『ランペイジ 巨獣大乱闘』を観ました。
元特殊部隊員で現在は霊長類学者のデイビスは、ゴリラのジョージと深い絆で繋がっている。
そんなジョージがある時を境に凶暴化、体も徐々に大きくなっていく。
ジョージに起きた謎を究明するデイビスの前に現れたケイトは、かつてエナジン社でゲノム編集に携わっていた研究者で、ジョージは様々な動物の遺伝子をミックスしたサンプルを吸入したというのだ。
同じ頃、エナジン社が雇った軍事会社がジョージと同様に巨大化した狼により全滅させられてしまい、凶暴化が止まらないジョージもデイビスの元を逃げ出した。
エナジン社が放つ特殊音波に吸い寄せられ、シカゴを目指すジョージと狼。街の壊滅を防ぐため、そしてジョージを正気に戻すためにも、エナジン社にある解毒剤を求めて出発するデイビスとケイト。しかし、もう一つの巨大な影もシカゴに向かっていて……といったお話。
「大昔のゲーセンに、そんなタイトルのゲームがあったけど……まさかそれ?」とか言ってるのは、もうずいぶん歳の行った人でしょう。
何だかよく分かんないゲームからイマジネーションを広げて、こうして映画にまで発展させ得るアメリカって、本当に寛大だよなぁ。まだまだ解像度の低かったグラフィックを、こうまで緻密に作り込んだ映画にするなんて当時=昭和には想像もできなかっただろうに。
80年代後半以降のアーケードゲームって、小話程度ながらもストーリーがある作品が多いから、その辺を原作にした映画とか作れそうじゃない?と前々から思っているんですよね。
『ストリートファイター』(ヴァン・ダム版ですよ)が映画化されると知った際、どちらかと言えば『ファイナルファイト』の方が面白くできそうなのになぁと思ったものです。
80'sゲームというネタの宝庫に手を出さないとか、何とも勿体ない話!とも思いますが、使用料を払おうにも権利者たるメーカーなんてほぼ壊滅してますからねぇ…(笑)。
「でも、プレイヤーのゴリラとかトカゲって、人間が変身した姿だったよね?」とまで覚えている人もいるでしょう。
映画化するにあたり、そこをアレンジしているのは時代の流れとか作家性(=創造心)によるものでしょうが、全編を通して見てみればそんな問題は小さなもので、原作=ゲームへのリスペクトが強すぎるのが伝わるのでセーフです。
3巨獣が高層ビルによじ登るのはもちろん、ビル街で軍隊が武力を以て応戦したり、人間が食われたり、やけにヘリコプターの出番が多かったり、原作にあったビジュアルを発展させた画作りに力を入れているのは拍手ですね。
まさか、
↑これまで再現するとはマニアックすぎでしょ…!
主人公デイビスとゴリラのジョージを別個体にしたのは、人間とゴリラの友情→『猿の惑星』でもやりたいんかいな?と思いましたがね。
一見すれば凶暴に見えるジョージですが、“愛嬌があって可愛い”というより、“気のいいヤツ”なんです。デイビスとは手話によってコミュニケーションを図れるというのはチトやりすぎですが(笑)。
人間のジョークも理解できるユーモアも持ち合わせていて、まさかそんなド下ネタまでブッ込んでくるんだから、違う意味でヤバいゴリラです(笑)。つーか、何を教えてるんだよデイビスさん…。
エナジン社は民間の軍事会社を雇い、巨大化した狼(原作ではラルフという名前がある)を退治しようとします。
「ははーん、この過剰な武力を以てラルフを殺した後、ジョージを巡ってデイビスと対立する話になるんだろうな」と予測しますが、そんな安直な展開にならないのが面白いところです。
だって、この軍事会社の装備とかフツーに国の軍隊と同等に見えるし、隊長のバークも存在感たっぷりなんですよ? そんな、いかにもなキャラに出番を与えすぎないのも意外性に富んでいます。
この人が最終的な黒幕だろ?と思わせるハーベイとの関係の変化もいいですね。
全てはエナジン社のCEOたるクレアとブレット姉弟が主導する“ランペイジ計画”が原因でした。会社の規模の割に、この二人の直下にある部下がサッパリいないのは強めにツッコんでいい所ですよ(笑)。
勧善懲悪のお気楽娯楽映画とは言え、この二人に事件の落とし前を付けさせる事ができないのはモヤッとしますねぇ。
近頃の日本における天災や、その後の話を見知りしてしまうと尚更にそう思ってしまいます。あの大規模な被害は、やっぱ国が全額を負担させられるのかな?とか考えたり…。
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Blu-ray版の映像特典では、スタッフ&キャストが原作への思い入れを語っています(半分リップサービスだと思いますが)。
バークを演じたジョー・エンガニエロさんだったかな、昔ゲーセンで使った分を今回のギャラで取り戻せたというジョークが笑えました。