アベイルブログ

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孤立する日本

日経金融新聞1月31日より


「自国の会計基準の存続にこだわっているのは日本だけだ」

1月17日に開かれた日本公認会計士主催の討論会で国際会計基準審議会(IASB)の山田辰巳理事はこう強調した。

世界では豪州が今年1月から国際基準に完全に移行した。2011年にはカナダ、韓国、インドなども一斉に乗り換える。会計基準の統一は国際基準と日本、米国の3つの基準が併存する段階から、ほとんどの国が国際基準を世界基準として全面採用する段階へと移りつつある。

企業会計基準委員会(ASBJ)も昨年八月、国際基準との現時点での差異を2011年6月末までに解消すると発表した。だが、今後IASBが開発するルールは2011年時点でも差異として残るため、国際基準と完全に統一されるわけではない。

自国基準だけを使い続ける日本は海外から冷やかな視線を浴びている。IASB内部では「国際基準を採用しない日本が基準の解釈に口出しするのはおかしい」との声も出始めた。


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国際会計基準(IFRS)のコンバージェンスが加速する中、日本基準の存在価値が問われている。

ASBJのスタンスとしては全面的にIFRSを受け入れることはできない、なぜならIASBの作成したIFRSも完全なものではなく、日本基準の方がすぐれている点もあるからだということになろう。また、日本企業の利益、国益を守るためにも日本が主張すべきことはきちんとIASBに主張していかなくてはならないという立場もわからなくはない。

確かに今まではこれが正論として受け入れられたかもしれない。

しかし、世界の会計基準のコンバージェンスが加速度的に進んでいる状況でそんな主張は誰も聞いてくれなくなるだろう。

また、アメリカも2002年のノーウォーク合意以来IFRSへの歩み寄りを見せており、2007年11月にはSECに上場する外国企業にいわゆるピュアIFRSの調整なしでの受け入れを認めることを決めた。今年中にIFRSの全面適用する方針に転換する可能性が高いともいわれている。


今後、あくまで日本基準にこだわり蚊帳の外から日本の主張を貫くことに労力を使うよりも、IASBの中で日本企業の立場にたった実のある議論ができる人材を育成し、IASBに送り込むことに全資源を投入すべきではないか。


日本は現在、IASBの評議員、理事会、基準諮問委員会、解釈指針委員会にそれぞれ1名から2名の人材を投入している。「人数的には他国並に貢献できているように見えるが、実際に貢献しているかどうかは話し合いの場でちゃんとした発言ができているかどうかが問題(山田辰巳氏)」というように日本の主張をIASBの外から意見するのではなく、IASB内部にいかに深く入り込み発言力を高めていくかが重要になってくるだろう。







業務の文書化「必須ではない」

22日の日経金融新聞に「企業の内部統制準備 業務の文書化必須ではない」という記事がありました。


(日経金融新聞より)

「金融庁は21日に都内で開いた内部統制をテーマにしたシンポジウムで、一部の企業が社内業務の流れなどを文書化したり、システムを作り直したりしていることに、「必須ではない」との見解を示した。「完ぺきを目指す必要はない。低コストで効率的に取り組んでほしい」と、取り組みを簡素にするよう求める異例のコメントを出した。」


「金融庁企業開示課の三井秀範課長は「部下に任せたり特定のコンピューターソフトを買うのではなく、経営者が重要と判断した範囲で準備を進めることが大事だ」と述べた。重要性を判断するポイントとしては「投資家の判断に違いが出ること」をあげ、対応を誤ると赤字に転落するような問題について、社内の管理体制が整っているかどうかを重点的にチェックするよう求めた。」


業務の文書化は必須ではないとは言うものの、評価しそれに対して外部監査を受ける以上、最低限の文書化は必要となるでしょう。それよりも、金融庁企業開示課の三井秀範課長のコメントにあるように、内部統制報告制度の実施主体は「経営者」であり、「投資家保護」を目的としていること、をしっかりと認識した上で準備を進めることが何よりも重要であると考えます。



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日本公認会計士協会「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」公表

日本公認会計士協会は、IT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」を公表しました。


IT委員会研究報告第35号「ITに係る内部統制の枠組み~自動化された業務処理統制等と全般統制~」


「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案 公表

18日、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の関係4団体が主体となって設置された「中小企業の会計に関する指針作成委員会」は、平成20年改正を検討し、「中小企業の会計に関する指針」の改正に関する公開草案を公表しました。


今回の改正では、「棚卸資産の評価に関する会計基準」や「リース取引に関する会計基準」に対応した会計処理の見直し等が行われています。


「中小企業の会計に関する指針」(日本公認会計士協会ホームページ)


会計はこうなる!? (2/2)

