織田信長の妹・お市の方は考えていた。

兄・織田信長は朝倉義景を討伐すべく、
お市の方の夫・浅井長政と共に近江に進軍していた。

しかし、同盟を結んだはずの浅井長政が信長を裏切ろうとしていたのだ。

夫である浅井長政と兄である信長には戦って欲しくない。
しかし、自分にはどうにもできない。

一計を案じたお市の方は信長にメッセージを送るのだった。
 



お市の方
「兄さま。
 わたしが送ったあずき袋、両端を結びました。
 一方は朝倉軍、もう一方は浅井軍。
 あなたは袋の中のあずき。
 挟み撃ちにされようとしているのです。
 どうかお市のメッセージを受け取ってください。」

バイブ音
「ウィーンウィーンウィーン。」

お市の方
「(スマホを見る)兄さまからだ。
 もしもし。」

信長
「あ、お市?お疲れ。」

お市の方
「お疲れ様です。
 贈り物届きましたか?」

信長
「届いた届いた。
 ありがとね。」

お市の方
「意図は伝わりましたか?」

信長
「うん。今夜食べる。」

お市の方
「・・・食べる。
 ・・・えーと、意図は伝わりましたか?」

信長
「うん。だから今夜食べる。」

お市の方
「あ、あの、えーと。
 兄さまが置かれている状況を察していただけましたか?」

信長
「うん。」

お市の方
「察していただけましたか!」

信長
「うん。
 お腹すいてたから食べるよ。」

お市の方
「あー・・・。
 これはアレですね。」

信長
「?」

お市の方
「・・・伝わってないですね。」

信長
「何が伝わってないの?」

お市の方
「お市のメッセージです。」

信長
「あ、袋に何か書いてた?」

お市の方
「あ、いや、何も書いてないです。
 しばり方です。」

信長
「しばり方?」

お市の方
「変わったしばり方をしてましたよね?」

信長
「あ、ごめん。
 届くなり『うっほほーい!』って叫んで速攻で開けちゃったから、しばり方見てない。」

お市の方
「あー・・・、届くなり『うっほほーい!』って叫んで速攻で開けちゃったから、しばり方見てないんですか・・・。」

信長
「ごめん。
 今度はちゃんと見るからもう一度送って。」

お市の方
「・・・そんなに時間ないのでちゃんとメッセージを受け取ってくださいね。」

信長
「ごめんごめん。」


(2日後)


バイブ音
「ウィーンウィーンウィーン。」

お市の方
「はい、お市です。」

信長
「信長だけど。」

お市の方
「届きました?」

信長
「届いた。」

お市の方
「どうでした?」

信長
「ごめん。
 この前のことすっかり忘れてて、届くなり『うっほほーい』って叫んで速攻で開けちゃった・・・。」

お市の方
「兄さま。」

信長
「何?」

お市の方
「がっかりです。」

信長
「がっかりされた・・・。」

お市の方
「なんで速攻で開けちゃうんですか!」

信長
「ごめんごめん。」

お市の方
「ちゃんとしばり方見てください。」

信長
「ごめんて。
 もう一回送って。」

お市の方
「シロヤギさんクロヤギさんの歌じゃないんで、
 このやりとりはもう最後にしてくださいね。」

信長
「わかったわかった。」


(2日後)


バイブ音
「ウィーンウィーンウィーン。」

信長
「はい、信長。」

お市の方
「お市です。」

信長
「あぁ、どうした?」

お市の方
「そろそろあずきが届くんじゃないかと思って先に電話しました。」

信長
「あ、そうか。
 危ない危ない。また忘れるところだった。」

お市の方
「ほら、危ないところでした。」

飛脚
「飛脚便でーす。」

信長
「お、きた。」

お市の方
「時間ぴったり。
 間に合いましたね。
 では、そのあずき袋のしばり方を・・・。」

信長
「うっほほーい!!」

お市の方
「兄さま!?」

信長
「ムシャムシャムシャ!!
 ムシャムシャムシャ!!」

お市の方
「兄さま!!食べないで!!
 がっつかないで!!」

信長
「ぷはぁ・・・!!
 ごちそうさまでした。」

お市の方
「・・・兄さま。」

信長
「何?」

お市の方
「・・・あなた、何なんですか?」

信長
「妹に『何なんですか?』って言われた。」

お市の方
「あずき袋は原型留めてます?」

信長
「ううん。ビリビリ。」

お市の方
「なんだろ、あずきだからダメなんでしょうか?」

信長
「あぁ、そうかもしれない。
 信長、あずきの匂い嗅ぐと『うっほほーい』ってなるから。」

お市の方
「兄さま、悪意のある催眠でもかけられてます?」

信長
「あずきじゃなかったら大丈夫だと思う。」

お市の方
「では、別のものを送ります。
 ・・・嫌いなものの方がいいのかな。
 兄さま、嫌いなものなんですか?」

信長
「明智光秀。」

お市の方
「あ、食べ物でお願いします。」

信長
「んー、ミートソースかな。」

お市の方
「意外ですね。」

信長
「食べる時、ヒゲにつくんだよね。」

お市の方
「なるほど。
 では、ミートソース送ります。」

信長
「おねがいね。」


(2日後)


バイブ音
「ウィーンウィーンウィーン。」

信長
「はい、信長!!」

お市の方
「お市です。
 ミートソース届きました?」

信長
「ごめん!!
 今、朝倉と浅井に追われてるから、それどころじゃない!!」

お市の方
「間に合わなかったーー!!」

 

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

多分、このブログの中で一番ネタにされている武将、織田信長。

いろいろエピソードがあるから使いやすいんですよね。

今回は妹とのお話です。

 

アイディア出しでは別の展開も考えていたので、もしかしたら#2も作るかもしれません。

 

【上演メモ】

人数:2人~3人

お市の方

信長

飛脚(省略可)

 

所要時間:4分~5分
上演難易度:★★☆☆☆
備考:飛脚は声だけなので演出次第で省略可能です。

2人のやり取りは電話だけなので、お市の方だけ舞台上に挙げる陣内智則さん形式のコントもいけると思います。

 

【過去コントを5本チョイスしました。こちらもどうぞ。】

【コント】こうさくしようよ
【コント】ドッキリ
【コント】お風呂
【コント】白雪姫と七人の小人
【コント】テレビショッピング#2

 

 

 

【コメント募集中】

今後のコント作りの励みになるので、ぜひ、感想をお聞かせください。

 

【実演したい方へ】

本ブログのコントは自由に演じていただいて構いません。

アレンジや改変も自由です。

アメブロのメッセージ機能やtwitterのDMで一言いただけると、励みになります。