観た、『トラ・トラ・トラ!』~その2~ | Joon's blog

Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『トラ・トラ・トラ!』を観ました。

 

前回観た際の感想はコチラ

 

▲原題はこうですが…

▲日本語表記があるのも好意的(セットの大きさと人間の数にも注目!)

 

史実に基づいた系の戦争映画はいくつか観てきましたが、尺も長めだし(総じて2時間半以上)、史実に基づいているという意味でドキュメントに近い=ドラマが希薄だし、キャラが多くてどれが誰だか分かんなくなるし(笑)で、それらを観る際はどうも身構えてしまうので、次に見るのはだいぶ先の話になりがちなんですよ。

が、本作は何回も観たくなるんですよね。別に日本が勝つ内容だからという幼稚な理由ではなくて。

 

もちろん入り口としては戦闘シーンが目当てなんですが、回を重ねて観るごとに、それ以外の要素にも目を向けられるようになり、見どころが増えていくような感じ?

今回の鑑賞で気付いたのは、対照(もしくは落差)が多く描かれているなと。

一部のタカ派の日本軍上層部と、意気揚々で戦う気満々の若い兵士(との間で戦争突入を避けたいと願う山本五十六中将の葛藤)。

日本側の動向を探り緊張感が高まるアメリカ軍の(一部の)将校と、日本は攻めてこないとタカを括って気楽に構える上層部。

やる気に満ちている日本兵と、職務放棄寸前(笑)のアメリカ兵との士気の違い等々…。

これならアメリカ側がコテンパンにやられても仕方ないどころか、むしろ当然です。

 

そんなアメリカ軍の醜態を描いてばかりなものだから、やはりというか、アメリカでの売り上げは期待値に達しなかったようです(逆に日本ではヒットしたそうな)。自国が負けるどころか、自国の堕落した面をあからさまに映し出す様が気に入らなかったんでしょうね。

けど、アメリカにとっての本作は訓示のようなものであり、“油断大敵”という言葉を肝に命じさせる作品なのです。アメリカ人だって冷静になって本作を観れば、これじゃ負けるわと思うでしょ(笑)。

でも、現代の日本だって、そんなアメリカを嘲笑する事はできないんですよね。うまく折り合いがつかない国も少なくないし、有事の際には、本作のアメリカ軍のような後手の対応になる可能性も高いと思います。

もちろん平和な世界に生きたいと願うのは多くの地球人の望みですが、そんな世界はあり得ない事も知っています。だからこそ、そんな有事に備えながら生き続けなきゃならない……ってのも、本来なら息苦しいんですがね。

 

…とまぁ、説教じみた感想はその辺に、やっぱ戦闘シーンに見入ってしまうのは男の子としての性です。

ハワイへの攻撃が決定し、未明のうちから発進を開始する日本の戦闘機群。

▲『トップガン』のオープニングの先駆け?

まさに暁の発進というか、徐々に陽が明けてくる時間経過を表す演出も、胸を熱くさせます。

▲日本の軍艦旗を想起させる美しさ

日本側をこんなにまで、必要以上にカッコ良く見せてるんだもん、アメリカでヒットしなかったのも頷けるというか、嫉妬に近い感情すら湧き起こっちゃいますよね。

 

▲まさに大編隊と呼ぶに相応しい飛行機の数!

実際に飛ばしている飛行機の数が多いだけでなく、戦闘機同士のドッグファイトまで見せているのが熱いんですよ。

▲ミニチュアによる戦闘ではないだけで白熱する

古い戦争映画の魅力は、本物を使う(正確には使わざるを得ない)点にアリです。

レシプロ機には興味のなかった俺ッチでしたが、本作のおかげで、

▲正確にP-40“〇”というのは分かりませんが…

P-40ウォーホークが好きになりました。これも↓買っちゃったもんね。安くて凹モールドなのもありがたい。

************************

************************

自軍のピンチにたった2機で迎え撃つというシチュエーションも好きです。形勢逆転には至らないのが現実なんでしょう…。

 

ハワイに向かっているものの、アメリカとの交渉がうまく行くようであれば帰港せよというお達しに対し、お国のために戦いたいと不平を口にする兵士を、山本中将が一喝するシーンはいいですね。

▲総じてルックスは本人に寄せたキャスティング

「もし和平の道が拓け、それ故、帰れと命ぜられて尚、帰れぬと考える指揮官があるならば、ただ今直ちに任を解く! 即刻、辞表を出せ!」

当時の軍人の気風に反したであろう(ある意味においての)平和論を述べるのが連合艦隊司令であるのもドラマチックですね。

そんな願いも叶わなかった故の、ラストのセリフが重すぎます。

 

**********************

**********************

**********************

Blu-ray版は映像特典満載。

特にメイキングにある、建設途中の戦艦のセットの大きさは必見、そして絶句…!