観終えた、『忍風カムイ外伝』 | Joon's blog

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『忍風カムイ外伝』を観終えました。

 

忍びの世界を抜け、抜け忍となったカムイ。

厳しい忍びの掟に従い、執拗にカムイを狙う追っ手。

死と隣り合わせの逃亡生活の中で、カムイは人の心を持ち続けながら生き延びられるのか……といったお話です。

 

もっと手っ取り早く紹介するなら、“抜け忍カムイが追っ手と闘う忍者アクションもの”、という一言で終わってしまいますが、そんな単純明快なものではなく、シリアスな心理描写が光るお話です。

シリアスすぎて鬱になってしまいそうな回も、ちょいちょいあります。

 

その昔、当時20代の、比較的アニメは好きな同僚が本作を知っていたので感想を聞いてみると、「チョーつまんない」という一言で終わってしまいました(笑)。

まぁ、作品自体も1969年の作品だし(ななんと『サザエさん』枠の前番組!)、画ヅラや雰囲気も古いから、若い人はそれだけでつまんないと感じてしまうんでしょうがね。

その辺の偏見ナシに、仮にキチンと観たとしても面白いor面白くないと意見が分かれますが、本作を受け付けない人とは、おそらく本作が好きな人に比べると幸福度が高い人だと思います。

 

と言うのも、本作は希望を感じさせるお話ではなく、希望があって欲しいと切願するお話です。アニメ→ガキ向け→明るい作風であるべきと考えていたであろう当時としても、こうまで暗いアニメ作品は珍しかったんじゃない?

常に命を狙われているから、易々と心を開かないどころか猜疑心に囚われ、他人に対して疑心暗鬼になっているけど、本当は心から他人を信じたい――そんな葛藤に苛まれるカムイを主人公としたお話です。

そんなキャラに近しさを感じたり感情移入したりするのは、幸福度が低い証じゃないかと思うんです。人間不信気味でもあったり。

ちなみに俺ッチの場合、初めて本作を見知りした上で面白いと感じたのは中2の時でした(笑)。

 

そんな本作を象徴するのが、第9話『暗鬼』。

いきなり見てもピンと来ないので、1~8話のうち3話分くらいを観て、予備知識や世界観を身に着けてから観ると重みが変わりますよ。初見の人は言葉が出なくなりそう…。

 

極力、他人との接触を避けるカムイのキャラが、実にストイックでカッコ良い。忍者だって立派にハードボイルドしています

そんなカムイの魅力の半分以上は、演じる中田浩二さんのクールな声と抑えた芝居によるものです。普段がそんなだから、たまに激昂するセリフがあるとピリッとしますね。

『暴れん坊将軍』を観ているとやけに声がカッコイイ悪役がいますが、それも中田さんです(笑)。ちなみに中田さんは本作がアニメ作品の初出演だそうですが、デビュー作にしてこの貫禄!

そして、こちらも良い声をしていますが、カムイの心情や虚無感を代弁するようなナレーションを担当する城達也さんもいいんですよね。

古いアニメ作品は画ヂカラが弱い分を声優の芝居で補填しているように思えます。最悪、画面を無視してラジオドラマのつもりで見てみれば、意外と楽しめるかもしれませんよ?

 

繰り言ながら古い作品ですから、今の目で見ればアニメーション映像として足りない要素は多々ありますが、水墨画のような背景(これが秀逸!)や草木に潜む動物の描写など、そんな画作りや演出ができる人って今ではなかなかいないんじゃないかな?

 

本作の主題歌、『しのびのテーマ』も好きです。

♪ひ〜とり〜、ひ〜とり〜カムイ〜♪というサビは周知度が高そう?

こちらはあまり知られていないでしょうが、挿入歌『白いつばめ』も良いんですよ。孤独なカムイの心情をよく表している、悲壮なムード歌謡っぽさが沁みるんですよねぇ。

 

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