あかり
「お父さん。」
父
「(新聞を読みながら)んー?」
あかり
「見て欲しいものがあるの。」
父
「(新聞をたたんで)なんだ?改まって。」
あかり
「これ(渡す)。」
父
「(受け取りながら)んー。これは?」
あかり
「骨。」
父
「うん。確かに骨だな。
何の骨?」
あかり
「腰椎っていう、馬の腰の部分にあたる骨。」
父
「腰椎・・・。
ふーん。初めて聞いた。
で、これが何?」
あかり
「お父さんが欲しがってたから。」
父
「・・・ん?」
あかり
「がんばって買ったの。
それあげるから。」
父
「いや、欲しがってないよ。
こんなの欲しいって言ったっけ?」
あかり
「言った。」
父
「いつ?」
あかり
「先週。」
父
「先週?
先週だとしたら覚えてそうなものだけど・・・。
ごめん、記憶にない。」
あかり
「言ったじゃない。
ほら、あたしが彼氏を連れてきたときに。」
父
「あー、あの男ね。
ダメだぞ、あんな男!
結婚は認めんからな!」
あかり
「そう。
そのやり取りの時に、それが欲しいって言うから・・・。」
父
「いや、そんなタイミングでこんなマニアックなものを欲しがったり・・・。
・・・ん?」
あかり
「思い出した?」
父
「・・・そのとき
『どこの馬の骨かもわからん男に娘はやらん』
って言った記憶はあるけど。」
あかり
「ほら、お父さん!
馬の骨よ!」
父
「いや、違う違う違う!
そういうことじゃないんだ!」
あかり
「見たかったでしょ?
馬の骨!」
父
「いや、見たかないよ!
・・・ってか『馬の骨』って言葉を聞いた翌週には
実際に用意できちゃう行動力すごいな!」
あかり
「ありがと!」
父
「ほめてない!」
あかり
「お父さん!
腰の骨よ!馬の腰の骨!」
父
「うん、あの、まず『どこの馬の骨』と『馬のどこの骨』がごっちゃになってる。
馬のどこの骨か聞きたかったわけじゃない。」
あかり
「どこ産の馬かってこと?」
父
「違う。
生産地聞きたかったわけでもなくて・・・。」
あかり
「テキサスよ。」
父
「あー、テキサスかー。
じゃあ結婚を認めるしかないなー・・・という展開にはならないから!
ってか、この骨テキサス産か。
どうやって手に入れたの?」
あかり
「実際に現地に飛んで生産者と直接交渉して・・・。」
父
「プロがやることじゃん。
食通を満足させるために食のプロがやることじゃん。」
あかり
「それあげるから翔太と結婚させて!」
父
「いらんし認めん!
なんの交換条件にもなってないから!」
あかり
「約束が違うじゃない!」
父
「約束なんかしてない!」
あかり
「高かったのよ、それ!」
父
「高いの?
馬の腰椎って高いの?」
あかり
「150万。」
父
「するね。すごいするね。
そんなにこの骨って需要あるの?」
あかり
「需要はないわよ。」
父
「ないんだね。」
あかり
「でも、供給もないのよ。」
父
「でしょうね。」
あかり
「それを持ってきてもダメなのなら、
あたしはどうしたらよかったの?」
父
「どうすればって・・・。」
あかり
「馬を連れてくればよかったの?」
父
「馬を連れてこられても『早く返してきなさい』としか言えないから。」
あかり
「馬車の方が良かった?」
父
「馬車の方が最悪だね。」
あかり
「あ、翔太って午年生まれなんだけど。」
父
「ごめん。馬忘れよう。
『馬の骨』の話はお前には早過ぎた。
いつ言うのがベストタイミングなのかはわからないけど。」
あかり
「何で翔太との結婚認めてくれないのよ・・・。」
父
「この前会ってみて、口調とか性格とか思考とかこう・・・わかるだろ?」
あかり
「わからないわよ!」
父
「馬が合わないんだよ!」
セリフでしか聞いたことのない言葉「どこの馬の骨」。
語源といい実用性といいツッコミどころの多い言葉です。
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