A Thousand Acres

農場主のラリーは娘たちに農場を譲ると言って手続きをした。しかし直後から「農場を奪われた。取り戻す」と言い出し、裁判を起こした。
ラリーは敗訴し、長女のジニー(ジェシカ・ラング)は家を出て、町で働き始めた。次女のローズ(ミシェル・ファイファー)のガンが再発し死亡した。
ジニーはローズの子供を引き取り、農場を売り払って、人生を再出発した。


製作:1997年、脚本:ローラ・ジョーンズ、監督:ジョスリン・ムーアハウス


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)

ラリー・クック(ジェイソン・ロバーズ) - 農場主
ジニー・クック・スミス(ジェシカ・ラング) - ラリーの長女
タイ・スミス(キース・キャラダイン) - ジニーの夫
ローズ・クック・ルイス(ミシェル・ファイファー) - ラリーの次女
ピーター・ルイス(ケヴィン・アンダーソン) - ローズの夫
キャロライン・クック(ジェニファー・ジェイソン・リー) - ラリーの三女

ハロルド・クラーク(パット・ヒングル) - 近くの農場主
ジェス・クラーク(コリン・ファース) ^ ハロルドの息子

◆ 補足

ラリーは三代続いた広大な農場の農場主。妻はキャロラインが五歳の時に乳癌で死亡。ジニーとローズは結婚して夫とともにラリーの農場を手伝っている。キャロラインはデモイン市で弁護士をしている。未婚。三人の娘の年齢差は示されていない。

ジニーには子供はいないが、ローズに二人の娘。そしてローズも乳癌となり左の乳房を切除した。

三人の娘にわりと有名な女優が割り当てられている。ジェニファー・ジェーソン・リーは本作当時は35歳だが、上の二人に比べてとても若く見える。子供のようでもある。ジェシカ・ラング出演なのでピックアップした。

主に描かれるのはジニーとローズ。ジニーが主人公というストーリーになっており、ジニーのナレーションが入っている。

ジェスは放浪していたが戻ってきた。ジニーは昔ジェスと関係していた。

この映画には原作がある。見てみると「文芸作品を映画化したもの」(→必ずしも誉め言葉ではない)ということがよく分かる映画である。原作は読んでいない。

ジニーとローズの心情を強調して描くために、若干の無理をしているとの印象を受ける。まあ、これはよい。
 


■ あらすじ

ハロルドが新型のトラクタを購入し、またジェスが戻ってきたこともあり、野外バーティが開かれた。

この席でラリーは「農場を株式会社化して、みんなで株を持ち合う」という話をする。ジニーとローズは賛成するが、なぜかキャロラインは躊躇する。するとラリーは大きく怒る。その怒り方は尋常ではなく、まわりは驚く。注、「株式会社化」という話と「子供に農場を譲る」という話は別なのだが、本作は混同しているように思える。本作は「農場を譲った」という形で展開する。

ラリーはさっそく手続きに入る。ジニーがキャロラインとラリーをとりなそうとするがラリーは拒否する。

ラリーは以前より怒りっぽく暴君であったが、農場を譲ってからは一層激しくなった。いやそれだけではなく、ボケてきたようである。そして子供たちにあたり散らす。酔っ払い運転をする。

ラリーは(自分から提案したにもかかわらず)ジニーとローズに「この土地を奪い返す」と宣言する。嵐の夜に家を飛び出した。これが邦題の由来。注、ハロルドの家に行った。

それを見てハロルドはジニーに「仲直りをしよう」と提案し教会の食事会にくるように言う。クラーク一家とクック一家が一つのテーブルに集まった。

そしてハロルドが発言した。なんと「嵐の夜に父親を農場から追い出した」と、他のテーブルの人にも聞こえるように大きな声で喋った。注、もちろんラリーはみんなが引き留めたが、それでも強引に出ていったのが真相。

そしてラリーは「ジニーとローズから農場を取り戻す訴訟」を起こす。そしてこの訴訟にはなんとキャロラインが絡んでいる。

実際に裁判が始まるまでに、いくつか話が展開する。

キャロラインとラリーが一緒にいるところをジニーが目撃する。いつもジニーとローズが見てきた怒りっぽいラリーではなく、優しく猫なで声で話しかけるラリーである。キャロラインも弁護士というよりも、まだ子供のように甘えている。

ジェスとジニーの関係が復活する。後ほどのジニーの話によるとタイよりも好きだそうである。

それとローズが子供の時の話をする。ラリーがジニーの寝室に忍び込んでいたこと、その後はローズの寝室に来ていたこと。ローズは、その話をジニーに確認してもジニーは否定する。注、後ほど肯定する。

ピーターが飲酒運転で用水路に転落して死亡。また農場を譲り受けて、新しく行っていた工事が、訴訟のために銀行の融資が得られず、中断する。

そしてタイがキャロラインと接触して、ジニーとローズのことを告げ口する。

この間、(主にラリーに対して)ローズは怒りっぱなしである。その話を聞いているのはジニー。ジニーも同じような心情であるが抑制している。

さて裁判。訴訟の要点は「ジニーとローズがラリーを騙して農場を奪った」というものである。キャロラインは、弁護士としてではなくラリー側の証人として証言。「父らしくない提案で、私は留保しました」と証言。この証言にジニーとローズは呆れた。

ラリーも証言台に立ったが、まったく関係がないことを喋って、裁判長に制止された。けっきょく交わされた契約書に瑕疵はなく、ラリーは敗訴した。

裁判の終了後、ジニーは姿をくらました。ウェイトレスとして働き始めた。

半年してローズに居場所を知らせた。タイが訪ねてきた。ジニーはタイが裏切ったことを責めた。タイは別の養豚場に就職するようである。

そしてローズの子供から電話がかかってきた。「ママが入院した」。ローズの乳癌が再発し右の乳房も切除した。ローズから子供のことを頼まれた。「(この農場は)私たちの代で終わらせたい」と遺言。

ローズは死亡し、ジニーは農協を通して農場を売却した。借金と税金を除けば、たいした金は残らなかった。

ジニーは二人の子供を連れて出ていった。本作の最後は、むしろ呪縛から解放された二人の子供の未来の明るさを強調している。
 


■ 出演作

ジェシカ・ラング
(1981)郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice
(1984)カントリー/Country
(1988)熱き愛に時は流れて/When I Fall in Love/Everybody's All-American
(1991)ケープ・フィアー/Cape Fear
(1992)ナイト・アンド・ザ・シティ/Night and the City
(1992)開拓/O Pioneers!
(1994)ブルースカイ/Blue Sky
(1997)シークレット-嵐の夜に/A Thousand Acres
(1998)沈黙のジェラシー/Hush
(2016)素敵な遺産相続/Wild Oats