『タワーリング・インフェルノ』を観ました。
サンフランシスコにそびえ立つ超高層ビル、グラスタワー。
ダンカン建設は数多の来賓を招き、竣工パーティーを行う。設計者であるダグの喜びもひとしおだ。
そんな中、発電機の異常の報告を受けたダグが原因を追究すると、自分の指定した部品が質の悪いものにすり替わっている事に気付く。
そして電気系統のトラブルから、81階で火災が発生。火災報知機も作動せず、火はどんどん広がり、81階は火の海に。
最上階ではパーティーが始まっている一方、階下では隊長オハラハンを初めとする消防隊員が消火に全力を尽くす。しかし、火の勢いは増す一方で……といったお話。
超高層ビルで火災が発生したら?というシチュエーションのパニック作品ですね。
高層マンション、いわゆるタワマンは今日も作られ、そこに住みたいと望む人も少なくありません。
そんな願望の根っこは人それぞれに異なりますが、本作を観てみると、そんな気持ちが少しばかりブレるんじゃないかと思います。
所詮はフィクションと一笑に伏せられる人は、こんな古っちぃ映画や当ブログなんか無視して、天界のような場所にお住い下さい。
俺ッチの場合は本作を観るまでもなく(観てたけど)、3.11の時だったかな、耐震構造の一環だと思いますが、風に揺れる草のごとくビルが“しなる”のを見て、生涯に払いきれなさそうな金を出してまであんな場所に住むのは、まるで度胸試しに挑むようじゃないかと感じたものです。
床ではなく地に足が付いていない恐怖とは、まさしくタイトル通り“そびえ立つ地獄”です。
『確実に消火できるのは7階までなのに、設計屋は高さばかり競い合う』
オハラハンの愚痴みたいなものですが、真理ですよね。
今日も高層ビルは建設され続け、昨日よりも高く高くと記録を更新し続けます。
それほどに世界の建築技術は向上し続けていますが、↑のセリフや本作を観終えた際に思うのは、建築技術に対して消火(や防災)技術は比例的に上昇しているんでしょうか?と。
手っ取り早く思い付くのはスプリンクラーくらいですが、その消火力がどれほどのものかという話はあまり聞こえません。
本作の場合は、電気系統のトラブル→ピンハネを主目的とした施工業者の手抜き工事が一因でしたが、仮にそれがなかったにしても、こういう災害にどこまで対処できるんでしょうか?なんて疑問も湧きますね。
尺は割と長めの165分=2時間45分。
最近の映画の風潮を鑑みると、ダグとオハラハンの対立→信頼とか、自責の念に駆られるダグの自己問答とか、ダンカン社長と部下の陰謀(笑)とか、陳腐な人間ドラマをダラダラと描きそうなものですが、本作にもそんな描写がないわけではないものの、そこにはあまり時間を割かずアトラクションに徹している、つまり特撮シーン多めでガンガンお金を掛けているのが良いんですよ。
この手の内容で人間ドラマって、眠くなる要素にもなり得ますし(笑)。
消防士が到着してからは俄然面白くなり、長尺作品ながらも一気に観終えられます。
主演はオハラハンを演じるスティーブ・マックィーンさんと、ダグを演じるポール・ニューマンさん。
どんな作品でも主人公は1人と思いがちですが、本作を観ると主人公は2人、もしくは観る人の解釈で一人の主人公を選ぶのもいいんじゃないかと思います。
個人的には、ダグは“静”の、オハラハンは“動”の主人公として捉えています。双方共に、欠点や失敗が皆無に等しい優秀キャラ故に、お話がスムーズに運ぶのがいいですね。
…とまぁ、小難しい能書きを垂れましたが、結局は単純に好みの話です(笑)。
俺ッチの場合はマックィーンさん寄りかな? この人が現場系の隊長をやってる時点で安心度が違うというか、マックィーンさんの下で働いていれば絶対に死ぬ気がしないですもん(笑)。
この事故によって責任を問われるべきキャラは数多く存在し、そのほとんどが責任を全う、もしくは報いを受けて幕を閉じます。
しかし、昨今のニュースを見ていれば分かりますよね、彼らの本当の地獄はここから始まるんだって…。
ダンカン社長のように自ら体を張って事態の収拾に臨む人もいるんでしょうが、見えない努力は認めないのが(特にネット上での)世の中の声ってやつですから…。
スーパー余談になりますが、ヒットした作品にはパロディが付き物で、本作も例外ではありません。
俺ッチも本作を初見の際には、どこかで見たような感がありました。
…なら、どんな作品がパロった(死語)の?と聞かれれば、
『お父さんは心配症』と答える。よりによってというか(笑)。
映画としての見せ場を割と正確に再現(?)しているので、分かる人には分かるはずです。お話のジャンルがまるで違うけど(笑)。
…にしても、久々に引っ張り出して読み始めたら、本作を観終えた後の余韻が一気に吹っ飛んじゃったよ…。
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つーか、令和の今でも新品が買えるなんて驚き! 買い足そうかな…。
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Blu-ray版は映像特典満載。
その中に未公開シーンも含んでいますが、これが多い! ただでさえの長尺に、これらが加わったらどうなってたんだ…。
当時のメイキング映像が多めなのは良いですね。
この手のオールスター映画には不仲説が付き物で、本作の場合もマックィーンさんとニューマンさんのそれが挙げられがちですが、カメラが回っていないところでケラケラ笑い合っている事もあり、下世話な噂を一蹴するかのようです。