(居酒屋のトイレ。
 トイレの外では客たちの楽しげな声が聞こえる)


天野
(トイレに入ってくる)

手塚
(トイレの真ん中に立っている)

天野
「うわっ!!びっくりした!!
 ・・・先輩、何やってるんすか。」

手塚
「何やってるも何も、見ての通りだよ。」

天野
「見ての通り?」

手塚
(自分の足元を指差す)

天野
「(手塚の足元を見て)・・・これは・・・鉄製の地雷ですね。
 がっつり踏んでますけど。」

手塚
「ワケわかんないよ。
 飲み会中にトイレ行きたくなって、トイレに入った途端、これだよ。」

天野
「何で助けを呼んでくれないんですか!」

手塚
「動けないからだよ!
 地雷から足を離したらすぐにドカンだよ!」

天野
「(腕時計を見て)あ!そんなことより先輩、21時ですよ!
 新人の出し物の時間です!
 早く行きましょ!(手塚の手を引っ張る)」

手塚
「バカか!バカか!バカか!(天野の手を振り解く)」

天野
「行かないんですか?
 今年の新人、気合い入ってますよ?」

手塚
「行けないんだよ!
 地雷から足を離したらドカンって言ったろ!
 それを聞いた上で手を引っ張るヤツがあるか!
 あと、『そんなことより』で次の話題に移るな!
 こちとら地雷踏んどんじゃ!」

天野
「絶対見るべきなのに・・・。
 窓から見えてるスカイツリーを消すイリュージョンやるみたいなんで。」

手塚
「それはすげぇ見たいけど、地雷の処理が優先!」

天野
「そうですね。
 じゃ先輩、地雷処理したら来てください!(去ろうとする)」

手塚
「待てバカ!待てバカ!待てバカ!(天野を引っ張る)」

天野
「何ですか?」

手塚
「オレが地雷を処理するんじゃないよ!」

天野
「え?」

手塚
「お前が地雷を処理する人を呼ぶの!」

天野
「でも僕、地雷を処理できる知り合いいないんで・・・。」

手塚
「普通いねぇよ!
 お前の顔の広さを見込んでお願いしたんじゃねぇよ!
 警察を呼ぶの!」

天野
「スカイツリー消えてからでいいですか?」

手塚
「先に爆弾処理班呼べ!」

天野
「でも、今こうしてる間にもゆっくり消えていってるんで。」

手塚
「徐々に消えてくの?!
 布被せてどかしたら消えてるとかじゃないの?!
 何それ、超見たいんだけど!!」

天野
「一瞬見てきます!
 どれくらい消えてるか気になるんで!(走ってトイレから出て行く)」

手塚
「・・・行っちゃった。
 なに、そのイリュージョン。
 イリュージョンというより、皆既日食を見る感じじゃん。」

天野
「(戻ってくる)先輩!」

手塚
「戻ってきた!」

天野
「まだ2割くらいでした!」

手塚
「いいよ、経過報告は!」

天野
「先輩の件、新人に話したら『なんとかする』って言ってました。」

手塚
「どういうこと?
 ちょっと消すスピードを遅らせるってこと?!」

天野
「あ、そうだ。忘れてた。」

手塚
「ん?」

天野
「(トイレの外に向かって)すみませーん!
 ここに一人いるんですけどー!!」

手塚
「え、何?」

天野
「いや、トイレの外でも地雷踏んじゃった人がいて・・・。」

手塚
「どうなってるの、この居酒屋!
 地雷原なの?」

天野
「で、『地雷に詳しい人知らないか』と聞かれたので、先輩を紹介しました。」

手塚
「全然詳しくないよ!
 その人よりちょっと早く踏んじゃっただけだよ!」

天野
「何か地雷に関する情報を。」

手塚
「何も知らないよ!
 自分の持ってる地雷の知識と言ったら『踏んじゃダメ』って事くらいだよ!」

天野
「(トイレの外の人に)すみません、素人でした・・・。」

手塚
「ごめんなさいね、素人で!!」

バイブ音
「ウィーン。」

天野
「(スマホを取り出し)・・・あ!!」

手塚
「何?!何か展開あった?」

天野
「スカイツリー、8割方消えました(手塚にスマホの画像を見せる)!」

手塚
「いいよ、イリュージョンの進捗は!!」

天野
「(スマホを見ながら)もうだいぶ肉眼で見るのは厳しくなってきてますね。」

手塚
「ひとつ気になったんだけど、
 そのイリュージョンはどのタイミングで驚けばいいの?」

天野
「(スマホを見て)あ!」

手塚
「なに?完全に消えたの?」

天野
「例の新人が『ついでに先輩の足元の地雷も消しておきました』って。」

手塚
「え?
 (足元を見て)・・・ホントだ、消えてる!」

天野
「よかった!解決!!(拍手)」

手塚
「確かに『なんとかする』とは言ってたけど・・・。
 ・・・ごめん。新人のその能力はなんなの?
 兵器を消し去る事ができるその能力。」

天野
「(スマホの画像を見せ)同時にスカイツリーも消えましたー!!」

手塚
「いや、あの・・・、わかんない。
 感情が迷子。」

天野
「そして今、東京中がパニックみたいです。」

手塚
「でしょうね!!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

地雷を踏んだ男という設定から書き始めたのですが、

徐々に消えるスカイツリーの設定が加わった結果、いろんな現象が渋滞するコントになりました。

 

地雷を踏んだ男という設定だけのシンプルなコントも別途書けるかもしれないですね。

 

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ここは俺に任せて先に行け
【コント】勇者の冒険
【コント】三者面談
【コント】受け渡し
【コント】新しい薬#2

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

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