくれるずっとのおうちにも出会えました。

 

 

白血病の最期はもう、延命治療になってしまうので

完治を望めないのに生きる為だけの治療をします。

それは猫さんにとっても飼い主にとっても苦しい時間であり

けれど、延命治療をしない決断をすることも大きな勇気が必要だし

 

何にしても飼い主にかかってくる精神的な負担は計り知れません。

 

いつかはそんな日がやってくるのかなと思っていましたが

 

リク君は具合が悪くなってから24時間も待たないくらいあっけなく旅立ちました。

それはリク君自体が、辛い闘病生活を避けたのもあると思うけれど

それよりも

3か月間、目いっぱい愛してくれた里親さんへの恩返しだったのかも知れません。

自分を保護してくれた保護主さんにも心配かけたくなかったのかも知れません。

 

愛猫が旅立つのを見送るのは本当にキツイです。

 

でも、それこそが絶対にしてあげなくてはいけないことと私は思っていて

最期の時にこそ一緒にいてあげたい。

 

猫と暮らす全ての人間が願うこの気持ちを

リク君は叶えてくれて静かに旅立ちました。

 

本当に優しい良い子だったと思います。

 

そしてその優しさを育てたのは、他ならぬ里親さんなのです。

 

私も今までに何度か愛猫を見送りましたが

愛猫とのお別れは色々な事を教えてくれます。

 

後悔ばかりが残ることもあれば

お疲れ様と言って見送ってあげられることもあります。

 

その経験が私を強く、そして優しくしてきてくれたことだけは確かな事実です。

 

 

里親さんから頂いたメールの一文を掲載させて下さい。

~~~~~~~

リクちゃんにたくさんのことを教えてもらいました。

ツンデレ猫さんの扱い方、子供たちとの遊び方。

看取るということ。

短いけど、頑張って生きたということ。

全てが私たち家 族の宝物です。

 

リクちゃんが白血病でなかったら、私はリクちゃんに会えていませんでしたよ。

だから、白血病の猫ちゃんの募集はやめないでください。

きっとリクちゃん と同じように、その猫ちゃんの運命の里親さんが見つかるはずです。

 

白血病だからといって、猫ちゃんたちは何ら変わりないのです。

だって、自分は猫様だと思って生きていますから。

人間も同じですが、どれだけ濃く生きたかですよね。

いつ亡くなるかなんて、猫ちゃんでも人間でも分かりませんから。

 

リクちゃんは、まだ体が我が家にいますが、もうとっくに天国へ旅立ったと思います。

一緒にいた仲良しだった猫ちゃんと遊んでいるんじゃないでしょうか。

体も軽くなって、好きなところへお散歩に行ってますよ。

 

でも、ひとつだけ、リクちゃんにお願いしたいことがあります。

 

天国もいいけ ど、できるだけ早く着替えをして私のところに帰ってきてほしいです。

 

~~~~~~

 

 

保護主さんも私も、リク君を本当の家猫さんとして見送ってくださった事に感謝をし

けれど、とても申し訳なくも思っておりました

 

でも、このメールを見せて頂いて

私なんかがどうこう言うような次元の話じゃないんだと思いました。

 

リク君と里親さんは強い絆で引き寄せあって出会ったのです。

 

私と保護主さんはそこまでの繋ぎをしただけで

リク君が選んで里親さんのおうちに行ったのです。

 

私はこれからも、ひたすらに猫さんの幸せを願っておうち探しをお手伝いしていけばいい。

猫さんが運命の相手と出会うことを応援すればいいんだ。

 

白血病だろうがエイズだろうが、子猫だろうが大人猫だろうが

どの猫さんにも等しく最期の時はやってきます。

 

その時に、猫さん達がリク君のように家猫として愛されて旅立つことだけを願って・・

生きている期間の長さは関係なく、心から愛し大切にされていくことだけを願って・・

 

 

リク君が毛皮を着替えてまた里親さんの前に現れる時に

私がお手伝いできると嬉しいなぁ。

 

 

 

世の中には、健康で元気で愛らしく人懐こい猫さんを平気で捨てていく人がいます

置き去りにしたり、ダンボールに入れていったり

時には保健所に連れていく人間もいます。

 

 

けれど、リク君のママのように

余命わずかかも知れない病気があっても家族として迎え

心から愛して全てを受け入れてくださる人もいます。

 

そしてリク君の保護主さんのように

きっとおうちなんて見つからないかも・・と思いながらも

何とか保護してくださる方もおられます。

 

保護出来ないけれど、殺処分から守られるようにと

必死でTNRボランティアをされている

素晴らしい方々もおられます。

 

