皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
税理士事務所(私)が記帳を行なっている顧問先の場合、一通りの入力が終わってまず確認するのは現預金残高です。1か月、あるいは1年という事業活動の結果、現預金が増えたのか、減ったのか。
もちろん、その時々の状況によって現預金残高に増減はあるでしょう。それでも、事業が順調に進んでいれば、長い目で見て現預金が増加傾向にあるはず。
会社が記帳したデータをいただく場合も同じです。まず、現預金残高を確認する。その増減について、損益状況、債権債務の状況、借入金の残高、固定資産取得の有無、などを見ながら要因を把握します。
現預金残高の適正水準を一概に述べるのは難しいでしょう。年商10億円の会社に10億円の現預金があれば過剰な気もします。その10億円の原資が借入であればなおさら。年商が会社の規模を表すとは限りませんが、参考になるのは間違いありません。
日本経済新聞に「信用調査ファイル」という記事が掲載されることがあります。帝国データバンクが実際の企業事例を紹介する内容で、昨日はとある「優良」企業が、粉飾により倒産した事例でした。
「前期の貸借対照表と見比べ分析してみると異様さが鮮明になる。投資有価証券は約24億7400万円から約4億7900万円に、保険積立金は約13億7000万円から約2億6500万円にまで減少。この2つで30億円を上回る架空・過大計上があったことが分かる」(9日、日経)。
粉飾をしたしわ寄せは、必ず貸借対照表(BS)に現れます。複式簿記ですから、借方だけ増やすわけにはいかない。利益を大きく見せたい(貸方)と思うと、実態のない売掛金(借方)が計上されることになるでしょう。売上の過大計上を発見することは難しくても、売掛金の過大計上には手掛かりがあるのです。
「保険積立金からも異様さに気付けたはずだ。約15億円の年商に対して約14億円の保険積立金は、とても適正な水準とはいえない」(同)。
3月決算が佳境に入ってきました。次から次への仕事に追われ、大事なことを見落とさないようにしなければなりません。その第1歩は、現預金残高の確認でしょう。いや、粉飾を疑うという意味ではなく、事業が順調に推移しているのかどうか。その確認のためにも、現預金が増えているかどうかが重要です。
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