『史上最大の作戦』を観ました。
第2次世界大戦下のヨーロッパ。
米英仏の連合軍がフランスに上陸する情報をキャッチしたドイツ軍は、いつ、どこの海岸から攻めてくるか予測に躍起になっていた。
対する連合軍は、長引く悪天候を押し切って作戦の開始を決断。
まずはドイツの占領下にあるフランスのサント=メールを占拠するため、落下傘部隊が出撃。その後、連合軍の大艦隊がノルマンディーの海岸に向かい、ここに史上最大の上陸作戦が始まった……というお話。
ご存知、ノルマンディー上陸作戦を描いた作品です。
“ノルマンディー上陸作戦”という単語を聞いた事はあれど、どんな内容かは分からないという人は、本作が参考になるというか、勉強になるかもしれません。3時間もあるけど。
以前、『トラ・トラ・トラ!』を観た際に目言及しましたが、現実に則したドキュメントとドラマを組み合わせた作風を“ドキュドラマ”と呼ぶそうです。
まぁ、今風に言えば“再現ドラマ”ですね。
本作は大ヒットしたらしいですが……歴史・戦争・軍事マニアには見どころが多々あるものの、そうではない一般の人、特に女性は本作のどこに興味を持てるんだろう?と。
ヒットするからにはお客も男女問わなかったんでしょうけど、女性が観て熱くなれる内容じゃないと思うんだけどなぁ。
昨今のスポーツに見られる傾向よろしく、内容は分かんなくても、自国が強いから見(始め)るって感じなんでしょうかね?
そんな、おそらく男に付き合わされて渋々見るであろう女性(笑)への救済措置なのか、随所に兵士のドラマを加えてあるのがいいですね。
たとえ戦争と言えど、人間がやってる事であれば喜怒哀楽の感情は少なからずあるはずですし。
妻と離婚した兵士や、敵味方を識別するためのクリケット(クリッカー?)で失敗する兵士のエピソードが印象的です。
オールスター映画とは言え、顔を見ても名前の分かる俳優は10人もいないから、そうでない人は見分けが付かないんですよ(笑)。「…あれ、この人って、さっきのシーンに出てた人だっけ?」みたいな。
そんな個人的に馴染みのない俳優が多い中、ショーン・コネリーさんはすぐ分かったよね。世界で一番有名なスパイ役を演じる前とは言え、まさかコメディ担当の凸凹コンビの凸役(確かフラナガンという役)をやってるなんて…。
ノルマンディー上陸作戦は本作の見どころの一つゆえ、オマハビーチでの戦闘シーンは圧巻です。
1カットでの長回しで戦闘を追うんですが、これがもう呆れるほどに戦場の範囲が広い、広すぎます。
ウィストレアム(ウイストラム)での、フランス軍のコマンド部隊による賭博場(や橋)周辺での戦闘を1カットで空撮したシーンも同様で、ずーっとカメラで追っても、どこまでも兵士がいるんだから驚きです。
実際の戦闘を撮った記録映像ならまだしも、これをあくまで芝居としてやっているんだから、リハーサルやら段取りを想像すると気が遠くなりますね。
「CGがなかった頃は…」という年寄りの枕詞が鬱陶しく感じる若い人も、その辺を気にしながら観ると、古い作品、かつモノクロだから見応えがないという偏見も少しは払拭できると思います。
戦闘シーンばかりが注目されがちですが、そこに行き着くまでの、作戦前夜を描いているのが緊張感がありますね。それほどまでにデカい規模の作戦が控えていると感じさせるような、引っ張りの演出というか。
それ故、登場人物が増えてしまうのは仕方ないのかもしれません。仕方ないんだけど……覚えきれない(笑)!
以前観た際にそう感じたので、もう少しキャラの判別がしやすくなるかと思い、今回は吹き替え版で鑑賞したんですが、あんま変わりませんでした…。
「…あれ、これも大塚芳忠さん?」といったように、むしろ声優が一人何役も担当している方が気になってしまいました(笑)。
そんな人海戦術&物量作戦を以て作られた、3時間もある作品ながら、エンドクレジットは4分すらないという潔さ。
近年の映画はエンドクレジットに載せる人名が無駄に多く(見習いの名前なんか要らねーだろ!)10分以上かけるのが暗黙の了解となっていますが、さすがに半世紀以上も昔の本作を真似れないものの、もう少し短く収めて欲しいですね。
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俺ッチが買ったのは↑↑の廉価版なので本編のみの収録ですが、↑の2枚組は本作に関連するドキュメントを収録した特典ディスクも付いてくるそうです。
これを見れば、特に登場キャラに関して、もう少し理解しやすくなるのかな~…。
にしてもBlu-ray版、字幕がダメですね。画面中で会話があるのに字幕が出ないという箇所がそこかしこにあります。
個人的クソ字幕(“クソ翻訳”ではない)だった『エイリアン』もそうだったけど、こちらもフォックス製品だ。