『ファンタスティック・フォー』を観ました。
リメイク? リブート? どっちにせよ2015年版の方です。
幼い頃より物質転送装置の実用化を夢見るリードは、今日も失敗ばかり。
そんなベンの発明を見たストーム博士は、バクスター財団にスカウトする。
ストーム博士の娘スーや、似たような研究をしていたヴィクターらと共に、協力や衝突しながらも装置は完成し、実験にも成功する。
しかし、装置がNASAに接収されると知ったリードとヴィクターは、リードの幼馴染ベンと、スーの弟ジョニーを加えた4人で、転送先である惑星に飛ぶ。
謎のエネルギーに満ちた惑星で事故が発生、犠牲になったヴィクターを残して地球に帰還した3人と、装置の操作に立ち会っていたスーの体に異変が発生し……といったお話。
2005年に公開された『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』の、たった10年後にリメイクorリブートした今作。
原作である漫画版がどちらに忠実なのかは分かりませんが、映画版である前作と今作では大まかには似ていても、ほぼほぼ別口のストーリーになっています。
前作を先に観てしまっているので、どうしても比較してしまいますが、今作の方がダークというかリアル志向ですね。
ストーリーに関しても、主役の生い立ちや事件の発端を丁寧に描いていて、重厚な雰囲気を出したがっているのは分かるんですが……あんま面白くないんですよ(笑)。
本作の起承転結はどんなかと言うと、
起:5人に超能力が身に付く
承:その中の1人が敵になる
転:そいつとのバトル
結;勝利(&これからも頑張るぞ)
といった感じ。
けど、↑で言う“起”の部分、超能力が身に付くまでに40~50分くらい掛かってるんですよ。作品全体の尺が100分だってのに(笑)。
主役5人の履歴書を事細やかに描きたいのは分かるんだけど、この手の作品では過剰ですよね。
ヒーローが画面狭しと暴れまわるのを期待しているのに、重っ苦しい人間ドラマばかりを見せられる前半で寝てしまうお客さんも少なくなかったんじゃないかな?
リード&ヴィクター間のギスギスした空気は、その後のストーリーに多少の深みを与えていますね。
もしかすれば実力も上、かつスーとも仲良しというリードに対して近親憎悪の炎メラメラといった感じで、ヴィクターは嫉妬の感情を行動原理として動いていたんでしょうね。
――こういう、悪にも悪なりの事情がある的な、悪側にも同情を誘えるような作風は近年の流行。100人どころか、10人ですら意見が一つにならない現代の世相を表しているようです。
勧善懲悪モノに必要な、満場一致で倒されるべき悪役キャラ、どっかにいませんかね?
ヴィクターに関してはそこそこですが、ファンタスティック・フォーの、特に超能力が身に付いてからの4人に関する描写は薄っすいですね。
哀愁の要素を一手に引き受ける(笑)ベン=ザ・シングとか、まぁまぁ早めに割り切っちゃうもんね。
ジョニーも流されてるだけで、あの異常な状況に早めに順応してるし。
この辺は↑に挙げた尺のペース配分、後半の残り時間がカツカツだからなのかな?
ビジュアルの解像度の高さは、前作を遥かに上回っていますね。
このくらいの物を見せ付けられれば、CGは安上がりだとか不勉強な事を抜かす連中も黙らせられるんじゃないかな?
って事で、総論としては、辻褄合わせに必死な本作より、アッケラカンとした前作の方が感情を揺さぶる力は感じますね。
本作の原作もマーベル・コミックの中の一つって事で、マーベル・シネマティック・ユニバース=MCUへの参入がどうこうというニュースもあるようですね。
それが現実化するなら、こちらの、個人的に思い入れの湧かない2015年版の方でお願いします(笑)。
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なお、吹き替え版のスーを演じるのは、俺ッチの永遠のミューズこと堀北真希さん。
嬉しいとは言え、初見はやはり字幕版で観るんですが(笑)。
当時の、その辺に関するネットニュースを見てみたんですが、“透明になれるスーには、透明感のある堀北さんにお願いしました”というのがキャスティング理由との事。
…もうさ~、あちらの業界にもいろんな楽屋事情があるとは言え、公に向けてそんなアホ発言すんなよ。堀北さんにだって、少なからずの飛び火が来るんだからさー…。
洋画の吹き替えに顔出し俳優を起用するのを条件反射的に反対する連中に、芝居の巧拙が分かる奴なんて皆無に等しいから、そこに油を注ぐような発言をしちゃう配給元(?)も迂闊だよな。
個人的には、声優を専業とする以外の人が吹き替えを担当しても何も思いませんし、むしろ大歓迎です。