探偵(モノローグ)
「俺は私立探偵。
 どんな依頼もそつなくこなす。
 今日は依頼人と近所のカフェで待ち合わせ。
 調査の結果報告だ。」

おじいさん
「(やってくる)すみません。
 お待たせしました。」

おばあさん
「こういうところ慣れてないもので。」

探偵
「いえいえ。
 こちらこそご足労かけてすみません。」

おじいさん
「それで調査の方ですが・・・。」

おばあさん
「いかがでしたか?」

探偵
「お二人のご依頼通り、
 お二人の家を出発してからの桃太郎さんを尾行しました。」

おじいさん
「ちゃんと鬼退治に向かいましたか?」

探偵
「まず、こちらの写真です。」

おじいさん
「(写真を見る)これは・・・?!」

探偵
「桃太郎さん。
 おばあさんからもらったきび団子を犬に与えています。」

おばあさん
「せっかく桃太郎のために持たせてあげたのに!」

探偵
「(レコーダーを出す)こちら、そのときの音声です(再生する)。」

桃太郎(声)
「おー、そうかそうか。
 これが食べたいかー。」

犬(声)
「ワン!」

桃太郎(声)
「おー、よしよし。
 なになに?
 これをもらったお礼に鬼ヶ島までお供してくれるのかぁ。」

犬(声)
「ワンワン!」

桃太郎(声)
「よし、いこうかぁ。」

探偵
(レコーダーを止める)

おばあさん
「・・・何を言っているの?」

探偵
「わかりません。
 私も聞き耳を立ててましたが、犬が言葉を発しているようには聞こえませんでした。」

おばあさん
「おじいさん・・・。」

おじいさん
「あぁ・・・。」

探偵
「(写真を出しながら)犬の他にも・・・キジ・・・サルにも同じように
 きびだんごを与えて鬼ヶ島へ連れて行ってます。」

おばあさん
「おじいさん・・・。
 ちょっと怖い・・・。」

おじいさん
「なかなか強烈ですな。」

おばあさん
「そもそもきび団子は桃太郎の食糧として持たせたものです。
 桃太郎は食糧をどうしていたのでしょう。」

探偵
「(写真を見せる)こちらに・・・。」

おばあさん
「(写真を見る)おじいさん!
 叙々苑です!
 桃太郎、叙々苑に入ってます!!」

おじいさん
「あぁ、そのようだな。
 でもそんなお金どうやって・・・。」

探偵
「(写真を見せる)こちらに・・・。」

おじいさん
「(写真を見る)これは・・・。」

おばあさん
「クレジットカード・・・?」

探偵
「そうみたいですね。」

おばあさん
「あの子、いつの間にこんなもの作ったんでしょうか?」

おじいさん
「・・・ちょっと待って。
 この黒のカード・・・。」

おばあさん
「・・・もしかして!(財布の中を見る)」

おじいさん
「どうだ、ばあさん!!」

おばあさん
「ない!
 なくなってる!!」

おじいさん
「急いでカードを止めて!!」

おばあさん
「(スマホを取り出し)ちょっと失礼します!!(席を立つ)」

探偵
「えぇ。どうぞ。」

おじいさん
「・・・ありがとうございます。
 やはりあなたに頼んで正解だった。」

おばあさん
「(戻ってくる)クレカ、止めてきました。」

おじいさん
「後で被害額を確認しよう。」

おばあさん
「えぇ。」

おじいさん
「(写真を見て)そういえば、のぼりがありませんな。」

おばあさん
「のぼり?」

おじいさん
「出発前に渡しただろ。
 『日本一』って書いたのぼり。」

おばあさん
「あぁ、あなたの手書きの。」

探偵
「(写真を出しながら)のぼりでしたら、出発後、最初の角を曲がったところで片付けてます。」

おじいさん
「(写真を見ながら)早いな、しまうの!」

探偵
「(写真を出しながら)直後にメルカリに出品を。」

おじいさん
「(写真を見て)需要あるか?」

おばあさん
「ないでしょう?
 なかなか自己主張激しいのぼりですから。」

探偵
「最初は10万で出品してましたが、なかなか買い手がつかず、
 8万、6万と下げていき、最終的に280円まで落ちました。
 まだ売れてません。」

おじいさん
「なんかよくわからんが、ワシもショックだ。」

おばあさん
「まぁ、使い道もありませんし。」

探偵
「(写真を出しながら)で、これが鬼ヶ島前の桃太郎さんです。」

おじいさん
「(写真を見ながら)おぉ。
 一応、鬼ヶ島には着いたようだな。」

探偵
「ただ、この後が問題なのですが・・・(写真を出す)」

おじいさん
「(写真を見ながら)鬼ヶ島をバックに自撮りしてるな。」

探偵
(次の写真を出す)

おばあさん
「イヌ、サル、キジを船に乗せてますね。」

探偵
(次の写真を出す)

おじいさん
「自分は乗らずに船頭に鬼ヶ島に行くように指示したぞ。」

探偵
「(紙を渡す)その時の桃太郎さんのツイートです。」


『鬼ヶ島、着いたしん!これから鬼退治しんよー!』


おばあさん
「おじいさん・・・。」

おじいさん
「あぁ・・・。
 ウィンクしてる顔が余計に腹立つ。」

おばあさん
「桃太郎・・・、なかなかクロいですね。」

おじいさん
「で、今、桃太郎は?」

探偵
「私は車で尾行したので一足先に戻ってきましたが、
 桃太郎さんは徒歩なので帰宅は数日後になると思います。」

おばあさん
「おじいさん。どうします?」

おじいさん
「ばあさん。
 あいつが流れてきた時の桃はとってあるか?」

おばあさん
「はい。倉庫にあります。」

おじいさん
「帰ってきたら、奴を桃に詰めてもう一度流そう。」

おばあさん
「そうしましょう。」

探偵
「(伝票を取って)では、私はこれで。」

おじいさんおばあさん
「ありがとうございました。」

探偵(モノローグ)
「俺は私立探偵。
 どんな依頼もそつなくこなす。
 とてもハードボイルドな仕事だ。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

ミスマッチの組み合わせはこのブログでよくやる手法。

今回は探偵と何かを組み合わせようと思い、桃太郎と組み合わせました。

 

【上演メモ】

人数:3~4人

探偵

おじいさん

おばあさん

桃太郎(声)

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★☆☆☆☆
備考:桃太郎ものですが、桃太郎は舞台上に現れないので、衣装の問題はそれほど心配ないかと思います。

また桃太郎は音声のみなので、同時に舞台上に上がるのは3人です。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】お風呂
【コント】おじいさん&おばあさん
【コント】ピノキオの鼻
【コント】吾輩は猫である
【コント】金の斧、銀の斧#4

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

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