『リバー・ランズ・スルー・イット』を観ました。
モンタナ州に住まうマクリーン家では、信仰と釣りに大差はないという牧師である父の教えの元、ノーマンとポールの兄弟は親子3人でフライフィッシングを楽しんでいた。
2人は成長し、大学を卒業して帰郷したノーマンは、新聞記者になったポールと再会を果たす。
ジェシーに恋をするノーマン、ギャンブルにのめり込むポール。2人の人生にどんな変化があろうと、今日も変わらず川は流れる……といったお話。
…と、粗筋を綴ってみましたが、特に起承転結のない作品なんですよ(笑)。
フライフィッシング=釣り要素を主軸に描かれるというワケでもなく、抒情的っていうんですかね、ノーマンやポールの小さなエピソードをまとめたような、まぁ『サザエさん』みたいなモンですよ(笑)。
俺ッチも含める多くの人は、フライ・フィッシングとは何ぞや?というところから始まるんでしょう。
劇中でも竿をブンブン振り回して、糸の先端に付けた毛ばり=フライを宙に舞わせていますが、まるで羽虫が飛んでいるかのように見せかける釣り方なんだとか。
釣りに関する知識は皆無の俺ッチからすれば、魚って水面上の物まで見えるんだ?とか思ってしまいますが(笑)。
まぁ、虫やらミミズを針に付ける作業をしないなら、こっちの方が良いですね…。
20世紀初頭、モンタナ州の大自然が全編に渡って映し出されますが、この風景群が美しいの何の。
美しいと思える天然自然の光景は数多ありますが、その中で俺ッチが川に癒しを感じるようになったのは本作の影響によるものです。流れる川のせせらぎ(の音)や陽の光を反射する水面とか、いつまで見ていても飽きません。
寒かったり虫が出るという理由から、実物はあまり見に行きませんが…。
ハリウッドを代表するスターに登りつめたブラッド・ピットさんは、本作で注目されました。監督でもあるロバート・レッドフォードさんの若い頃を思い出すなんて意見もよくありましたしね。
↑に述べた川の美しさ+それを背景にしたブラピさんのスマイル、これだけで目が肥えます。
近年(でもないか)では無精ヒゲを生やしたままのルックスがデフォルトと化していますが、「ヒゲ剃った方がカッコ良いのに…」と思っているファンの方々は、まだウブで若々しく清潔感のあるブラピさんを堪能しましょう。
主に描かれるのがノーマンとポールの兄弟で、たった一度の大喧嘩を除けば、この二人の仲の良さが本作に爽やかさを与えています。“兄弟愛”という言葉とはチト違う関係で結ばれているというかね。
常に相手を慮[オモンパカ]り、応援したり、自分の事のように喜んだりと、過剰に馴れ合うのではない、いい大人になった男兄弟の理想形にも思えます。根性が歪み切った妹に頭を痛める俺ッチにとっては、絵空事ながらも羨ましい関係です。
真面目な兄ノーマンは恋人のジェシーの家族に会う事になりますが、彼女の兄であるニールがまたイヤな感じでね~。憎たらしい人ではないんだけど、あんま仲良くはなりたくないタイプ(笑)。
男女の仲が進展すれば、いずれは相手の家族とも顔を合わせなきゃならないし、仲良くしなきゃならない(or調子を合わせなきゃならない)のも当然ですが、こういうしがらみに耐えられずに別れる人たちもいるんだろうな~…。
そんなノーマンに対し、弟のポールは常に明るく人好きのするキャラです。フライフィッシングの腕前も名人級。
付き合っているメイベルはインディアンで、町人からもあからさまな差別を受けていますが、そんな人々の視線に臆する事なく、自分の恋人として堂々と一緒に歩いたり踊ったりができるんだから、心までもがイケメンです(そんな役どころもブラピさんの株を上げる一因にもなっているんでしょう)。
しかし、そんなポールにも悪癖というか後ろめたいところがあり、パーフェクトなイケメンにはなりきれない一面を覗かせます。
もちろんポールを窮地から救い出したい気持ちはあるけど、そこまでド親身にはならないノーマンの距離感も絶妙です。
正~直、面白い作品ではないかもしれませんが、心が洗われるような温かみのある作品です。
ブラピさんのイケメンっぷりに釣られて見る人もいるでしょうが、鑑賞後にはそれ以外の何かの方が残っているんじゃないかなと思います。
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Blu-ray版の映像特典には未公開シーンや、監督(とナレーション)であるロバート・レッドフォードさんが当時を振り返るメイキングを収録しています。