(記者会見場。
 そこに作業着を着た男たちが入ってくる。)

局長
「この度は、皆さまにご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。(頭を下げる)」

課長
「申し訳ございません。(頭を下げる)」

記者たち
(写真を撮る)

局長課長
(席に着く)

局長
「えー、局長の日高です。
 みなさん、ご存知の通り、
 現在、我々が原因で、街は大変な状況になっています。
 それでは、今回の騒動の原因について、
 広報課課長の三笠から説明させていただきます。」

課長
「三笠でございます。
 それでは、今回の騒動の原因をまとめましたので、説明いたします。」

記者たち
(メモを取り始める)

課長
「(紙を見ながら)2日前、本水道局の職員が彼女に告白することを決意。
 彼女とレストランに行く約束を取り付けました。」

記者たち
(メモを取る)

課長
「しかし、告白が成功するか自信がなかったため、
 翌日、家から惚れ薬を小ビンに入れて持参しました。」

記者たち
(メモを取る)

課長
「惚れ薬を持ってきたものの、『これではダメだ』と思い直し、
 惚れ薬を机に置いたまま、帰宅しました。」

記者たち
(メモを取る)

課長
「職員が帰宅後、
 別の職員が机の上の小ビンを浄水に使う薬と勘違いして持ち出しました。」

記者たち
(メモを取る)

課長
「翌日、告白に成功し、浮き足立つ職員が、
 机の上に置いておいた惚れ薬がないことに気付き、
 別の職員に確認、事態が発覚しました。」

記者たち
(メモを取る)

課長
「事態発覚後、急いで惚れ薬の行方を確認しましたが、
 すでに浄水路に投入された後だったとのことです。
 以上です。」

局長
「改めまして、我々の水道局が管轄する水道水に惚れ薬が混入された件について、お詫び申し上げます。
 申し訳ございません。(立ち上がり、頭を下げる)」

課長
「申し訳ございません。(頭を下げる)」

記者たち
(写真を撮る)

課長
「みなさんご存知の通り、
 現在、街では男女入り乱れて、至るところで告白合戦が行われています。」

局長
「我々の水道局が管轄する地域のみなさんは
 指示があるまで、くれぐれも水道水を飲まないようにお願いします。」

課長
「何か質問のある方はいらっしゃいますか?」

記者1
「混入された惚れ薬はどれくらいの効果があるんですか?」

課長
「小ビンと言いましたが、結構強力で、
 ひと瓶で500人ほどの人間を惚れさせる力があります。」

記者2
「今、市長と副市長がおでこをぶつけあったまま、
 『好き』と言い合う動画がネットにアップされていますが、
 これも惚れ薬の効果でしょうか?」

課長
「現在、因果関係を調査中です。」

局長
「ただ、惚れ薬が原因であってほしいです。」

記者3
「再び水が飲めるようになるのはいつになりますでしょうか?」

課長
「先ほど、一旦水を蒸発させ、一気に冷却し、
 再び水に戻すことで惚れ薬の効果が消えないか実験しました。」

局長
「現在、その実験で生成した水を飲んだ職員2名は、
 水道局の屋上でおでこをぶつけあったまま、『好き』と言い合っています。」

課長
「こちらは薬の効果が切れたら実験を再開する予定です。」

記者4
「先ほど、市長と副市長が水族館で腕を組んで、
 ペンギンの水槽を見ている姿が目撃されたそうですが、
 これも惚れ薬の効果でしょうか?」

課長
「先ほども申し上げましたが、現在、因果関係を調査中です。」

局長
「ただ、惚れ薬が原因であってほしいです。」

記者5
「その水族館のペンギンですが、
 一部のペンギンがおでこをぶつけあって、
 『キーキー』と鳴いているそうです。
 これも惚れ薬の効果でしょうか?」

課長
「鳥類に効果があるかは現時点ではわかっていません。」

局長
「確認いたします。」

記者6
「ついさっき、市長が水族館の館長の手を握り、
 『好き』『私も』と言っている姿が目撃されたそうですが、
 これも惚れ薬の効果でしょうか?」

課長
「確認いたします。」

局長
「ただ、惚れ薬の効果であってほしいです。」

記者7
「フジテレビ『とくダネ!』です。
 本日の放送で小倉さんが菊川怜さんを見つめすぎという声がありましたが、
 これも惚れ薬の効果でしょうか?」

課長
「多分、違うと思います。」

局長
「一応、確認しますが、違うと思います。」

記者8
「たった今、市長と副市長がおでこをぶつけあったまま、
 『でも、好き』と言い合う姿が目撃されたそうです。」

課長
「確認いたします。」

局長
「先ほどから逐一、市長と副市長の状況が伝えられていますが、
 現在、調査中ですので、少々お待ちください。」


(水道局職員が紙を持ってくる)


課長
「(紙を見て)えー、今、報告がありました。
 市長と副市長ですが、どちらも水道水を飲んでいないとのことです。」

記者たち
「そっちの方がニュースだーーっ!!(走って会見場を出ていく)」


(局長と課長だけ取り残される。)


課長
「・・・。」

局長
「・・・。」

課長
「・・・やっぱり、マスコミはそういうニュースの方が好きなんだなぁ。」

 

局長

「・・・。」

 

課長

「(電話をかける)あ、もしもし。惚れ薬の効果を消す方法、どうなってる?」

 

局長

「・・・。」

 

課長

「(電話中)まだ、かかりそう。了解です。

 早めに対処してね。」

 

局長

「・・・。」

 

課長

「(電話中)うん、早めに。

 ・・・あの、

 ・・・局長がずっとこっち見てるから。(局長の方を見る)」

 

局長

(課長に手を振る)

 

 

 

 

【コント・セルフ・ライナーノーツ】

ハリーポッターか何かで「惚れ薬」というワードを見て、何かに使えないかと考えたコントです。

 

それにしてもなんだろう、このオチ。

でも、惚れ薬のコントである以上、こうなりますよね・・・。

 

【上演メモ】

人数:2人以上

局長

課長

記者たち

 

所要時間:3分~4分
難易度:★☆☆☆☆
備考:記者たちの声や写真のフラッシュを音声や照明で対処すれば、舞台上は局長と課長の2人だけで進められます。

 

【お知らせ】

以前書いたコント「動物」が実際に演じられることになりました。

 

8月30日(水)池袋ゲキバで行われる朗読会「YOMINOMI vol.12」内で演じられるとのことです。

 

平日ですけど、ぜひお時間のある方は。

 


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(もふもふって名前ですが、僕です。

コントのこともつぶやきますが、コント以外のこともゆるくつぶやいています。)
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