観た、『十戒』(1958年版) | Joon's blog

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『十戒』を観ました。1958年版ね。

 

不吉をの予言を聞いたエジプトの王=ファラオは、奴隷とするヘブライ人全ての赤子の抹殺を命じる。これを免れるために揺りかごごと川に流された赤子は王女ベシアに拾われる。ベシアは赤子をモーゼと名付け、自分の子としてファラオには内密に育てる。

成長したモーゼはファラオの信望も厚く、やがて王妃となるネフレテリとも愛し合うようになっていた。ファラオの実子ラメスはこれを快く思わない。

順風満帆に思えたモーゼだったが、自分がヘブライ人の子供であると知り愕然。王子の身分を捨て、同胞であるヘブライ人として奴隷に身を落とす。

自分の出自を知ったラメスにより、モーゼはエジプトを追放される。砂漠をさまよっているところを羊飼いの部落に救われたモーゼは、部落の長の娘チッポラと結ばれ、この地で暮らすようになる。

ある日、シナイ山の輝きを見たモーゼは山頂に向かい、神との対話を果たし……といったお話。

 

まず、本作を劇場で観た人に対して、ちょっとした畏敬の念を抱きます。

インターミッション(=休憩時間)があるとは言え、約3時間40分という長丁場をじっとしていられたのだから…。自分のタイミングで中断できる映像ソフト万歳ですよ。

インターミッションと言えば、こうした長尺の作品の映像ソフトにもそれが収録されていますが、実際の劇場公開時もこれと同じ時間なんでしょうか? 席を立ってトイレで用を足して戻って来るには、間に合わないよね…。

 

『天地創造』を観た際にも感じましたが、つくづく聖書の世界とはエンターテインメント性に富んでいるなと。神が人間と密接に関わっているせいか、様々な奇跡が起きるのが痛快なんですよ。

実際に観ていない人でも、本作に海が割れるシーンがあるのを知っている人は少なくないですが、実際に目の当たりにしてみると震えますね。

もちろん今の目で見れば映像技術的に至らない点→わざわざ探すまでもなく粗が目立ちますが、58年という古さを鑑みるほど、その発想や見せ方には感心すると思います。どうやって撮っているんだろう?と感じさせる時カットも多いしね。

さらに言えば、建築物等のセットの数や大きさ(王都のエントランスの壁の高さ!)、煌びやかな装飾、そして無限にも思える人の数は、まさに大スペクタクル史劇と呼ぶに相応しいスケールです。映画館の大画面にこそ映える作品ですね。

…でも、セットと実景の合成ショットは意外と多めだったな…。

 

モーセとラメスの確執から発生する対立が本作のストーリーの根幹。

二人の対決が済んでしまえばお話は終わってもいいはずなんですが、実はその後にも大きな見どころが控えています。個人的にはここが一番好き。

ラメスこそが本作における悪者ですが、デーサンもなかなかの悪党です。

奴隷=ヘブライ人でありながら平気で同胞を売ったり、スパイのような真似をしたり、一つになりかけている大衆の心を分散させたりと、いちいち和を乱したがるイヤなキャラで、助けてもらった恩を恩と感じず、仇で返そうとするクズっぷりが、ま~憎々しい。

けど、悪役が悪どいほどヒーローの活躍が際立つもの(もちろん悪役には相応の報いが待っている)。この辺も含めて、しっかりエンタメしているんですよね。聖書おそるべし。

 

モーゼを演じるチャールトン・ヘストンさんがハマり役と言われますが、もしかして『ベン・ハー』と同一視してません(笑)? 高貴な身分の若者が奴隷に身分を落とし、そこから大衆のカリスマに成り上がるという立志伝とか、そのまんまだし…。

ネフレテリを演じるアン・バクスターさんは本作で知りましたが、パッツン前髪も含めて可愛くないですか? どんな状況に陥ってもモーゼに対し一途な愛を捧げていたものの、その愛情が徐々に歪んだものに変化していく様とか、恋愛劇という観点で見ても面白いと思います。

 

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Blu-ray版は、前半と後半に分けた2枚組。

ディスク交換が手間だけど、休憩を挟むにはちょうど良いかもしれませんね。ただ、後半ディスクに関しては、トップ画面表示前の免責事項なんか要らねーだろ、早く続きが観てぇんだよバカヤロー。

 

吹替版も収録されていますが、吹き替え音声が何分くらい収録されているのかは記して欲しかったですね。