古くから使われる「単軟膏」とは
こんにちは。橋本です。
これらを使い分けることで、ほとんど対応しているのが、現在のアトピーの標準治療です。
そのほかに、軟膏剤には、かなり昔から現在まで使われ続けているものもあります。
たとえば、『単軟膏』もそのひとつです。
単軟膏の成分
英語では、Simplex Ointment(シンプレックス・オイントメント)といわれる、単軟膏。
文字どおり、「単純な軟膏」です。
発売開始は1949年となっているので、かなり昔からある軟膏剤です。
成分(100g中) |
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ミツロウ 33g |
植物油 適量 |
成分の3分の1がミツロウで、残りの3分の2が植物油でできています。
色や匂いは?
色や匂いは、単軟膏を製造しているメーカーによって違ってきます。
匂いに差がある1つの理由は、ミツロウの種類。
ミツロウは、ミツロウを採取するミツバチの種類から、セイヨウミツロウとトウヨウミツロウにわかれます。
さらに、精製度の違いにより、ミツロウの匂いは、変わってきます。
もう1つの匂いの差は、使われる植物油の違いです。
多くは、ダイズ油が使われていて、黄色が強い単軟膏は、このダイズ油の色がついてるわけですね。
ほかにも植物油として、ゴマ油、酸化されにくいナタネ油が使われることもあります。
オリーブ油も酸化されにくいほうなんですが、植物油としては高価なためか、採用している単軟膏はありません。
添加物は?
ダイズ油やゴマ油を使うと、どうしても酸化されやすくなってしまいます。
そのため、植物油にダイズ油やゴマ油を使っている単軟膏には、酸化防止目的で、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やプロピレングリコール(PG)などが添加されています。
これらの添加物は、旧表示指定成分なので、皮膚の状態が悪いときは、刺激やアレルギーがまれに、おこることもあります。
天然の素材をシンプルに組み合わせた軟膏剤
単軟膏は塗ると、肌をしっとり、やわらかくする作用はありますが、保湿効果としては、中間に位置します。
肌の水分蒸発を防いだり、肌表面を保護する意味では、プロペトなどワセリン系の保湿剤のほうが上。
肌の中に水分をキープする能力を上げる意味では、尿素配合のクリームやヒルドイドのほうが上です。
そのため、アトピーの治療では、積極的に使われることが少ないのが、現状です。
それでも、あえて「単軟膏」のいい点をあげると。
ミツロウも、植物油も、天然のものを精製しただけのもの。
つまり、単軟膏は、自然に採れるものを組み合わせたシンプルなものです。
その点では、自然派志向の人にとっては、いい軟膏剤といえるわけですね。
また、単軟膏は、単独で使われることは少ないものの、基剤(ベースとなる素材)として、亜鉛華単軟膏に使われています。