■ Cape Fear(1991)
マックスは14年間の刑務所暮らしの後に出所した。そして自分に対して十分な弁護をしなかった弁護士に復讐をし始めた。
マックスは弁護士サムの一家に嫌がらせを始めたが、違法すれすれのところで寸止めした。
対してサムは三人を使ってマックスを襲って逆に訴えられる。
ついにマックスが動き出し、雇った私立探偵が殺された。
サム一家は岬にある別荘にひそかに逃げ出した。しかしマックスは、車の下に自分の体を結び付けて追跡した。
嵐に揺れる船の中で最後の決戦となる。


製作:1991年、脚本:ウェズリー・ストリック、監督:マーティン・スコセッシ   予告編   予告編  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マックス・ケイディ(ロバート・デ・ニーロ)
 サム・ボーデン(ニック・ノルティ) - 弁護士
 リー・ボーデン(ジェシカ・ラング) - サムの妻
 ダニエル・ボーデン(ジュリエット・ルイス) - サムとリーの娘、15歳、通称ダニー
 クロード・カーセク(ジョー・ドン・ベイカー) - 私立探偵
 エルガート警部(ロバート・ミッチャム)
 リー・ヘラー(グレゴリー・ペック) - 弁護士
 ローリー・デイヴィス(イリーナ・ダグラス) - 裁判所の職員

本作は1962年の『恐怖の岬』のリメイクであり、オリジナルにマックス役で登場したロバート・ミッチャムとサム役のグレゴリー・ペックも出演している。

私としてはロバート・デ・ニーロとジェシカ・ラングが出ていれば見ることになる。しかし本作はロバート・デ・ニーロの独壇場。ロバート・ミッチャムも迫力あるだろうな。

本作ではところどころにダニーのナレーションが入る。
 


■ あらすじ

◆ マックス出所

マックスは14年の刑期を終えて出所した。その間に肉体を鍛え、体中にイレズミを入れた。

そして文字を勉強し、哲学書、文学、聖書を読み、さらに法律を勉強して、自分の裁判記録を読んだ。

自分の裁判を担当した弁護士が、十分な弁護をしなかったことを把握した。

◆ ボーデン家

サムとリーは映画館に行った。後ろの席で男が、大きな声を出して葉巻を吹かし、前の席に煙を吹きかけた。サムとリーは別の席に移動した。我々はマックスと分かっている。

サムとリーとダニーはレストランで食事をした。代金を払おうとすると、すでに払われていると言われた。外を見ると、映画館にいた男が、こちらを見ている。

サムとローリーがスカッシュをした。終わった後サムはローリーに「しばらくは会わないようにしよう」と言うとローリーは「浮き気が見つかったの?」と聞いた。

◆ サムがマックスを認識する

サムが車に乗ろうとするとマックスが近寄ってきて窓から手を差し入れてキーを奪った。

「映画館にいた男だろ!」「失望したぜ、傷ついた」。マックスが傷ついたのは、サムがそれ以上のことを認識しなかったからである。

「マックス・ケイディだ」。サムはしばらく記憶を辿ってやっと思い出した。「つけてたのか?」「狭い町だからな」。


リーが夜に外を見ると、家の石垣の上にマックスが座っている。しばらくするとマックスは消えた。

サムに「何者なの?」と聞くと「14年前の事件だよ、でも忘れたよ」との答え。そして「ダニーを一人で外に出すな」と指示した。

サムはその事件でマックスが有利になる証拠を掴んだが、マックスの罪を憎み、それを裁判に使わなかった。「なぜアイツにバレたのか?」。

サムが歩いているとマックスが近づいてきた。

「なぜ俺を?」「検事と判事は勤めを果たした。だがお前は勤めを果たさなかった」「いくら欲しい?」「金には困っていない。あんたは全然分かってないんだよ」とやりとりする。服役中にマックスには遺産が入っている。

◆ マックスが逮捕される

ボーデン家の犬が毒殺された。

本件に関してマックスが逮捕された。尋問する様子をマジックミラーを介してサムとエルガートが見ている。

マックスのアパートが捜索された。銃もなく、車も正規に買い入れたものである。犬の毒殺については証拠はない。つまり立件することはできないで釈放となった。

エルガートは「奴は必ず尻尾を出す」とサムを慰めた。

家の近くでパレードがあり家族で見ていた。反対側の道路でマックスが眺めていた。興奮したサムは、マックスに近寄り「何をしている!?」と殴り倒した。逆にサムが逮捕されてしまった。

◆ ローリー

マックスはローリーに近づいた。サムのことを話し、手錠を掛けて、暴力をふるった。

ローリーは最初はマックスの遊びだと思っていたのだが、本気だと分かって震え上がった。

しかしローリーは、被害のことを証言しなかった。ローリーは裁判所の職員であり、このような裁判で、どのようなことを根掘り葉掘り聞かれるかをよく知っているからである。

◆ 探偵を雇う

サムは家にカギを掛けて厳重に警戒態勢を敷いた。私立探偵のクロード・カーセクを雇った。

マックスの嫌がらせは巧妙で、法に触れないように注意している。

14年前のマックスの被害者は16歳であった。ダニーも16歳。家族は戦々恐々の状態となった。

ローリーからサムに「コネチカットに帰る」との電話があった。サムは、その電話を寝室に移動し、さらに同僚からの電話に偽装したのだが、リーはサムが浮気したことを知っていた。

リーが家の外にいるとマックスが来て車を止めた。少し話し「マックス・ケイディね」とマックスを認識した。マックスは「あんたも俺も裏切られた」と言った。リーが裏切られたとはサムが浮気をしていたことを刺す。

