日本の後発酵茶、阿波晩茶の取材に行ってきた ② | 発酵食品アドバイザー・アジアの発酵食品研究家 大西孝典のブログ

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百野さんのお話を紹介する前にこの発酵茶について簡単に説明したいと思う。

 

発酵茶には大きく分けて前発酵茶(全発酵茶、半発酵茶)と後発酵茶がある。前発酵茶は茶葉自身が持つ酵素によって葉を発酵させるもので、代表的なものには紅茶やウーロン茶がある。

 

後発酵茶は茶葉の酵素による発酵はさせず、あえて微生物の力で茶葉を発酵させる茶の事だ。プーアル茶などが代表的な後発酵茶である。

 

雲南省などで作られる後発酵茶、プーアル茶。数百グラムごとに餅の様に固めて作られることから、この形状を餅茶と呼ぶ。最近では熟成後に出来によって高値が付くことも多く、投資家による投資対象にもなっている。

 

チェンマイで取材した、発酵食用茶、ミヤンを乾燥させて、阿波晩茶の様に飲用にしたもの。味は阿波晩茶にそっくりで、取材先ではこれを使ったコンブチャを作っていた。

 

これら微生物を使用して発酵させる後発酵茶は日本にも4種類があり、そのうちの3種類が四国で作られる。各々の茶の特徴と発酵方法を簡単にまとめてみた。

 

①バタバタ茶で知られる富山黒茶(富山県) 好気発酵(カビ発酵) 

 

②石鎚黒茶(愛媛県) 好気発酵(カビ発酵)と嫌気発酵(乳酸発酵)の二段階発酵 

 

③碁石茶(高知県)  好気発酵(カビ発酵)と嫌気発酵(乳酸発酵)の二段階発酵 

 

④阿波晩茶(徳島県) 嫌気発酵(乳酸発酵)

 

これらが日本の後発酵茶であり、またその種類である。今回、取材した阿波晩茶は嫌気発酵(乳酸発酵)した茶葉を乾燥させて茶としたもので、雲南の酸茶、北タイのミヤン、ミャンマーのラペソなどの後発酵(乳酸発酵)茶と同じ種類のものである。

また、日本においても乳酸発酵だけで作られた後発酵茶は阿波晩茶しかなく、百野さんが作る阿波晩茶は日本国内においてこのエリアでしか生産されない貴重なものなのだ。

 

続く