『ロボ・ジョックス』を観ました。
▲いかにも80年代チックなタイトルロゴ
世界を巻き込んだ核戦争から50年後、世界はマーケットと連合の二陣営に分かたれた。
戦争は不法行為とみなされるようになり、それぞれの領土を巡る解決手段として巨大ロボットによる決闘を採用、国を代表する操縦士は“ロボ・ジョックス”と呼ばれていた――。
マーケットのジョックスであるアキレスと、連合のジョックスであり連勝を重ねるアレクサンダーとの対決が始まる。
そのさ中、アキレスはアレクサンダーが放った反則攻撃から観客を守ろうとするが、その攻撃によりアキレスのロボは客席に転倒、大勢の被害者を出してしまう。
審判団は両国の言い分を鑑みた上でこの試合を引き分けとし、再試合を執り行う事を決定するが、先の大事故に責任を感じるアキレスはジョックスの引退を決意する。
後日の試合に向けて、代わりのジョックスとして女性のアテナが選出された事を知ったアキレスはジョックスに復帰、最後の戦いに挑む……といったお話。
本作が公開された1989年の日本では、巨大ロボットが戦うアニメ作品は既に一文化として根付いていました。実写作品であれば、スーパー戦隊シリーズ等の変身ヒーロー作品ですね。
しかし、巨大ロボが戦うというシチュエーションは海外ではあまり着目されていなかったようで、本格的に巨大ロボットをフィーチャーしたアメリカ映画が本作というわけです(もちろんのごとく日本のロボットアニメの影響下にあるそうです)。
映画大国たるアメリカが作る巨大ロボット作品の出来はと言えば……まぁ日本では賛否両論だったでしょうね。1989年頃にもなればロボットアニメは色々と進化していて、視聴者の目もずいぶん肥えてしまっていたでしょうし。当時の俺ッチもガッカリどころか、内容すら覚えていない始末でしたし(笑)。
けど、いい歳になって再見すると、これはこれでいい味が出ていると感じます。CG(ゲームも含む)のおかげで、緻密に描かれ滑らかに動くロボットを見る機会が激増した反動かもしれませんが。
おそらく当時、そして現在もそうだと思いますが、少なくとも日本ではスピーディーで軽快に動くロボットが喜ばれがちです。
本作のロボットはこの逆で、まるで重機のごとく鈍重で、相手の攻撃をかわすほどの反射速度もありませんが、これこそがリアリティだとも言えます。少なくとも現代では、あれだけの重量物が動けるスピードなんてたかが知れていますしね。
そんな主役ロボがどんなものかと言えば、
▲部分部分としては秀逸なデザインなのです
▲巨大感を表す対比ショットはお約束
▲ミニチュアながらもキチンと巨大感が出ている事に拍手
▲個人的に好きな膝関節(の動き)
まさに重機の延長にあるようなデザインがいいですね。ちなみに名前はマツモト14号!
マツモト14号は、基本的に人間のジェスチャーを倣わせるような操縦方法。
▲攻撃用の操縦桿+ジェスチャーと言えば……ラ~イ!
▲コクピット視点もロボット作品の定番ショット
この操縦法や、国の代表がロボットに乗って戦うあたり、地球をリングに見立てた武闘伝を思い出しますね。決して偶然じゃないと思うんだ。
さらにマツモト14号には秘めた機能があり、
▲宇宙にまで行けるし…(!)
▲砂漠の走破もお手のもの!
ロケットモード&タンクモードと、まさかの3段変形機能を搭載したスゲー奴なんです。マツモト15号はもう作れませんが…。
余談ながら、本作のビデオとレーザーディスクはバンダイが発売していたんですよね。
そんな繋がりがあるんだから、マツモト14号と敵ロボのボバレフスキー42号を発売するのは、もはや使命! 知ったかぶって通ぶりたいオモチャバカの小僧どもが買ってくれるぞ!
…と、ロボットばかりに目が行きますが、世界観もなかなかSFしています。
試験管ベビーも当たり前のように存在していて、ヒロインであるアテナ(という名前もジョックス名でしかない)もその一人。
核戦争終結から50年が過ぎても大気汚染が続いているのか、市民は外出の際には総じてマスクをしていたり、子供の数により寝室の数が変わるアパートを国が提供していたりとか。
やろうと思えばもっと世界を広げられる設定だけは練られているんですよね。
本作の尺は85分ですが、90~120分以内の長編であれば、もっと描きたい事があったんだろうなぁ。
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撮り下ろしの映像&音声特典も満載なのはいいんだけど……うっわ~、何だよこの値段はよ(定価は5060円)。
メーカーでも販売終了したようだし、時すでに遅し…。
もし、今から興味を持つ人がいるとするなら、バンダイを煽って(笑)件のロボットのオモチャを発売させれば、あるいは便乗企画としてBlu-ray再販の可能性もあるかも? ないな…。