今日はパネルディスカッションでの各先生の主張のポイントを記します。


パネリストとして参加されたのは、

日本経団連 経済法規委員会 企業会計部会長 八木 良樹先生

日本経済新聞社 証券部次長 磯山 友幸先生

国際会計基準審議会(IASB) 理事 山田 辰巳先生

日本公認会計士協会会長 増田 宏一先生 の4名です。


八木先生は、「世界で広く利用され信頼も受けている国際基準へのコンバージェンスの流れは理解でき、経団連としても協力していかないといけない」というスタンスでした。

その中で、「四半期開示や内部統制報告制度の導入される08年問題やコンバージェンスの流れは、もはや経理・財務部門の問題ではなくなっている。TOPの認識がなければ全体統制にも欠けることとなり対応できない。」というご意見が印象に残りました。


磯山先生は、欧米での駐在経験から日本の証券市場の遅れを指摘され、「今頃コンバージェンスなのか!?」というスタンスでした。

その中で、ドイツの証券市場の例を用いられ、「日本の証券市場ももっと国際投資家を意識した質の高い開示を行うべき」というご意見が印象に残りました。


山田辰巳先生は、国際会計基準審議会(IASB)の立場から「国際化の流れは加速しており、東京合意もすでに陳腐化している。世界の枠組みの流れの中で考え、高品質の世界基準を作るために日本の知識・経験をどういって活かしていくか、ということを考えるべき」というスタンスでした。

その中で、「国際社会でIFRSを知らなければ、経営者も学者も公認会計士も役に立たない」というご意見が印象に残りました。また、実務面で、日本では会社法の枠組みもあるので、短期的に解消する方法として、個別は日本基準、連結はIFRSで開示するということも考えないといけないとおっしゃっていました。


増田宏一先生は、国際化の流れの中での公認会計士業界では「監査基準のコンバージェンス」と「IFRS中心の会計への対応のため精通した監査人の育成と作成者側の支援」が重要であるというご意見でした。


各先生ともにこの他にも貴重なお話をたくさん聞かせていただいたのですが、スタンスと印象に残ったご意見だけをまとめさせていただきました。


国際市場の中で日本市場だけが取り残されることのないように、会計に携わるものは、日本の方針を持ってしっかりと国際化の流れに対応していくことが重要でしょう。企業側としてもこの流れを決して見逃さないように注視しておくこと必要でしょう。


会計はこうなる!? (1/2)

17日に行われた日本公認会計士協会の『「東京合意」に基づく今後の展望について』という題目の研修会に参加しました。

研修会では、まず、企業会計基準委員会委員長の西川郁生先生による基調講演があり、続いて、証券市場関係者によるパネル・ディスカッションがありました。


今日は西川郁生先生の基調講演より、東京合意のポイントを記します。


東京合意とは、2007年8月8日、企業会計基準委員会(ASBJ)の西川郁生委員長と国際会計基準審議会(IASB)のDavid Tweedie議長が、日本基準と国際財務報告基準(IFRS)のコンバージェンスを加速することを合意したことをいいます。


この合意において、

①日本基準とIFRSの間の重要な差異は2008年までに解消する。

②残りの差異は2011年6月30日までに解消する。

③2011年までに新たな基準が適用となる際に日本において国際的なアプローチが受け入れられるように緊密に作業を行う。

となっています。


①の項目としては、関連会社の会計方針の統一や工事契約、資産除去債務など、既に公開草案または基準が公表されているものもありますが、退職給付、投資不動産、金融商品の時価開示など今後短期間のうちに公表を予定しているものがあります。


退職給付では、一定期間の債券の利回りの変動を考慮するとされている割引率の見直しについて、期末時点の利回りを用いることとなるようです。退職給付債務が大きい会社では、割引率が変動すると、損益に大きな影響を受けることとなります。


金融商品の時価開示では、定量的リスク情報開示(金利、為替などの変動が時価に与える影響の開示)が義務化されるようです。こういった情報を把握することができる体制を作る必要があります。


これらは損益面や開示面での影響が小さくないと思いますので留意が必要です(筆者私見)。


②の項目としては、セグメント情報開示の他、企業結合(のれんの償却)、過年度遡及修正があります。


企業結合(のれんの償却)では、現在均等償却を行うのれんについて、減損アプローチ(のれんの価値が減少したときにその分を償却する)を採用することが検討されています。金額の大きくなるのれんについて償却方法が全く変わってしまうことになります。


③の項目としては、連結の範囲、財務諸表の表示(包括利益の表示)などがあります。


最後に感想ですが、国際的な会計基準へのコンバージェンスが企業に与える影響は決して小さいものではないと思います。公表される基準などの情報を注視し、影響の把握や体制の整備などの準備をしておくことが重要となるでしょう。アベイルブログでも継続して発信してきます。


東証「議決権種類株式の上場制度に関する報告書」公表

16日、東京証券取引所は「議決権種類株式の上場制度に関する報告書」を公表しました。


東京証券取引所「議決権種類株式の上場制度に関する報告書」


本報告書は、上場制度整備懇談会による中間報告及び上場制度総合整備プログラム2007の実行計画に基づいて、いかなる要件を満たせば「株主の権利を尊重した」議決権種類株式といえるかについて基本的な考え方を整理することを目的として設置された実務者懇談会によってとりまとめられたものです。

