ディオニス王に捕まったメロスは
処刑を３日延長してもらい妹の結婚式に向かっていた。
親友のセリヌンティウスを人質にして・・・。
そして、運命の３日目の日没を迎えようとしていた・・・。
ディオニス王
「セリヌンティウスよ。
どうやら、メロスは来ないようだな。」
セリヌンティウス
「メロスは絶対来る！絶対にだ！」
ディオニス王
「人は絶対に裏切る。
人など信じていてもロクなことがないと、これでわかっただろう。」
セリヌンティウス
「メロスは約束を守る男だ！もうすぐ来る！」
ディオニス王
「そこまで言うなら・・・、
（スマホを渡す）これでメロスと連絡をとるがいい。」
セリヌンティウス
（ディオニスからスマホを奪い、電話をかける）
呼び出し音
「トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ。」
メロス
「もしもし。」
セリヌンティウス
「あ、メロスか？」
メロス
「おぉ、セリヌンティウス。」
セリヌンティウス
「今どの辺りだ？」
メロス
「今、三次会の『庄や』。」
セリヌンティウス
「・・・庄や？
・・・三次会？」
メロス
「妹の結婚式から、二次会行こうぜって流れになって、
そのまま盛り上がって今三次会。」
セリヌンティウス
「盛り上がってるの？」
メロス
「盛り上がってる盛り上がってる。
あ、来る？」
セリヌンティウス
「行けない。」
メロス
「あ、そう。
それじゃあね！」
セリヌンティウス
「あ、ちょっとメロス！」
電話を切る音
「ガチャ。ツーツーツー。」
セリヌンティウス
「・・・（スマホを置く）。」
ディオニス王
「どうやらメロスは来ないようだな。」
セリヌンティウス
「メロスは間に合う！絶対にだ！」
ディオニス王
「いや、間に合わないでしょ。
今、三次会って言ってたよね？」
セリヌンティウス
「メロスは約束を守る男だ！」
ディオニス王
「なんて健気。
メロスに見せてあげたい。
でも来ないでしょ、メロス。」
セリヌンティウス
「メロスは絶対に来る！
待ってろ！（スマホで電話をかける）」
呼び出し音
「トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ。」
メロス
「もしもし。」
セリヌンティウス
「メロスか？」
メロス
「おぉ、セリヌンティウス。」
セリヌンティウス
「こっちに着くまであとどれくらいかかる？」
メロス
「まだ、全然かかるね。」
セリヌンティウス
「全然かかる？」
メロス
「今『次どこ行こうか？』って話をしてて、
この辺りの居酒屋を探してるとこ。」
セリヌンティウス
「こっちに着くの、いつくらいになりそう？」
メロス
「今日は夜通し飲む流れになりそうだから、３日はかかるかな？」
セリヌンティウス
「そんなにかかる？」
メロス
「最悪タクシー飛ばす。」
セリヌンティウス
「いや、走れメロス。」
メロス
「あ、四次会の場所が決まったっぽい。
土間土間だって。」
セリヌンティウス
「あ、そう。」
メロス
「来る？」
セリヌンティウス
「行けない。」
メロス
「じゃあな！」
セリヌンティウス
「あ、メロス・・・！」
電話を切る音
「ガチャ。ツーツーツー。」
ディオニス王
「・・・来ないな。」
セリヌンティウス
「メロスは来る！」
ディオニス王
「そのメロスへの絶対的な信頼なんなの？
さっき『そんなにかかる？』って言ってたし。」
セリヌンティウス
「メロスは絶対に来る！
だから、あと３日延ばせ！」
ディオニス王
「時間延長の交渉始めたし。
何この鋼の神経。」
セリヌンティウス
「３日だ！３日でメロスは来る！」
ディオニス王
「３日で来るかな。
３日で来れば御の字だと思うよ。」
セリヌンティウス
「では、３日延長ということで！」
ディオニス王
「あ、もう交渉成立したことになってる？」
セリヌンティウス
「（空を仰いで）メロス・・・！待ってるぞ！」
ディオニス王
「熱い男だな。気の毒になってきた・・・。」
（３日後）
ディオニス王
「セリヌンティウスよ。
３日待ってやったがメロスは来ないようだな。」
セリヌンティウス
「メロスは絶対に来る！絶対にだ！」
ディオニス王
「いや、来ないと思うよ。
メロスのことそんなに知らないけど、
なんとなく人となりがわかった気がするもん。」
セリヌンティウス
「メロスは約束を守る男だ！」
ディオニス王
「いや、既に３日延長してるからね。
それでも来ないんだからね。」
セリヌンティウス
「今、どの辺りか聞くから（スマホで電話をかける）。」
ディオニス王
「来ないと思うなぁ。」
呼び出し音
「トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ。」
