懸命なジャズファンの方々はdoodlin'という名前がHorace Silver作の曲だということをご存じだろう。当然のことながら、そうした典型的「ジャズファン」なる人たちならイロハのイというような知識も仕入れないまま安旅でジャズ屋に行っているわけだ。
ホレスシルバー逝去のニュースがついこの前飛び込んできた。短命なジャズジャイアンツが多い中、86歳なら大往生と言える部類だろう。
あまり卑屈になるのも変なので、Horace SilverはPeaceというかなりスローなバラード、Nica's Dreamという美しい曲を弾いたことありますよ。で、参考のために音源を買っている。これが楽器をやる人の録音メディアに対する態度であって、必ずしも全部揃えてやろうという気具合はない。
この店を知ったのは、Just In Timeが閉店しましたよと、レコードバーBracqueのマスターに言われた後、doodlin'という店がありますと紹介されたから何の予備知識もないまま寄ってみたのだ。
ちょっと狭い客の出入りで、「あ、後ろすいません」などとのやり取りをしながらと言えばおわかりだろうか。細長いカウンターバー。
どちらかと言えば決してコワモテではないちょい悪系のマスターと、浴衣を着た女性がカウンターに。奥に先客が5、6名いただろうか。もう入口に近い所に座るしかない。
何か適当に知ってる酒の名前を言ってみた、Maker's Markを水割りでと。これは無かったので、他のバーボンにしてもらった。その名前は失念。
音楽を聴きながら、酒を飲んでいると、まぁ、楽しく陽気な気分になっていった。
酒を二杯飲んでいるうちに、何がかかっていたかの記憶もあいまいになってしまった。
Android携帯はmicroSDカードの故障のため使えず。いつものようにTrackIDという飛び道具も使えない。
Donald Bird、Jimmy Forrestという名前はあったと思う。
King Curtis "King Size Soul" これはオルガンジャズでUKロックの名曲「青い影」が入っていた。
マスターはこの曲について、「大阪で生まれた女って、この曲だと思う」とぽろっと語っていた。
言われてみればそうだ。やんわりとパクっている。名曲をヒントに書くという作曲方法もあったりする。
松任谷由美の「真珠のピアス」はABBAのダンシングクイーンをマイナーキーで書き直すという手法で書かれていたりする。これはご当人がラジオで言っていたから間違いない。
この日は図書館にこもっていたので、何の日かも知らない。浴衣の女性に話かけてみた。
(例によって記事をすぐに書かないので、神戸の言葉は正しく採録できていないのはご容赦)
「良くそういう格好をするのですか」
「今日はお祭りがあったんよ。お客さんは何でこの店知りました?」
「ブラックのマスターに教えてもらいました」
「あー、この界隈のコースですな」
「ジャズのお店を回っていて、昨日はビッグアップルに行ったんですよ」
「ほー、神戸を満喫されとりますな。」
質問しなかったが、この女性はマスターのご伴侶なのかもしれない。この方はロカビリーがお好きなのだそう。もう少し大阪よりにそうした音楽の聖地のような店があるらしい。
マスターには、店外にも店内にも貼ってあった「doodlin'主催ジャズコンサート」を質問してみた。
ジャズバーが主催するコンサートというのも何か珍しい気がしたのだ。
「うちはミュージシャンのお客さんが多いので、自然とそういう話になっていった」とのこと。
店ではライブやったりしないのか聞いてみた。狭いがドラムレスのライブだってあるわけだし、ソロやデュオ程度ならやれないわけでもないだろう。
「うちでかける音楽はドラムがないのはダメなんです。だから店内ではライブはやらない。ソニーロリンズ(やや記憶違いで別なアーティスト名を言われたかもしれない、ごめんなさい)やブレーキ―が大好きで、ファンキー、ソウルジャズを流している。」
この音楽に対する思い入れ、流れる音楽の個性が自然と客層を決めていくということなのか。その結果、店が主催するコンサートが出来たりする。素晴らしいことではないか。神戸は音楽好きにとっては本当に楽しい街のような気がした。
聞けば福岡にはもっと真っ黒黒のジャズを掛ける店があるそうだ。私はそういう店にはまだ遭遇していない。九州詣では充分自覚しているが薄すぎる。
マスターがアメーバでブログを書かれている。ホレスシルバー追悼49日の記事などを読まれることをお勧めします。
http://ameblo.jp/doodlin/
当店の雰囲気をざっと知りたい方は以下の紹介記事もおすすめ。
http://kobejazz.jp/jazz_report/vol91.html
Doodlin'
神戸市中央区元町通1-12-7 コモビル2F(神戸プラザホテル裏)
090-5011-6081
18:00~25:00、水曜休
この後、数文を追加する予定。(8月11日記)