私がエイベットで働いていて出会える多くの人は

そういう素晴らしい人ばかりです。私は本当に幸せなんだなと思います。

 

今までにエイベットで里親さんに出してから

FIPで亡くなった子もいました。

 

保護されて里親さんに出すまでに、命を繋げず亡くなってしまう仔猫も沢山います。

 

これからエイベットが活動を続けていく中で

私はこれからもっと多くの猫さんの最期 を見届けなくてはいけません。

 

けれど、多くの素晴らしい皆さんへの感謝の気持ちを込めて

そして、私をいつも笑顔にさせてくださる猫さんたちへの感謝も込めて

 

これからもおうち探しを頑張っていきたいと思いました。

 

リク君と、里親さんと保護主さんが

私に下さった大きな経験をきっと糧として恩返しさせて欲しいと思います。

 

 

ただ、私からお願いがあります。

リク君は白血病であっても、譲渡時は元気で体調が良かったので

保護主さんもおうちを探してあげたいと希望されました。

 

時々、明らかに発症している状態の猫さんの募集をお願いされる事があります。

白血病ではなくても、明らかに末期の癌であるとか

手の施しようのない子のおうち探しをお願いされることも。

 

 

その状態まで来ている子を安易に引っ越しさせたり

新しい環境に行かせるリスクも考えて欲しいと思うのです。

 

そしてその子を看取る人の気持ちも。

 

リク君の保護主さんはご自身でも白血病の子を看取ってきた経験もお持ちで

それがいかに辛く大変なことであるか知った上でおうち探しをしました。

 

それは決して安易な気持ちではなくて

リクくんは里親さんに出せる子だと判断した上でおうち探しをしました。

結果的にリク君は3ヶ月でお別れとなってしまいましたが

譲渡時には本当に白血病?と思うほどに元気な子でした。

 

 

白血病の子でもおうち見つかるんだー!では私も~っという感じではなくて

今現在の健康状態もしっかり確認してからおうち探しをするかどうかを決めて欲しいのです。

 

何でもかんでも保護して人に託すのは違うと私は思います。

無責任なことは出来ないからと、泣く泣くTNRしている方々もいます。

 

自分の責任をどこに持つのかしっかり考えて

行き場がなければ自分で見る気持ちがなければ

本来保護活動は成り立たないのではないとも思います。

 

 

リク君の保護主さんは

「もしも発症したらうちに戻してくれてもいいです」とおっしゃって

ただ元気な間は幸せな家猫にしてあげたいという一心でおうち探しをされたのです。

 

だからこそ、素晴らしいご縁に出会えたとも思っています。

 

 

どんな子でもおうち探しをすると言ってみたり

重篤だと出来ないと言ってみたり、どっちやねん!と思われるかもですが

 

保護する人も、里親になる人も、そして猫さんも

みんなが幸せであたたかな気持ちになれなくてはいけないと思います。

 

みんながお互いを思いやり、猫さんを愛し

心が温かくなるようなおうち探しをお手伝いしたいと思っています。

 

 

 

 

話しがそれましたが

 

リク君はこの3か月間とても幸せだったと思うし

 

リク君のご家族もきっと素晴らしい時間を過ごして下さったのだと思います。

 

大切に愛してくださって本当にありがとうございました。

リク君を家猫として見送ってくださって本当にありがとうございました。

 

 

 

 

「イエネコも悪くなかったニャ」

 

 

 

 

どうか皆様

 

傍らにいる可愛い存在を、もしくはこれから迎える可愛い存在を

心から愛して、素晴らしい時間を紡いでくださいね。

 

そして愛する可愛い家族が旅立つ時に

物理的なことではなくてもいいから

家族が心を寄せてくれて旅立てるというのは

幸せなのではないかと思います。

 

野良猫さんや多くの処分される動物たちは

ひっそりと誰からも気にされずに亡くなっていくのです。

 

 

リク君のお話は決して悲しいお話しではなくて

素晴らしく幸せなお話しなのですよね。

 

そう思わせてくださった リク君のご家族に心からの感謝をこめて書きました。

リク君を家猫にしてくださって本当にありがとうございました。

 

 

今日は皆様にとって優しい一日になりますように

 

 

こんなに長い文章を、しかも私の個人的な感情むき出しのものを

最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。

 

 

 

 

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エイベットは大阪府松原市を拠点に、獣医師が中心となって活動している団体です

 

*獣医師への啓発、教育活動
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等、様々な活動を行っております。

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エイベット 相談窓口 担当者 碓井(うすい)

 

*ずっとのおうち活動につきましては、全て代理募集となっておりますので

 保護主さんと里親さんのご縁を繋ぐのがエイベットの役割です