《重要》
アシナガバチの移設は、200m以上離れた場所に行ってください。元の記憶が勝って巣に戻れなくなり、かわいそうなことになってしまいます。同じ敷地内に移動させたい場合は、1日30〜50cmずつ移動させます。
日本は広くて南と北では小一ヶ月ほど差があるようですが、誰でも簡単・安全にアシナガバチを畑に移住させられる季節は、いよいよこれからです。
春は母蜂(女王蜂)が1匹で営巣していますが、この母蜂は、どんなに近づいても攻撃してくることはないようです。むしろ驚くと逃げ出します。
《時期》
ただ、あまり早く移設すると、巣を放棄してしまう恐れがあります。あわてず、ある程度巣が大きくなって巣穴に顔の黒い幼虫が見えてからのほうが、母蜂の執着心も強くなるのでいいと思います。産卵してから孵化するまで2〜3週間、成虫になるには一ヶ月半以上かかりますので、まずは見守っておきましょう。
もっと大きな巣になって幼虫が見えるようになってから。
山形では6月になってからがちょうどいいと思います。
《探し方》
駆除される運命のアシナガバチを探す方法は、こちらをご覧ください。いくつかの方法を紹介しています。
→ 駆除されてしまうアシナガバチを探す方法
その中でも、まだ女王一匹で、巣も小さく、なかなか人目につかないこの季節に有効な探し方は「訪問点検」です。
古いお屋敷やお寺、神社などは、アシナガバチのサンクチュアリになり、毎年困っている場合があります。5月〜6月に「蜂の無料点検にきました」と伝えて確認させてもらうといいですね。きっと初めは不信がられますが、理解してもらえばとても感謝されますよ。
《探すコツ》
探す時のコツですが、これまでたくさんの捕獲をして気づきましたが、建物の北側には作らないようです。一番多いのが南側、次に東側、そして西側の順番のような気がします。我が家に歴代作られた10個ほどある巣はすべて南側にあります。
ただ、この季節は女王が餌や巣材の確保に出かけていることがあります。蜂のいない巣を見つけたら、卵や幼虫がいるか確認するといいですね。もしくは、5分〜10分で母蜂が帰ってきますので気長にお待ちください。
《距離》
移住させるにあたっては、最低200m以上の距離が必要です。近い距離に置くと元の場所に戻ってしまうのです。アシナガバチの行動半径は諸説ありますが、三重大学の故松浦誠教授によると50〜100mだそうです。
《ご注意》
さて、以前にも書きましたが、畑に移住させることについて注意して欲しいことがあります。
●アシナガバチは温厚とはいえ、巣に近づいたり、触ったりすれば刺されます。スズメバチ同様アナフィラキシーを起こして亡くなった方もいます。アシナガバチの行動半径は以外と狭く50〜100m程度といわれていますが、住宅地と隣接する農地ではトラブルも起こるかもしれません。様々なリスクを伴なう可能性があることもご理解の上、自己責任で行ってください。
また、刺された時の対処方法もあらかじめ知っておくといいですね。
たとえば→ ハチに刺された時の応急手当
●同じ種類のアシナガバチでも場所により亜種があったりします。3月の伊丹市昆虫館で講演した時も、写真を見て「山形のキアシナガバチは色が濃いですね」と言われました。種の保存上の問題がないとも限りませんので、県外とか遠く離れた、地形的に明らかに違う別のエリアからは移住させないようにしましょう。
詳しい移住のさせ方はこちらのページをご覧ください。
→ 誰でもできる! アシナガバチを畑に移住させる方法
→ アシナガバチ移設巣箱の作り方
→ 巣の人工軸の作り方
不明な点がありましたら、メッセージでお問い合わせください。
なお、誰でもできない! 少しむずかしい働きバチが増えてからの移設については、改めて紹介いたします。お楽しみに!