凍える夜が明ける、時間帯という意味で、
おしまいのセンチメンタリズムはうつくしいけれど
そんなものはいらないと思った
仮にそういうものを詩的と呼ぶならば
わたしに詩はいらないと思った
それは単に祈りでしょう、と嘲笑されても
私のことばははじまりを信じている。
はじまりを、見据えている。
そんなものはいらないと思った
仮にそういうものを詩的と呼ぶならば
わたしに詩はいらないと思った
それは単に祈りでしょう、と嘲笑されても
私のことばははじまりを信じている。
はじまりを、見据えている。
思い出すこと。
久しぶりに電車に乗った
渋谷はとても、歩きにくい
川上未映子の「発光地帯」を読んでいた
バーゲンはほとんど終わっていた
暗くなったり明るくなったり
地上のライブハウスはとても、騒がしい
騒がしさに笑い
身体が揺れたりして
むかしの自分のことばを、思い出したりしていた
まっくらな中から呼びかけられるような
声に
わたしがとても泣いたことなど、思い出した
それはもはやわたしなんかではなくて
それはもはやただのことばで 声で
誰かの今、とても泣いたことなどに共鳴するのならば
それはとても素敵なことだとおもった
とてもうっとりすることだとおもった
それと同時に
わたしの身体とは、とても遠いことなのだ、とおもった
久しぶりの電車の帰り道
「へルタースケルター」が沢尻エリカ主演で実写化するという話を聞いた
あのキリキリとした行き止まり感
最後のシーンの、リリコの眼帯なんかを思い出し
この物語は永久に誰にも語られないでいて欲しい
誰も口には出さず
何のカテゴリーも与えられず
しかしずっと、ひとのこころを痛ませるような、
ひとりになってまた、「発光地帯」をいくつか読んだ
食べ物の描写の魅力のなさに笑う
生きることを、愉しむ
そんなひとではないのだろうと昔思ったことがある
散り散りになった詩のかたまりたち
高田馬場の喧騒
笑顔とか酔いとか思惑とか
すきとかきらいとかキスとか
そんなものを通り過ぎて通り過ぎて
何本かのビールとシードルと焼き鳥串を買って帰宅した
家の前で
ショベルカーが道路を掘っていた
夜の中を
機械の音に震わせて
同じ動作を
繰り返し 繰り返し
煙くさい、明るさがそこにはあって
わたしはそれをじっと見つめてしまう
見つめ続けていたくなる
電子レンジが獣の匂いをさせている
冷たい液体なら一瞬で体内へ
思い出されるのは、かつての瞬間のいろいろ
醒めない夢はとうとう日常になった
瞬間の中でわたしは死んでる
感覚もすべて死んでいる
ただ続けてゆくことの意味
しあわせ、そういえばあのときの
ことばがあふれてとまらず
身体が震えてとまらず
あのときの あのときの
わたしのあの、しあわせは
しあわせは。
渋谷はとても、歩きにくい
川上未映子の「発光地帯」を読んでいた
バーゲンはほとんど終わっていた
暗くなったり明るくなったり
地上のライブハウスはとても、騒がしい
騒がしさに笑い
身体が揺れたりして
むかしの自分のことばを、思い出したりしていた
まっくらな中から呼びかけられるような
声に
わたしがとても泣いたことなど、思い出した
それはもはやわたしなんかではなくて
それはもはやただのことばで 声で
誰かの今、とても泣いたことなどに共鳴するのならば
それはとても素敵なことだとおもった
とてもうっとりすることだとおもった
それと同時に
わたしの身体とは、とても遠いことなのだ、とおもった
久しぶりの電車の帰り道
「へルタースケルター」が沢尻エリカ主演で実写化するという話を聞いた
あのキリキリとした行き止まり感
最後のシーンの、リリコの眼帯なんかを思い出し
この物語は永久に誰にも語られないでいて欲しい
誰も口には出さず
何のカテゴリーも与えられず
しかしずっと、ひとのこころを痛ませるような、
ひとりになってまた、「発光地帯」をいくつか読んだ
食べ物の描写の魅力のなさに笑う
生きることを、愉しむ
そんなひとではないのだろうと昔思ったことがある
散り散りになった詩のかたまりたち
高田馬場の喧騒
笑顔とか酔いとか思惑とか
すきとかきらいとかキスとか
そんなものを通り過ぎて通り過ぎて
何本かのビールとシードルと焼き鳥串を買って帰宅した
家の前で
ショベルカーが道路を掘っていた
夜の中を
機械の音に震わせて
同じ動作を
繰り返し 繰り返し
煙くさい、明るさがそこにはあって
わたしはそれをじっと見つめてしまう
見つめ続けていたくなる
電子レンジが獣の匂いをさせている
冷たい液体なら一瞬で体内へ
思い出されるのは、かつての瞬間のいろいろ
醒めない夢はとうとう日常になった
瞬間の中でわたしは死んでる
感覚もすべて死んでいる
ただ続けてゆくことの意味
しあわせ、そういえばあのときの
ことばがあふれてとまらず
身体が震えてとまらず
あのときの あのときの
わたしのあの、しあわせは
しあわせは。
s
ことばも声もない
そこに何があるのかわからない
見えない
単なる予感、しかなくて
それも私に基づいたものでしかなくて
そのひとのことを本当の本当はよくわからないのだと知る
信じること
確実であること
不安定なこと
見えないところから見えない声を聞くなんてそんな
それはきっと錯覚で
それならばずっと錯覚だったのかもしれない
私が何も掬いとれなかった
ただその優しさに甘やかされていただけなのかもしれない
そこに何があるのかわからない
見えない
単なる予感、しかなくて
それも私に基づいたものでしかなくて
そのひとのことを本当の本当はよくわからないのだと知る
信じること
確実であること
不安定なこと
見えないところから見えない声を聞くなんてそんな
それはきっと錯覚で
それならばずっと錯覚だったのかもしれない
私が何も掬いとれなかった
ただその優しさに甘やかされていただけなのかもしれない