◆ ダニー

ダニーに電話がかかった。「明日の演劇クラスの授業が講堂に変更になった」。もちろんマックスの偽装である。

ダニーは講堂に出かけた。一緒に授業を受けるナディーンはいなかったが、マックスが待っていた。

「あなたが演劇の先生?」。最初はおずおずと話した。マックスはダニーにマリファナを勧めた。

途中で本当の演劇の教師でないことに気がついた。しかしマックスの話はダニーを引き付けた。

両親がいろいろと揉めていることも話した。

サムはダニーがマックスを会ったことを知ったが、ダニーは「彼は乱暴しなかったわよ」と話した。

サムはマックスに会って「俺の家族に付きまとうな、この町から出ていけ」と要求したが「俺は、この町が好きだ」と応じない。

◆ マックス襲撃事件

埒が明かないので、カーセクは「本当に決着をつけたいなら」と言って大胆な提案をする。サムはいったんは提案を断るが、当てもないので提案を受け入れる。

カーセクは三人の男を連れてきた。彼らは鉄パイプとチェーンを持ってマックスを襲った、

サムは、物陰からそれを見ていた。マックスはいったんは倒れるものの、鍛え上げた体で、三人を倒してしまった。

そしてマックスは、サムに対して「そこにいるんだろ!?」と声を掛けた。サムは震え上がった。

◆ サムが訴えられる

マックスはサムを訴えた。マックスはサムが「この町から出ていけ」と言ったことも録音しており、また今回の暴力事件についても訴えた。

マックスは包帯を巻いて杖を突いた姿で裁判に登場した。

結果、サムの方が犯罪者となり、マックスに近づくことを禁止された。そしてサムの弁護士資格剥奪も考えられる事態となった。

サムの弁護士資格の審査会が開かれることになった。サムはリー、ダニーに一緒に空港に向かった。サムが飛行機で出発する。マックスが見張っている。

しかしサムは、飛行機に乗らずに隠れた。

マックスは、サムが飛行機に乗らなかったことは把握できなかったが、カウンターで急用を装って、サムが帰ってくる日を掴んだ。

◆ 罠を仕掛ける

サムはこっそりと自宅に戻ってきた。自宅にはサム、リー、ダニーと家政婦、そしてカーセク。

カーセクは出入り口に糸を張り巡らせて、その先端をイスの上の人形に結び付けた。扉が動けば人形が動く仕掛けである。そしてカーセクは拳銃を持って隠れた。

みんな不安で眠れない。人形がわずかに動いた。カーセクが調べるが分からない。

サムは目の前にマックスがいると言う幻覚を見る。「もうすでにマックスは家の中に侵入しているのでは」という疑念にかられる。

カーセクが拳銃を持って、家じゅうを見て回る。カーセクの後ろに家政婦が来る。家政婦はカーセクを後ろからワイヤーで首を絞めた。マックス。

サムが階下を見る。外に逃げ出す姿。階下に二人の死体。サムは駆け寄ったが、死体から流れた血で足を滑らせて悲鳴を上げた。

◆ 岬へ

ボーデン一家は車でケーブフィアへ向かった。マックスは追ってこない。

だがしかしなんと、マックスは車の下にベルトで体を縛り付けていた。

◆ 船

一家は船で出発し錨を下ろした。食事をした。嵐になり船が揺れた。船が揺れるたびに不安感に襲われた。

サムがロープを確認するために外に出た。首にローブを掛けられた。

船室にマックスが侵入してきた。ダニーを船倉に閉じ込めた。閉じ込められたダニーはライターの油をポケットに入れた。

マックスはリーを手錠でパイプにつないだ。リーは泣いて懇願するが無駄である。マックスは外からロープを掛けたサムも連れてきた。ダニーを船倉から出した。

三人を制圧した形のマックスは、ここで葉巻に火を付けた。その瞬間にダニーはライターの油を吹きかけた。火だるまになったマックスは水に飛び込んだ。

◆ ラスト

サムは起き上がり二人を抱きしめた。

だがしかし、マックスはロープを掴んで上がってきた。外の様子を見ていたサムに拳銃を突き付けた。

ますます船は嵐に揺さぶられた。

マックスはリーの手錠を外してサムに付け替えようとした。その瞬間リーは手錠を奪ってマックスの足に掛けた。マックスとパイプが結び付けられた。

リーとダニーが海に飛び込んだ。サムとマックスが格闘した。拳銃を取り合う。

マックスが拳銃を発射し、サムはマックスに石を振り下ろした。サムは海に放り出された。

船は壊れて沈んでいく。マックスも沈んでいく。

リーは起き上がり、サム、ダニーと抱き合った。

最後はダニーのナレーション「事件は解決したが、もう二度と昔の生活は戻らない」。
 


■ 蛇足

人が近づいてきて画面を占領して、場面を切り替えるような撮影手法がとられている。わりと印象に残る。

本作のジェシカは髪が短い。
 


■ 出演作

◆ ロバート・デ・ニーロ
「血まみれギャングママ/Bloody Mama(1970)」
「ディア・ハンター/The Deer Hunter(1978)」
「バックドラフト/Backdraft(1991)」
「ナイト・アンド・ザ・シティ/Night and the City(1992)」
「ジャッキー・ブラウン/Jackie Brown(1997)」
「ショウタイム/Showtime(2002)」
「リベンジ・マッチ/Grudge Match(2013)」

ジェシカ・ラング
(1981)郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice
(1988)熱き愛に時は流れて/When I Fall in Love/Everybody's All-American
(1991)ケープ・フィアー/Cape Fear
(1992)ナイト・アンド・ザ・シティ/Night and the City
(1992)開拓/O Pioneers!
(1994)ブルースカイ/Blue Sky
(1997)シークレット-嵐の夜に/A Thousand Acres
(1998)沈黙のジェラシー/Hush
(2016)素敵な遺産相続/Wild Oats