メロス
「はい。」
セリヌンティウス
「メロスか？今どの辺りだ。」
メロス
「駅前のさくら水産。」
セリヌンティウス
「今日も飲んでるのか。」
メロス
「久々に同級生に会うから話が尽きなくて。
『アイツも呼ぼうぜ。アイツも呼ぼうぜ。』みたいな話になって。」
セリヌンティウス
「そうなんだ・・・。」
メロス
「来る？」
セリヌンティウス
「行けない。」
メロス
「セリヌンティウスの知ってるヤツもいっぱい来てるぞ。
エカテリーナって覚えてる？」
セリヌンティウス
「三組の？」
メロス
「うん。めっちゃ可愛くなってる。」
セリヌンティウス
「マジで？うわ、めっちゃ会いたい。」
メロス
「あとで写メ撮って送る。」
セリヌンティウス
「お願い。
ちなみにこっちに来るの、どれくらいになりそう？」
メロス
「まだ全然かかるね。５日くらい？」
セリヌンティウス
「そんなにかかる？」
メロス
「もう全然。なんならみんなで行こうか？」
セリヌンティウス
「あ、できれば一人で来て。」
メロス
「了解了解。
あ、いも焼酎こっちでーす！
ごめん。いも焼酎来たから切るね。」
セリヌンティウス
「あ、ちょっとメロス！」
電話を切る音
「ガチャ。ツーツーツー。」
ディオニス王
「・・・来ないな。」
セリヌンティウス
「メロスは来る！いも焼酎は来た！」
ディオニス王
「いも焼酎？」
セリヌンティウス
「メロスは絶対に来る！だから、あと５日延ばせ！」
ディオニス王
「さらに？！
もう６日待ってるんだよ？
なんなら、最初の約束は３日だったからね。」
セリヌンティウス
「５日もあればさすがに来る！」
ディオニス王
「来るかなぁ。５日で来れば万々歳だよ。」
（さらに５日後）
ディオニス王
「セリヌンティウスよ。
メロスは来ないようだな。」
セリヌンティウス
「メロスは絶対に来る！絶対にだ！」
ディオニス王
「そのテンション１１日キープできてるの凄いよ。
人を疑うことを知らないんだね。
サギとかドッキリに気をつけてね。」
セリヌンティウス
「もうこの手前あたりにいるはずだから（電話をかける）。」
呼び出し音
「トゥルルルルル・・・トゥルルルルル・・・ガチャ。」
メロス
「あい。」
セリヌンティウス
「メロスか？」
メロス
「セリヌンティウスさんれすか？」
セリヌンティウス
「今どこだ？」
メロス
「みんなで向かってますよ。ねぇ、みんな！」
飲み仲間たち
「いえーーーー！！」
セリヌンティウス
「酔ってる？」
メロス
「そんなに。」
セリヌンティウス
「酔ってんだね。」
メロス
「あ！」
セリヌンティウス
「なに？」
水音
「ザッパーン！」
飲み仲間１
「うはははは！メロスが川に落ちた！」
飲み仲間２
「マジでウケる！」
飲み仲間３
「ウケス！メロス、ウケス！」
電話を切る音
「ガチャ。ツーツーツー。」
ディオニス王
「・・・来ないな。」
セリヌンティウス
「・・・ちょっとメロスのところ行ってきていいですか？」
ディオニス王
「はぁ？」
セリヌンティウス
「さすがに心配になってきたんで、様子を見てきます。（手かせと足かせを外す）」
ディオニス王
「ここはどうするの？」
セリヌンティウス
「代わりに人質になっててください。（靴紐を結び直す）」
ディオニス王
「え、ちょっと！？」
セリヌンティウス
「行ってきます！！（走っていく）」
ディオニス王
「えー・・・。
（手かせと足かせをつける）早く来いよ、二人とも・・・。」
結婚式といえば、当然飲み会があるだろうということで、
飲み会にはしごしたまま帰ってこないメロスというアイディアを思いつき、そこから広げたコントです。
主人公のメロスは姿を見せないまま展開していく、僕のコントにはよくあるスタイルのコントになりました。
人数：３～６人
メロス
セリヌンティウス
ディオニス王
飲み仲間１
飲み仲間２
飲み仲間３
所要時間：５分～７分
上演難易度：★★☆☆☆
備考：一番苦労するところは衣装だと思います。それ以外、特に実現が難しい演出はありません。
飲み仲間たちは電話口から声のみの役なので、自由に追加したり削除することが可能です。
出演可能な人数によって調整してください。
【コント】居酒屋
【コント】記者会見
【コント】ＵＦＯ
【コント】ダイエット
【コント】喫茶店
お題コントのお題を募集しています。
採用の際には、ささやかながら、当ブログから採用者様のブログへのリンクを張らせていただきます。
・内容によっては、ご期待に沿えないこともございます。
・お題をいただいてから、公開までに数か月かかることがあります。
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