冴島
「(走ってくる)ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・。
 やっとゴール・・・。
 なんだよ、元木のヤツ!
 『一緒に走ろう』とか言って早々にいなくなりやがって!
 アイツどこいった?」

先生
「(やってくる)おぉ、冴島。お疲れ。」

冴島
「あ、先生。
 元木ってもうゴールしてます?」

先生
「ん?見てないが?」

冴島
「なんだよ、アイツ!
 どこ行きやがった!」

先生
「元木がどうかしたか?」

冴島
「いや、アイツ、
 走る前に『一緒に走ろう』とか言ってたくせに、
 いざ走り出したらいつの間にかいなくなってて・・・。」

先生
「(血相を変えて)おい!それ本当か!!」

冴島
「え、え、え。何ですか?
 ・・・本当ですけど。」

先生
「くそぉ!今年もか!
 校長先生に報告しないと!(走っていく)」

冴島
「何ですか何ですか?!先生!!
 ・・・行っちゃった。」
 

 


15分後


 


(一箇所に集合させられている生徒たち)


先生
「はい、静かに。
 マラソン大会の最中に集まってもらいましたが、
 今から校長先生から大切な話があります。
 静かに聞くように。」

冴島
「なんかおおごとになってきたんだけど・・・。」

校長
「えー、お疲れ様です。
 先ほど、マラソン大会・1年生男子の部がありましたが、
 その最中、5組の元木駿くんの行方が分からなくなりました。」

冴島
「え、行方不明?」

校長
「そう、『神隠し』です。」

冴島
「神隠し?」

校長
「毎年、本校のマラソン大会では、
 『一緒に走ろう』と言い残した生徒がマラソン中に姿を消す神隠しが起きています。
 残念ながら今年も犠牲者が出てしまいました。」

冴島
「毎年起きてるの?
 神隠しが?」

校長
「数mおきに監視員を配置し、
 万全の体制だったにもかかわらず神隠しが起きてしまったこと、
 大変不徳の致すところです。」

冴島
「何がおかしいって、神隠しはもう確定で話が進んでることなんだけど。」

校長
「これ以上犠牲者は出しません!
 マラソン大会・1年生女子の部は10分後にスタートです!」

冴島
「やんの!?
 神隠しとかいう得体の知れない事件が起きてるのに!
 しかも毎年起きてんだよ!?」

 

 

 


30分後


 


(生徒たちが集められている)


校長
「マラソン大会・1年生女子の部が先ほど行われました。」

冴島
「・・・。」

校長
「残念ながら、3名の神隠しが起きてしまいました。」

冴島
「ほら、言わんこっちゃない!」

校長
「みなさん、神隠しは他人事ではありません!
 『自分の身にも神隠しは起きるんだ』ということを自覚してマラソン大会に臨んでください!」

冴島
「ホント何言ってるの、この人?」

校長
「それでは、マラソン大会・2年生男子の部に移ります。」

冴島
「それでもやんの?!
 合計4人消えてんだよ?マラソン大会中に!」

 

 

 


30分後


 


(生徒たちが集められている)


校長
「マラソン大会・2年生男子の部の神隠しについてお伝えします。」

冴島
「もう神隠しは日常の出来事として認知されたってことでいいですか?」

校長
「犠牲者は10人!」

冴島
「2桁いっちゃった!」

校長
「あと教師1名!」

冴島
「なんで先生も消えちゃったの?!」

校長
「いいですか?
 くれぐれもマラソン大会前に『一緒に走ろう』という口約束はしないように!
 一人一人の努力が神隠し抑止につながります!」

冴島
「何なの?この呼びかけ。」

校長
「続いてマラソン大会・2年生女子の部です!」

冴島
「なんで強行するの?!
 これはもう中止して上に上げるべき案件でしょ?!」

 

 

 


30分後


 


(生徒たちが集められている)


校長
「マラソン大会・2年生女子の部が終わりましたが、みなさん喜んでください。」

冴島
「なんだ?」

校長
「被害を2人にまで食い止めることができました!(拍手)」

冴島
「拍手じゃない!拍手じゃないって!
 2人消えてんだから!!」

校長
「この調子で3年生男子の部、女子の部と続けていきましょう!」

冴島
「この調子で行ったらあと4人は消える見込みだぞ!!」

 

 

 


30分後


 


(生徒たちが集められている)


校長
「マラソン大会・3年生男子の部が終わりました・・・。」

冴島
「なんか沈んでるけど・・・?」

校長
「3年生男子、誰一人として帰ってきませんでした・・・。」

冴島
「とうとう全員消えちゃった!!」

校長
「なんとか3年生女子の部で挽回したいと考えてます!」

冴島
「挽回って何?
 3年生女子の部の最中に、男子がひょっこり帰ってくることを期待してる?」

 

 

 


30分後


 


(生徒たちが集められている)


校長
「マラソン大会・女子の部終了しました。」

冴島
「・・・結果は?」

校長
「女子も帰ってきませんでした・・・。」

冴島
「3年生全滅?!」

校長
「残念ながら、今年度の卒業式は中止です!」

冴島
「そりゃそうだ。
 卒業生が根こそぎ消えてんだから。」

校長
「気持ちを切り替えて、来年は神隠しゼロを目指します!!」

冴島
「切り替えるな!振り返れ!!」

校長
「最後に一言。」

冴島
「何だよ。」


校長
「来年は、今年神隠しでいなくなってしまったみんなの分まで一緒に走りましょう!」

冴島
「えっ・・・?」


(暗転)


(明転)


(校長、いなくなっている)

 

 

冴島
「校長ーーーーーーーっっっ!!

 『一緒に走ろう』なんて言うからーーーーーーっっっ!!」

 

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

『マラソン大会で「一緒に走ろう」と言った仲間は大体途中でいなくなる』というあるあるから広げたコント。

小さい頃、マラソン大会は嫌いなイベントだったなぁ・・・。

 

コント公開後に弟からアイディアをもらい、ラストを差し替えました。

 

 

【上演メモ】

人数:3人

冴島

校長

先生

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:ラストの校長先生がいなくなるところは暗転、明転の時間が短いほど驚いてもらえると思うので、要練習です。

校長先生がいなくなったことがよりわかるように、マイクスタンドを用意しておき、マイクスタンドを残していなくなる演出にするといいと思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】最後の13日の金曜日
【コント】留守番電話
【コント】お岩さん
【コント】トリック・オア・トリート!
【コント】白雪姫と七人の小人

 

 

 

【お題募集中】

お題コントのお題を募集しています。

採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。

・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。

・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。

・公開までにアメブロを退会された場合、公開を見送る場合があります。

 

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