東京証券取引所は、今回の報告の他、実務的又は制度的な諸問題や実際の上場ニーズを総合考慮した上で、制度設計を予定しています。


報告書では、種類株式の類型や上場類型により区分した上で問題点を整理した上で、投資家保護の観点から必要と認められる一定の要件を満たした株主を尊重したスキームであり、かつ、投資者にわかりやすい商品から順次解禁していくことが望ましい、としています。また、株主の権利を尊重がなされている議決権種類株式といえるために必要な要件なども示しています。


<目次>

Ⅰ はじめに

Ⅱ これまでの検討の概要

 1 現状

 2 中間報告の提言の概要

 3 プログラム2007の実行計画

 4 当実務者懇談会の位置付け

Ⅲ 制度整備の方向性

 1 検討の順序

 2 想定されるスキーム

 3 上場要件の検討

Ⅳ 実務上の諸問題

 1 はじめに

 2 市場区分等

 3 TOPIX

 4 証券コード

 5 その他の諸問題

Ⅴ 今後の検討課題


政治資金監査

平成19年12月21日に成立した「政治資金規正法の一部を改正する法律」により新たな監査が誕生します。


この監査は一般的な財務諸表監査と混同されないように「政治資金監査」という固有名詞と名付けられており、

この政治資金監査を担うのは公認会計士、弁護士、税理士のうち政治資金適正化委員会に登録した者となっています。

ただ、この監査の主な目的は収支報告書、会計帳簿、領収書等の照合・検算をおこない、その作成の正確性を担保するものであるため、領収書の偽造の有無や使途についての妥当性についてはもちろん、財務諸表監査では必須の手続きである現金・有価証券等の実在性に関する手続などは含まれないようです。


この監査の目的、範囲を一般の方にも理解していただけるように十分なアナウンスをしてギャップがないようにしなければ、監査人は何をやってたのかといういわれのない批判が続出するでしょう。

また、政治資金監査のみで政治資金規正法の目的が達成されるかどうかは不明ですが、初めからあまり厳しくしても監査される側も困惑するでしょうし、そもそも誰も監査を引き受けてくれないとなっては元も子もないので、初めはこのくらいの縛りが妥当なところでしょうか。


総務省HPより

政治資金規正法の一部を改正する法律(要綱)

http://www.soumu.go.jp/menu_04/s_hourei/pdf/ho_071228_07135_a.pdf



無議決権株も上場可能に

9日の日本経済新聞に「無議決権株 東証、4月にも上場制度」という記事がありました。


(日本経済新聞より)

「東京証券取引所は、株式を公開していない企業が議決権のない株(無議決権株)だけを上場できる制度を設ける方針だ。早ければ四月からの実施をめざす。創業間もない新興企業などが経営の枠組みを維持したまま成長に必要な資金を調達する手段を増やす。無議決権株は一般的に普通株より配当が高い種類株の一種。上場により一般投資家の選択肢も増えることになる。」


無議決権株式が議決権がないということを認識した上で株式を取得しているのだから、経営者に見切りをつけたときにはただ株式を売却すればよいでしょう。投資の選択肢が増えるということはよいことだと思うのですが、それでも一定の株主保護は必要です。


記事によると、「東証は、長期的な経営計画など、無議決権株の発行・上場の目的達成が困難と判断した場合は、無議決権株を普通株と同じ内容に変える仕組みの導入を求める。議決権種類株の無配が数年続く場合でも、議決権を発生させるなどおいった種類株主の利益保護策導入を求める方向だ。」と、一定の無議決権株主の保護の仕組みを設けるようです。


しかし、たとえば、上記の仕組みでも、「目的達成の可能性は誰がどのようにして判断するのか!?」「1円でも配当すればよいのか!?」といった問題がありますし、この他にもたくさんの問題が生じてくるように思います。そのため、無議決権株主の利益保護の実効性を確保するというのは相当難しいのではないでしょうか。


無議決権株式に投資する場合には、従来以上に、経営者の姿勢を見ることが重要になるでしょう。


XBRLによる開示

平成20年4月から金融庁の電子開示システム(EDINET)が新しくなります。

何が新しくなるかと言うと、コンピュータ言語がいままではHTMLだったものがXBRLに変わるということです。

このXBRLに変わると何がどう変わるのか。

日本公認会計士協会からフラッシュで簡単に説明されています。


日本公認会計士協会

「ちょっと教えて!XBRL」

http://www.jicpa.or.jp/xbrl/index.html


監査人にとっては企業間比較や過年度比較など簡単にできるようになるので分析的手続が楽になります。

また投資家にとっても財務分析にかける時間が圧倒的に短縮されるでしょう。

さらに外国語にも対応しているため国際間比較が個人でも簡単にできるようになります。

まさしく会計基準の国際的な統一へに向けたインフラ整備の一環といえるでしょう。

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