ピノキオ
「(ベッドで寝ている)スー・・・。スー・・・。」

ゼペットじいさん
(傍で人形を作っている)

ピノキオ
「(起きる)・・・ん?
 あ、ゼペットおじいさん。」

ゼペットじいさん
「お、目が覚めたかい。
 おはよう、ピノキオ。
 改造、終わったよ。」

ピノキオ
「・・・改造?何でしたっけ?」

ゼペットじいさん
「忘れたのかい。
 『嘘をつくたびに鼻が伸びるのはイヤだ』って懇願してきたから、
 嘘をついても鼻が伸びないようにお前を改造したんだよ。」

ピノキオ
「本当ですか?!
 ありがとうございます!」

ゼペットじいさん
「大変だったんじゃぞ、全身麻酔用意するの。(全身麻酔のボンベを指差す)」

ピノキオ
「あぁ、もう改造っていうか、手術だ・・・。」

ゼペットじいさん
「もうこれで嘘をついても鼻が伸びないハズじゃ。」

ピノキオ
「よし、やってみよう。
 僕、英語、ロシア語、フランス語が堪能です!」


(ピノキオの右腕が伸び、床を突き破る)


ピノキオ
「っ!!
 ゼペットおじいさん、これは?!」

ゼペットじいさん
「あぁ、悪い。
 鼻は付け替えたんじゃが、改造中に何本か素材が折れてしまってな。
 材料が足りなくなったから、右腕の部分に元々鼻で使ってた素材を使ったんじゃ。」

ピノキオ
「(右腕が床に突き刺さった状態で)いや、それじゃ意味ないじゃん!
 そりゃ、右腕伸びますよ。
 (右腕を引っ張る)ふんっ!抜けないっ!
 何これ?!突き刺さってるの?!」

ゼペットじいさん
「正しいことを言えば長さは元に戻るよ。」

ピノキオ
「僕、英語もロシア語もフランス語も一言も話せません!」


(ピノキオの右腕が元に戻る)


ピノキオ
「ふぅ。
 結局変わってないじゃないですか!戻してください!」

ゼペットじいさん
「え、また鼻が伸びるようにするの?」

ピノキオ
「あぁ、違う。
 戻したらそういうことになっちゃうのか・・・。
 伸びる素材を使わないようにしてください!」

ゼペットじいさん
「そうなると、素材が足りなくなるから、人間の形じゃなくなるよ?」

ピノキオ
「いや、友達ビックリするから。
 ちなみに何の形なら作れるんですか?」

ゼペットじいさん
「『かかし』とか?」

ピノキオ
「動けないじゃないですか。」

ゼペットじいさん
「あ、じゃあ地面に突き刺さってる棒の部分だけ例の素材を使おう。
 嘘をつくと視線が高くなる。」

ピノキオ
「まぁ、鳥は寄り付かなくなると思いますけど・・・。」

ノック音
「ドンドンドンドン!!」

ピノキオ
「ん?誰でしょう。」

ゼペットじいさん
「なんじゃ?こんな時間に・・・(扉を開ける)。」

強盗
「(部屋に飛び込んできて、ゼペットに刃物を突きつける)おい、ジジイ、金出せ!」

ゼペットじいさん
「わっ!」

ピノキオ
「強盗?!」

強盗
「いいから金出せ!早く!(刃物を突きつける)」

ピノキオ
「おい!おじいさんから離れるんだ!」

強盗
「近づくんじゃねぇ!
 このジジイがどうなってもいいのか?!」

ピノキオ
「うぅ・・・。」

ゼペットじいさん
「ピノキオ・・・。
 こいつに右の拳を向けておもいっきりウソをつくんじゃ・・・。」

ピノキオ
「え・・・。」

ゼペットじいさん
「・・・早く!」

ピノキオ
「っ!そうか!
 (強盗に右腕を向けて)僕、生まれてこの方、わさびしか口にしたことありません!」


(ピノキオの腕がものすごい勢いで伸びて強盗を吹っ飛ばす)


