また『恐怖の報酬』を観ました。
前回の鑑賞記はコチラ。
――ここで、ど~でもいい告知。
映画の鑑賞記が主な当ブログでは、未見の人に向けて、初見のインパクトを損なわない程度に紹介しているつもりですが、記事タイトルに“~その2~”とある2回目以降の鑑賞記は、既に観た事のある有志を相手に1から10までを遠慮なく語るようにする予定です。
…って、誰も気にしちゃいねーよ、へっ。
今や生涯レベルで好きな作品となったリメイク版=77年版『恐怖の報酬』。
だからって、今なおオリジナル版たる本作が燦然と輝くままでもなければ、霞んでしまう事もありません。
オリジナル版とリメイク版、どちらもそれぞれに長所&短所があるものですから。
比較はしてしまうにしても、どっちも面白いと感じるのであれば、わざわざ優劣を付けるのは無粋だという事です。
これまではジョーのヘタレっぷりを嘲笑の対象としていましたが、観返してみると同情すべきキャラに思えてくるようになりました。
過剰にビビりながら運転した挙げ句、恐怖に耐えきれず逃げ出しちゃうあたり、前半の伊達男っぷりはどこへやら、マリオに見下されるようになりながらも、そこから一念発起する事もなく、せいぜい多少は前向きになる程度で1ミリも勇気を出す事がないのがリアルなんですよ。
「年を取れば誰だってこうなるんだ」なんて泣き言の通り、人間、中年にもなれば性格なんてなかなか変えられないし、守りに入ってしまうものですからね。
女っ気がゼロではないけど、限りなくゼロに近いと感じるほどの男臭い作品です。
特にマリオは、甘いロマンスなんかクソ食らえ、寄ってくる女なんざ煙ったいだけだぜ!とでも言わんばかり。女とイチャつくより男同士で楽しもうとするイキがり方は、不良の先輩に付いて行く硬派を気取った中学生のようで可愛いじゃありませんか(笑)。
ニトロ運搬の道中、走路を妨害する障害物をどうにか排除した後で“祝いの噴水”をするあたりも、男同士の気安さがあればこそのいい雰囲気です。息詰まるシーンが続く中、ちょっとした息抜きとして緊張感が和らぎます。
道の脇に走っているパイプラインが破裂し、止め処なく溢れる石油が水たまり(どころか池)となってしまったところを通過するシーンも見どころ。
ななんと、このシーンには本物の石油を使ったそうで、あのトロみがリアルに見えるのも納得です。
そんな石油の池の中に頭のてっぺんまで潜って、誰かも判別不能なまでに真っ黒になるマリオとジョーの姿は凄絶。
演じるイヴ・モンタンさんとシャルル・ヴァネルさんは、ガスの臭気にやられた挙げ句に結膜炎にもなってしまったってんだからお気の毒様です。
お二人にとっては、これこそが真の“恐怖の報酬”ですね。
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