BUCK-TICK「darker than darkness -style 93-」を考える | tak METAL ON METAL

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櫻井さんの個人読本発売です


































こないだ元ミッシェルガンエレファント〜The Birthdayのチバユウスケさんの個人読本購入しましたが、これも面白そう。その人のイズムが伝わるアイテムは嬉しいです







































BUCK-TICK、櫻井敦司さんが亡くなってから1年半くらい。まだそれしか経ってないのか、と感じるのは、BUCK-TICK周辺の動きがここ最近慌ただしかったからか




















昨日はそんな櫻井さんの誕生日でもありましたので、BUCK-TICKに想いを馳せておりました















今日はそんな彼らの作品の中から私が一番好きな作品について書いてみます










































1993年に発表された「darker than darkness -style 93-」(以下、D/T/D)です


































前作にあたるリテイクベストアルバム「殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits」で名盤「狂った太陽」の方法論を以て過去曲を再構築した事で一区切りつけた感のある彼ら

本作はここから2005年の「十三階は月光」まで続く、バクチク変革期の起点となるアルバムです































「TABOO」「悪の華」期から既にデカダン/ニヒルな方向性に舵を切っていた彼らでしたが、このアルバムは最上級のソレ


















先行でリリースされた「ドレス」に見られる超絶お耽美

間違いなく櫻井敦司の翠嵐高校レベルの高偏差値フェイスありきで作られたであろうこの楽曲、儚げな旋律/歌詞と合わさり、その手の嗜好者のニーズを独り占めした感がありました















しかしてこのアルバム、BUCK-TICK入門編としては全く以てオススメ出来ません


内容偏り過ぎ/ザラついた音像/ぶっ飛んだ世界観


ドレスのみの印象から入った一見に強烈なカウンターをお見舞いする仕上がりです






1曲目の「キラメキの中で」


タイトルだけなら地下ドルライブのトッパーに披露される元気っ子曲のような風情ですが、歌詞に「ケロイドの男」が登場する、丸尾末広感ある全くキラメかない暗黒ダブレゲエ






こんな取っつきにくい曲をトッパーに収録したのは、彼らのここまでの作品でも初めて。「新しく刺激のあるモノを作りたい」という並々ならぬ意気込みが伺えます















ほんの6年前までスカスカの音像に可愛い声で「ウ〜イェ〜♪」とか歌ってた彼ら






飛距離がエグすぎる















「Deep Slow」「青の世界」「LION」のようなリフチューンからジャジーな「誘惑」「神風」、ファンクな「ZERO」、今井節の原点となったノイジーな「Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」まで










散々振り回されたあげく最後にめちゃ美しいノイズゲイザー「die」が投入され圧倒的カタルシスで幕を閉じます




この時期のバクチクはまさに音楽性を拡散させてた時期でした

例えば「ドレス」のカップリングだった「六月の沖縄」からは初めて横ノリの気持ちよさを感じとれました(未だに大好きな曲です)



色調はモノトーンに統一しながら様々な音楽を提示してくる力技な構成

あまりの濃さから馴染むには多少時間が掛かりましたが、咀嚼出来ると熱量/情報量/濃度の強さがたまらなくなります

噛めば噛むほど新しい発見が次々出てくるハードグミのような1枚です

ライブ定番曲もほぼなく、初見にはオススメ出来ませんが、「狂った太陽」「殺シノ調べ」あたりの水温になれたら是非この熱湯風呂に挑戦してみて下さい


























V系とメタルばかり聴き、「速い曲が正義」とばかりに縦ノリしか知らなかった若き私にとって、「D/T/D」は他ジャンル/音楽の多様性を提示してくれたアルバムでした


このアルバムが無ければ、恐らく私はこのような雑食リスナーにはなっておらず、ロックを思春期の通過儀礼として消費していた可能性が極めて高いです


その意味で私にとっては非常にターニングポイントとなりました。ありがとう「D/T/D」






































ちなみにその後、シークレットトラックとして93曲目にニューウェーブな「D・T・D」が収録されてます




この曲が一番聴きやすいという点含め、なんともバクチクなアルバムです、ほんま




























客観的に見て、BUCK-TICKは「天使のリボルバー」である種の型が出来、その後は再生産に近くなってました


「D/T/D」〜「十三階は月光 」までの音楽的冒険を思えば少し寂しい期間が続いてましたが、最新作「スブロサSUBROSA」は明らかに新しい扉を開けた意欲作であの頃のギラツキを感じます

























これからも新しい「キラメキ」が生まれますように























そんなこんなで

























tak