『コマンド―』を観ました。
軍を辞め、娘ジェニーと山奥で暮らすジョンの元に、かつての上官だったカービーがやって来る。
ジョンの部隊に所属していた隊員たちが、何者かにより次々と殺される事件が起きているというのだ。
ジョンの元にも魔手が迫り、ジェニーがさらわれてしまう。
救出に向かうも捕らわれてしまったジョンは、バルベルデという国の大統領を狙うアリウスに雇われたベネットが首謀者である事を知る。現役時代、部隊から追放されたベネットは、ジョンに対し恨みを抱いていた。
ジェニーを人質に取られ、バルベルデの現大統領を暗殺するよう脅迫されるが、隙を突いて窮地を脱出したジョンはジェニーを取り戻すため、怒りの反撃に転じる!といったお話。
初めて観たのはウン十年前まで遡り、その時には「シュワちゃん、スゲー!」くらいの感想しか抱きませんでしたが、いい歳になって再見してみると……ま~、ペラッペラなお話だと(笑)。
重箱の隅を突っつくようにアラを探して、面白おかしくツッコミを入れる=茶化すのって無粋だなーと常々思うんですが、こりゃツッコまずにはいられない(笑)。
けど、逆を言えば、小難しい謎解きやら心情の変化やらと言った“読む”要素は皆無。
つまり、“見る”だけで成立しているという意味では、“娯楽”という映画本来の姿であると言っても過言ではないはず。
静かなシーンがあっても、5分以内には派手なアクションがありますからね。酒でも飲んで、ほろ酔いくらいの状態で見るのも、本作の楽しみ方としてオススメかもしれません。
正確にはツッコミどころというより、“そんなバカな”の連続なんですよね。
開巻早々に白昼での堂々たる殺人に始まり、素手で車のシートをむしり取ったり、電話ボックスを引っこ抜いたり、ブルドーザーでお店に乱入したりと、いちいち豪快なのが笑えます。もうハチャメチャの極み。
つくづくアメリカという国の治安、もしくは警察力の低さに恐ろしさを覚えます(笑)。
痛めつけはするけど命までは奪わないという、フィクションでありながらも昨今のユルユルな作風なんかクソ食らえ! 悪どい奴らは情け容赦なくブッ殺すのも、現代の目には新鮮です。これぞ痛快!
公開当時、本作に全く興味を持たなかったアニメバカでしたが(恥)、そんな俺ッチですら、本作が日本にもたらしたものが二つある事を感じていました。
ひとつは手足や顔に塗る迷彩塗装、もうひとつは(本作での)シュワルツェネッガーさんの髪型。
前者は、顔に黒墨みたいなものを塗るのって、本作が走りだと思うんですよ。
後者はあるあるに近いかな、本作公開後に真似してるスポーツ系男子、多くなかったですか? 角刈りより少し長い、“シュワルツェネッ刈り”と勝手に命名してますが(笑)。
この二つをやれば、誰でも本作のシュワちゃん=ジョン・メイトリクスになりきれたものです。
本ソフトの長所は吹き替え音声が(ムダに)2種類も収録されている点、短所は監督の解説音声のみで、映像特典は一切ない点ですかね。元々が2枚組って事で、本編ディスクのみの廉価版とは言え、トップメニューと予告編くらいは欲しいよなぁ。
余談になりますが、本作に登場するのは“アリウス”ですが、
ジャケ裏のキャスト表には“アリアス”と表記されています。
同一人物の名前を異なる表記で示す事は、媒体の違いでよくある事です。“ワトソン”と“ワトスン”とかね。
でも、同一商品内で、収録されている字幕とジャケットで表記が異なるのは納得行かないなぁ…。