『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』を観ました。
▲“④”表記に愛着があるようです
宇宙線を調査するため宇宙に向かった5人の若者。が、予定より早く宇宙嵐に遭遇、放射線を浴びてしまった事で5人の体には異変が起こり、超能力が身に付いてしまう。
リード、ベン、スー、ジョニーの4人はその力を世のために使おうとファンタスティック・フォーを結成。しかしヴィクターは彼らと袂を分かち……といった内容。
近年ハリウッドで超人気らしい、マーベルコミックの漫画を原作とするスーパーヒーロー作品。
40~50代のオジサンに向ければ、またの名を『宇宙忍者ゴームズ』ですよ(←つくづくスゲー邦題)。
実は本作は2度目の実写作品のようで、90年代前半あたりに初の実写版が製作されていたそうです。
…えっ。
『ギャラクシー・クエスト』を思い出すけど、あちらは劇中劇だったから救いがあるのであって、これは…。
――それはさておき、本作について。
ヒーローの誕生に始まり、超人的な能力の紹介(?)、その陰では非凡な力に苦悩するも自らの使命を自覚し、敵との決戦に挑むという、典型的なヒーロー作品の黄金パターンがギュウ詰めされています。
大した予備知識や深読みも要らず、尺も短め(106分)なので、フラットな感覚でサラッと見ても充足感のある作品です。
特殊な力を身に着けた4人+1人のヒーローのお話ですが、その能力が千差万別なのはいいんですが…。
・スー→力場を発生させられる、体を透明にできる
・ジョニー→体を発火させられる、空を飛べる
・ベン→力持ちで、岩のような体表のおかげで防御力が高い
3人の能力はこんな感じ。
そして、
・リード→体が伸びる
と、チームのリーダー(=座長)の能力が一番ビミョーという(笑)。
原作は1960年代に描かれたものだそうですが、当時の読者のリアクションはどんなものだったんでしょう?
その半世紀後の日本では、これと似た能力を持つ海賊が主人公の漫画が大人気のようですが…。
得てしてスーパーヒーローとは超人的な力を持つ者ですが、その時点で常人とは異なる存在となります。
人間は無二の力に憧れる半面、自分と異なるものに違和を感じたり怖れを抱くものです。一般的な人間社会、すなわち似ている者同士で構成される群れから、かなりかけ離れた外見を持つものであればなおさらです。
それを体現するのがザ・シングことベン。
他の3人と異なり、ベンだけは以前の姿のままではいられず、力を得た代償として醜い風貌に変わってしまうという“何で俺だけ”感が半端じゃないというか、理不尽の極みたる鬼畜設定です。
▲胸を締め付けられるシーン。哀しすぎる…。
だからって腐る事なく、下手すればヴィクターと同じ道を歩んだっておかしくない状況(や心情)でありながら、それでも人の道は外せないる健気な姿……ベンよ、アンタこそ真のヒーロー魂を持つ者だ!
ベンと言えば、「正義の鉄拳タイムだ!」という、必殺技でも放つ時に使うような決めゼリフがあるようです(吹替版でも同様でした)。
けど、そうじゃないんだ……そこは「ムッシュムラムラ!」だろう!
ベンと対極に、特殊な能力が身に付き、自分が普通の人間でなくなってしまった事を易々と受け入れているのがジョニー。
元がパリピ系な性格ゆえ、この異常事態を受け入れるどころか、むしろエンジョイしているのが面白い。
困るなら楽しみ終わってからとでも言わんばかりの前向きな性格はスーパーヒーローに向いてます(ザ・シングになってしまえば、さすがに凹むでしょうが…)。
なるべく身バレを避けてひっそり戦っている日本の変身ヒーローとは違い、ファンタスティックフォーの面々は大衆の前に堂々と姿を見せたり、その上で正体(or能力)を明かしちゃうのがアッケラカンとして面白いんです。
▲これぞ集団ヒーロー的な並び方が熱い
スーを演じるジェシカ・アルバさんを楽しむのも本作の見どころです。
全てを挙げるには枚挙に暇がないけど……シーンごとに髪型(とメイク)が変わるとかあり得なくない?
ジェシカさん好きなスタッフ、どんだけ多いんだよ! グッジョブにも程があるだろ…。
余談ながらジェシカさんは、
▲男の子向けコメディの王道(笑)
こういうシーンに関しての許容範囲はひどく狭いようです。
『イントゥ・ザ・ブルー』に関しても、大っぴらに文句を言ってたしなぁ。
本作は『ファンタスティック・フォー [超能力ユニット]』、2005年の作品。
2015年にリブート版が作られたのは『ファンタスティック・フォー』……紛らわしいな。
近々、今度はMCU版としてリメイクやらリブートやらを節度もなく作るらしいですが、もういっそ、邦題は『宇宙忍者ゴームズ』でいいだろ!
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Blu-ray版の映像特典はナシで、キャスト3人による音声解説のみですが、なかなか興味深いトークが効けて面白いですよ。
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