櫻井さんの個人読本発売です


1993年に発表された「darker than darkness -style 93-」(以下、D/T/D)です

しかしてこのアルバム、BUCK-TICK入門編としては全く以てオススメ出来ません
内容偏り過ぎ/ザラついた音像/ぶっ飛んだ世界観
ドレスのみの印象から入った一見に強烈なカウンターをお見舞いする仕上がりです
1曲目の「キラメキの中で」
タイトルだけなら地下ドルライブのトッパーに披露される元気っ子曲のような風情ですが、歌詞に「ケロイドの男」が登場する、丸尾末広感ある全くキラメかない暗黒ダブレゲエ

こんな取っつきにくい曲をトッパーに収録したのは、彼らのここまでの作品でも初めて。「新しく刺激のあるモノを作りたい」という並々ならぬ意気込みが伺えます
ほんの6年前までスカスカの音像に可愛い声で「ウ〜イェ〜♪」とか歌ってた彼ら
飛距離がエグすぎる
「Deep Slow」「青の世界」「LION」のようなリフチューンからジャジーな「誘惑」「神風」、ファンクな「ZERO」、今井節の原点となったノイジーな「Madman Blues -ミナシ児ノ憂鬱-」まで
V系とメタルばかり聴き、「速い曲が正義」とばかりに縦ノリしか知らなかった若き私にとって、「D/T/D」は他ジャンル/音楽の多様性を提示してくれたアルバムでした
このアルバムが無ければ、恐らく私はこのような雑食リスナーにはなっておらず、ロックを思春期の通過儀礼として消費していた可能性が極めて高いです
その意味で私にとっては非常にターニングポイントとなりました。ありがとう「D/T/D」

ちなみにその後、シークレットトラックとして93曲目にニューウェーブな「D・T・D」が収録されてます
この曲が一番聴きやすいという点含め、なんともバクチクなアルバムです、ほんま
客観的に見て、BUCK-TICKは「天使のリボルバー」である種の型が出来、その後は再生産に近くなってました
「D/T/D」〜「十三階は月光 」までの音楽的冒険を思えば少し寂しい期間が続いてましたが、最新作「スブロサSUBROSA」は明らかに新しい扉を開けた意欲作であの頃のギラツキを感じます
これからも新しい「キラメキ」が生まれますように
そんなこんなで
tak