強盗
「ぐはぁ!(倒れる)」

ピノキオ
「やった!」

ゼペットじいさん
「本当のことを言えば腕は元に戻るぞ。」

ピノキオ
「すみません。
 昨日はウーバーイーツでマック頼みました。」


(ピノキオの腕が元に戻る)


ピノキオ
「(自分の右腕を見て)図らずしもすごい武器が手に入った・・・。」

ゼペットじいさん
「でかしたぞ、ピノキオ。
 (気を失っている強盗を見て)よし、警察に連絡じゃ。」

ピノキオ
「はい!」
 


(数日後)



署長
「それでは、感謝状をピノキオくんとゼペットさんに渡したいと思います。
 まずはピノキオくん、前へ。」

ピノキオ
「はい。」

署長
「(感謝状を読み上げる)感謝状。ピノキオ殿。
 あなたは当警察署管内でマークしていた強盗犯の逮捕に多大なる貢献をしていただきました。
 その尽力に感謝し、これを贈呈いたします。
 はい、どうぞ(感謝状を渡す)。」

ピノキオ
「(感謝状を受け取る)ありがとうございます。
 とても嬉しいです。」


(ピノキオの右腕がものすごい勢いで伸び、署長を吹っ飛ばす)


署長
「ぐはぁ!(倒れる)」

ピノキオ
「だ、大丈夫ですか?!」

ゼペットじいさん
「ピノキオ、本当のことを言えば、腕は元に戻るぞ。」

ピノキオ
「すみません。
 感謝状よりお金が欲しいです。」


(ピノキオの腕が元に戻る)


ピノキオ
「(署長に駆け寄り)大丈夫ですか?!」

署長
「すごい威力だ。
 そりゃ刃物を持った強盗も撃退できるわけだ。」

ピノキオ
「でも、たまに暴発するんです。」

署長
「うん。今見た。
 あと、報奨金もあるから安心しなさい。」

ピノキオ
「すみません。
 催促したみたいで。」

署長
「催促よりタチが悪いけどね。
 はい、報奨金だ(目録を渡す)。」

ピノキオ
「5万円も!
 こんなにいただいてありがとうございます!」


(ピノキオの右腕がものすごい勢いで伸び、署長を吹っ飛ばす)


署長
「ぐはぁ!(倒れる)」

ピノキオ
「署長!すみません!またしても!」

ゼペットじいさん
「ピノキオ!
 本当のことを言いなさい。」

ピノキオ
「すみません。
 あと一桁欲しいです。」


(ピノキオの腕が元に戻る)


ピノキオ
「(署長に駆け寄り)大丈夫ですか?」

署長
「大丈夫じゃない。
 いいパンチ2発ももらった。」

ピノキオ
「たまに暴発するんです。」

署長
「うん知ってる。
 その暴発を全部受け止めてるから。もうしゃべらないで。」

ピノキオ
「わかりました。
 もう今日はしゃべりません。」


(ピノキオの右腕がものすごい勢いで伸び、署長を吹っ飛ばす)


署長
「ぐはぁ!(倒れる)」

ゼペットじいさん
「ピノキオ!」

ピノキオ
「すみません。
 おしゃべり大好きです。」


(ピノキオの腕が元に戻る)


ピノキオ
「ゼペットおじいさん。
 僕、感謝どころか逮捕されるかもしれません。」

ゼペットじいさん
「ピノキオ、振り向かない方がいいぞ。
 背後で署長が獣のような眼をしてるから。」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

ピノキオコントの好きなところは鼻がのびるウソを考えることだったりします。

今回もヘンテコなウソがたくさんつけました。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】ここは俺に任せて先に行け
【コント】今日はクリスマス#2
【コント】午前0時のシンデレラ
【コント】白雪姫と王子さま
【コント】マラソン大会

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

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・今回のコント、実演(アニメ化)するならキャストは誰

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