アジアより被害甚大の欧米、懸念すべき黄禍論の台頭
4/11(土) 6:01配信

グエル公園から見たスペイン・バルセロナの市街地。人口10万人当たりの新型コロナ感染者と死者はスペインが最も多い
(川島 博之:ベトナム・ビングループ、Martial Research & Management 主席経済顧問)
【表】世界各国の人口10万人当たりの新型コロナウイルス感染者と死者
米国のジョンズ・ホプキンス大学が世界各国のコロナウイルスの感染状況についてデータを公開しており、日本のマスコミの元データになっている。このような膨大なデータを短い時間に集めて公表する能力は他のどの国もない。そこに米国の底力を感じないわけにはいかない。米国と覇権を争っている中国でも無理だろう。もっとも中国がデータを集計しても世界の人々はそのデータを信用しないと思うが(笑)。この一事をとっても、中国が米国と覇権を争う国になれないことは明らかだ。
このデータを使って人口10万人当たりの感染者数について考えてみたい。下の表に東アジア、東南アジア、それに欧米とオーストラリアの値を示した。
■ 欧米よりも極端に少ないアジアの感染者
人口の10万人当たりの人数を計算してみると、改めて見えてくるものがある。第一にはアジアに比べて欧米での感染者が極端に多いことである。
最も多いスペインでは人口10万人当たり332人もの感染者がいる。つまり1000人の中で3人が感染している。その他でもイタリアが231名、フランスが170名などとなっている。米国の感染者数は世界で最も多いが、人口も多いために10万人当たりの感染者は131人に留まる。
欧米に比べてアジアの感染者は著しく少ない。この表にあげたアジアの国々の中で最も多いのはシンガポールの29人、それに韓国の20人が続く。日本は4人である。
死者について見てみよう。10万人当たりの死者が最も多いのはスペインの33.2人である。それにイタリアの29.3人、フランスの16.3人が続いている。米国の感染はヨーロッパより2週間から3週間程度遅れて始まったために、現段階では4.5人である。
アジアで一番多いのは韓国の0.4人である。中国は初期に多くの死者を出したが、人口が多いために10万人当たりの死者は0.2人でしかない。日本は0.1人に留まっている。
日本の人口10万人当たりの死者の数は著しく少ない。この表に挙げた中で日本より少ないのは台湾、タイ、ベトナムだけである。スペインの死者は日本の445倍、イタリアは392倍、米国でも60倍になっている。
■ PCR検査は広く行うべきか
日本でPCR検査が少ない問題について考えてみたい。韓国は徹底的にPCR検査を行なっており、日本もそのような措置を講じるべきだとの意見がある。実際に韓国は徹底的なPCR検査を行ったために感染者数が日本より多くなっていると思われる。その韓国で死亡率(死者数/感染者数)は1.9%である。
一方、日本の死亡率は2.0%であるが、両国の医療水準を同じと考えると、日本はPCR検査が少ないために感染者数が少なくなり、その結果として死亡率が高くなっている可能性がある。もし、日本の死亡率が韓国と同じであると仮定すると、日本の感染者数は4880人になる。現在のPCR検査の頻度でも韓国とそれほど変わらない感染者を発見していることになる。
アジアを見ると1つの事実に気が付く。それは中国との関係である。ベトナムはこれまでのところ死亡者が出ていない。これは中国における感染の初期段階で中国との交流を徹底的に絶ったためと思われる。中国からの団体観光客を旅の途中であっても中国に送り返すことまで行った。その歴史からベトナム人は中国を徹底的に嫌っており、そのような国民感情を背景にしてこのような強硬な行動に出たと思われるが、今回はそれが功を奏したようだ。また台湾の現政権も反中スタンスをとっており、ベトナムに似た強硬な措置を講じた。それが感染の拡大を防いだと思われる。
韓国は徹底したPCR検査を行ったことを誇りに思っているようだが、中国からの渡航者を長い間受け入れた結果、死者数を増やしたようだ。
これまでのところ、日本における死者は奇跡と言ってよいほど少ない。それは、国賓として招く予定だった習近平に遠慮して中国からの渡航の制限を長い期間行わなかったが、ベトナムや台湾と同様に日本人の中に中国人との接触を避けようという気持ちが働いていたからかもしれない。
■ 欧米で黄禍論が沸き起こる可能性
ただ、このようなアジアの中の差異を議論することは、アジアを欧米と比較した時には誤差と言ってもよい。新型コロナウイルスの問題を議論する際に最も重要なことはアジアと欧米の違いである。表を見れば解るように、欧米の感染はアジアとは桁違いである。
BCGの接種がこの違いに寄与しているとの説がある。ポルトガルはヨーロッパでもBCGの摂取を義務付けているために感染者数が少ないとされる。確かに隣国であるスペインに比べれば感染者数、死亡者数共に少ない。だが、それでもアジアに比べれば1桁多い。同じBCGを接種していないオーストラリアの状況がシンガポール程度であることを考えると、BCGだけが原因とも考えにくい。オーストラリアが夏季であったことも感染状況に関連していそうだ。
いずれにせよ、この問題におけるアジアと欧米の違いは明白である。新型コロナウイルスの感染が中国で発生したことを考えると、この問題が一応の収束を見た後に欧米で黄禍論(欧米にはそのような土壌がある)が沸き起こる可能性がある。
もちろん政府や識者はそのような偏見を否定することになろうが、民衆の心に黄禍論が台頭することは必至と思う。それは様々な形で噴出することになろう。日本の立場は微妙なものになる。それは欧米人から見れば中国人も日本人も同じように見えるからだ。
欧米の民衆の間でグローバル化に対する拒絶反応が沸き起こる可能性がある。その行方を今の時点で見通すことはできないが、この問題がこれまで続いてきたグローバル化にとって逆風となることは確実である。新型コロナウイルスはアジアと欧米の間に様々な形の溝を作り上げる可能性がある。
22世紀の歴史の教科書は、2020年におきた新型コロナウイルスの蔓延はそれまでの世界を大きく変えた出来事であったと記載することになろう。
川島 博之
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2020年4月11日現在、上記記事にある様に国際的に俯瞰して日本での死者が少ないのは
ひとえに日本の医療関係者の努力とレベルの高さに敬服するばかりである。
こうした世界的な非常事態が発生すると「民度」というか国のレベルが明瞭になる。
これから感染被害が激甚なものになりそうなアフリカなどの途上国では、
人々がパニックになり、およそ秩序立った行動とは無縁な映像が報道されている。
もし、日本がこれほど命よりも経済優先の感染症対策で、感染爆発をさせずに
ピークアウトを達成し、新たな感染者が検出されない状態に出来たら、これは
本当に国際的には「奇跡」であろう。また、日本人のレベルが試されている時だろう。
同時に、これで今必死にもがいて甚大な被害を出している欧米が国力弱体して
火元なのに「俺のところは、早く完全消化出来た」とする中国とユルユルで
財政出動をせずに、それほど国庫を傷めず切り抜けた日本は、実に腹が立つ存在だろう。
だから、何かにつけて無理難題やバッシングをされる懸念が増加するだろうし
欧米アングロサクソンには、アジア系は全てウイルスに見えるという偏見が
国の弱体化、パワーバランスの変化と共に激化する可能性がある。
そうなると、ウイルス禍以前の様に「ダイバーシティ」が大事と日本企業が
主張し続け、そうした公平、透明、寛大な行動をとり続けらえれるだろうか。
このウイルスは、そうした全ての「仮面を暴く」存在になりそうだ。
私たちは、もっと世界に目を向け変化を肌感覚で認識していく必要がある。












