「ガンプラ好きのみんななら見てたよね、『ガンダムビルドダイバーズ』!
もう終盤とか、四面楚歌になってでもサラちゃんを助けようとするリッくんの姿に涙したもん!
カッコいいガンプラバトルも熱かったし、感動の嵐で有終の美を飾った『~ビルドダイバーズ』、ガンダム史上の大傑作です!」
――とか、どこぞのレビューにでも書いておけば(もちろん☆5つ)、それなりの賛同は得られるんでしょうがね。
放送時間帯も鑑みれば、ターゲットとしている視聴者層は小中学生くらいかな? そのくらいの世代なら、むしろ、そのくらいに感動できるくらいの感受性はあって欲しいくらい。
エンターテインメントとしても、ああいう完結の仕方は健全ですしね。
ただ……そんな若い人の瑞々しい感性とは対極的に、本来なら部外者であるべきオジサンとしては不満も多い作品でした。
個人的に、本作をつまらなくしている存在、それは……
この人、要ります?
常に眠たそうな表情もイラッとしますが(笑)、他人のプレイスタイルにケチを付けたり、何かと物事の奥底をご存知的な物言いをしたり、どこまで偉そうに達観的な事を言ってんだよと。
能書きは一丁前の割に手前ェのガンプラを持ってない→作ってない時点で、人種的にも大嫌いです(笑)。
そりゃ、ゲームもせずに、ロビーでチャットしかしない人も世の中にはいるけどさー。
なるほどサラがプレイヤー要らずの自律AI的な存在である予想は的中しましたが、一言で言ってしまえばバグが正体でした。
――となれば、オーガも突っ込んでいましたが、バグを利用したプレイという意味においてはブレイクデカールのそれと同類です。
つまり、サラとつるんでいる事が多かったリクは、違法プレイヤーと呼ばれても当然なんですよ(笑)。
バグを利用したレアアイテムを入手した上で、ガンガンとレベルアップしてるんだから、他のプレイヤーは面白くないよね。
そんな連中も最終的にはリクに同調しちゃうんだから、フェアプレイ精神のない仲良しクラブなんだなと、擦れた年寄りは思うわけです。
改めて言うと、本作の舞台(の多く)は、あくまでネットゲームの中の世界。
終盤では、“GBNの世界内でしか動けなかったり話せない人もいる”という旨のセリフが出てきましたが、
これには一瞬ハッとさせられました。
↑のセリフから推測するに、プレイヤーの中には少なからず非健常者がいるんじゃないかと。
ダイバー姿(=アバター)で主な物語は進みますが、それを操作している全てのプレイヤーを、つまり現実の姿を見せないのが絶妙な演出で(もう少しビジュアルでのヒントがあっても良かったと思いますが)、どんな人間が遊んでいるのかはサッパリ分かりません。
それ故、体が不自由だったり耳が聞こえなかったり、人間としての自由(の一部)を失っている人達もGBNに参加している可能性がある事は、決して非現実的な話ではありません。対人恐怖症みたいな、精神的な障害を持ってる人もいるでしょう。
――そんな人達が純粋に楽しんでいる世界だからこそ、自分のインチキを正当化しているようにも見えるリッくんには、ますます腹が立ってくるんですよ(笑)。
本作の隠しテーマは人間関係。しがらみと言ってもいいでしょう。
オンラインゲームに参加するには、自分以外の誰かと繋がりたいという欲求がモチベーションになります。
他人と繋がるからには仲良くしたいし、嫌われたくはない。
チーム(=フォース)の一員である以上、自分が足を引っ張ってしまえばハブられる→孤独に繋がるのが怖いという強迫観念なのか、どんな手段を講じててでもゲーム上で強くなる事を自らに強いるキャラが、前半には多かったですよね。
同志で楽しみたいというモチベーションが、徐々にノルマという苦しみに変化し、自分を殺す様が生々しくも痛々しい……そんな“オンラインゲームあるある”を描いた点は面白かったと思います。
仮想世界の中にも現実の社会はある。
個人的には、そんな気遣いが苦痛だからオンラインゲームにはもう手を出さないんだけど、本作を観て、その感がいっそう強まりました(笑)。