皆さま、こんにちは。
税理士・公認会計士(船戸明)の「本業ブログ」にようこそ。
月次にしろ、年次にしろ、すべての入力が終わって試算表ができると、まず確認するのが現金(預金含む)残高でしょう。今月は、今年は、手元現金が増えたのか、減ったのか。増えたとすると、どんな要因で増えたのか。減ったとすると、どんな要因で減ったのか。
長い期間で考えた場合、損益計算書(PL)の利益が出ていなければ現金は増えません。ごく大雑把に言えば、増減要因は次の通り。
現金増減=PL利益+減価償却費-借入返済-新規投資
もちろん、1か月や1年という短い期間で区切れば、債権債務の増減や納税タイミングなどで、現金残高は影響を受けます。ただ、基本形は上の式で考えればよいでしょう。
先日も、年次の決算及び確定申告を終えた法人について、概要を説明する機会がありました。説明というよりも質疑応答で、まず出た質問がPLの利益についてです。
利益=売上×粗利率-販管費
この状態で、利益が増える要因は、1)売上増加、2)粗利率の上昇、3)経費の削減、のいずれか。
質疑から説明モードに変わったとき、現金残高に触れました。PLでは利益が出ていても、借入返済をまかなうほどの利益はでていないので、現金が減少していると。質疑ではなく、こちらから説明する場合、真っ先に触れるのは現金残高です。
利益はウソをつきますが、現金残高はウソをつきません。前者の意味は、会計処理の方法によって数字が変わったり、前期-今期-翌期と続く事業活動の中で年度の入り繰りが発生したり、在庫棚卸の数え間違いにより数字が変わったり。「利益」という数字は概念であって、実物による裏づけがないのです。
一方の現金残高は、現金という裏づけがある。悪意がない限り、通帳を確認することで実物資産としての存在を確かめることが可能です。
法人の決算時期は3月が最多で、これから徐々に数字が集まってくることでしょう。まず確認するのは現金が増えているかどうかです。
どうして現金が増えたのか(減ったのか)。これを説明するのは税理士の仕事です。どうすれば増やせるのか。これを説明するのは税理士の仕事でしょうか。基本的に経営者の仕事だと思いますが、ただ、その材料を提供することはできるはず。そのために、会計や税務にとどまらない学びを続け、原理原則を確立する必要があるのです。
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