沖縄での醤油用麹造りについて | 発酵食品アドバイザー・アジアの発酵食品研究家 大西孝典のブログ

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僕の住む那覇市もようやく、季節が秋から冬へと移り変わりつつあり、ここ最近は半袖のTシャツでは少し厳しいくらい気温が下がってきた。気温の高い夏における豆麹や醤油用麹の製造は、汚染の確率も上がる事から、ようやく気温が下がってきた今、醤油用麹を起こしてみることにした。

 

以前から醤油用麹造りから始める醤油の作り方のワークショップを予定していた事もあり、沖縄の気候に適した種麹を選定するため、数種類の醤油用麹を仕込んでみる事にしたのだが、これはタイやインド、どこであっても新しい場所で麹造り、特に豆麹系の麹を起こす際に僕が必ず行うテストでもある。

タイの様な常夏の国では年がら年中気温が高いため、豆麹などは納豆菌に汚染されることも多く、出来るだけ、温度が上昇せず、ゆっくりと時間をかけて仕上がるタイプの種麹が望ましいが、季節によってはどのように気を付けても汚染されることも多く、最終的に僕がタイのバンコクから北インドの山中に引っ越した理由の一つでもあった。

 

今、現在、那覇市の気温は日中で23℃程度、夜間には20℃を切るくらいだが、テストに使用したA社とB社の醤油用種麹は菌の接種後、12時間ほどで菌糸が確認できるようになり、24時間後には胞子が付きはじめ、50時間目には出麹となった。

対して同じくテストに使用したC社の種麹については比較的立ち上がりが緩やかで、24時間経過してようやく菌糸が目視できるようになり、48時間で胞子が出始めて若干黄色っぽくなり、72時間でようやく真緑色になった。72時間の間に手入れは二回行ったが、品温も急激に上がらず、緩やかに、きっちり72時間で出麹となる典型的な「三日麹」であった事から、この後、沖縄での醤油用麹の製造にはこの種麹を使用する事にしようかと思う。

 

醤油は仕込んでからの熟成期間が長いため、つい管理を忘れがちになるけれど、沖縄で作る初めての醤油はどんな味になるのだろうかと少しワクワクしているのであった・・・・。

 

醤油に使用する小麦を焙煎する。

沖縄産の無農薬、無化学肥料の物を使用。

 

家庭での焙煎はフライパンの使用が多いが、

焙煎網を使うとより早く、確実に焙煎できる。ただ、少しコツを要する。

焙煎した小麦をミルサーなどで割砕し・・・・

 

熱いうちに蒸煮した大豆と合わせる。

 


種麹の接種。今やこの小麦粉フルフルは麹造りに欠かせない道具の一つとなった。ダイソーさんありがとう・・・。

清潔なペーパータオルや布巾等で麹を覆って・・・

 

発酵器にかけるが、気温が高いのでスイッチは入れない。

24時間もすれば麹が熱を発し、庫内の温度、湿度共に上昇する。

 

72時間後、緑の胞子をまとった醤油用麹が出来上がり。

出来上がりの塩分濃度16%程度を見越して、さっそく醤油を仕込んでみた。

醤油麹が醪に変わる瞬間だ。

 

近日中に醤油麹造り~醤油の仕込みまでを通して行う醤油造りワークショップを企画しています。時節柄、対面でのワークショップは沖縄限定となりますが、オンラインも予定しており、準備が整い次第、お知らせいたしますのでよろしくお願いいたします。

 

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