Frequency

30年前に看護師連続殺人事件があり、まだ未解決であった。刑事のジョンは偶然に30年前の消防士の父親フランクと無線通信をして、倉庫火災で死亡したことを伝えてフランクを救った。
ジョンはフランクに依頼して、殺される前の看護師に接触して、この看護師を救った。しかしフランクは何者かに襲われて、財布から身分証明書を奪われた。その財布を未来のジョンに送り、指紋を調べてもらう。
犯人は刑事。連絡を受けたフランクは、その刑事を探っていく。しかしフランクは罠に嵌められて、自身が逮捕される。30年前のフランクと現在のジョンが刑事から同時に襲撃される。


映画関連目次(闇雲映画館)

製作:2000年、脚本:トビー・エメリッヒ、監督:グレゴリー・ホブリット


■ はじめに

登場人物(キャスト)
(1969年)
 フランク・サリヴァン(デニス・クエイド) - 消防士
 ジュリア・サリヴァン(エリザベス・ミッチェル) - 看護師、フランクの妻
 ジョン・サリヴァン(ダニエル・ヘンソン) - フランクとジュリアの息子、チビ隊長(Little Chief)
 ゴード・ハーシュ(スティーブン・ジョフィ) - ジョンの友達
 サッチ・デレオン(アンドレ・ブラウアー) - 刑事
 ジャック・シェパード(ショーン・ドイル) - 刑事

(1999年)
 ジョン・サリヴァン(ジェームズ・カヴィーゼル) - 刑事
 ゴード・ハーシュ(ノア・エメリッヒ) - ジョンの友達
 サマンサ・トーマス(メリッサ・エリコ) - ジョンの恋人、通称サム

本作はタイムパラドックスもので、現在と30年前の物語が同時に展開する。そして過去の変化によって現在が影響を受ける。なので展開が若干ややこしい。場所はニューヨークのクイーンズ区。

過去(1969)が変わることによって現在(1999)が変わる。その時にジョンは変化前と変化後の両方の記憶を持つようになる。

フランクはジョンを「チビ隊長(Little Chief)」と呼んでいる。この名前が無線通信を通じて1999年のジョンに聞こえて、ジョンが無線の話し相手がフランクであることを認識する。

1999年では元の家にジョンが住んでおり、ジュリアは別の場所に住んでいる。ジュリアはまだ看護師をしている。

サッチは1969年時にすでに刑事をしている。1999年時も刑事。シェパードも1966年時刑事。サッチの妻はジュリアの病院の医師。
 


■ あらすじ

◆ オーロラとアマチュア無線通信

1969年の秋、ニューヨークではオーロラが見えた。看護師の連続殺人事件が発生していた。犠牲者は3人。「ナイチンゲール事件」と呼ばれている。

1969年10月10日、フランクは帰宅した後、趣味のアマチュア無線通信機のスイッチを入れた。

1999年の秋でも、ニューヨークではオーロラが見えた。ジョンは昔の未解決の「ナイチンゲール事件」を担当していた。

1999年10月10日、ジョンの家にゴード一家が訪ねてきた。「テレヴィが壊れた」。ゴードと(父親)が「釣竿を貸してくれ」とクローゼットに行ったところ、もう使われていない無線機を見つけた。取り出してスイッチを入れた。しかしゴード一家は、そのまま帰った。

ジョンが無線機をそのままにしていたら、突然音声が入ってきた。相手と話していると、同じクイーンズ区であり、またなんと姓も同じである。

◆ 倉庫火災

ジョンは11日にも同じ相手と話した。そして「チビ隊長(Little Chief)」という子供の時にフランクがジョンを呼んでいた名前が聞こえた。

すぐには信じられなかったが、相手は30年前の父親のフランクのようである。

ジョンはフランクが1969年10月12日に倉庫火災の現場で死亡したことを思い出した。当時の新聞の切り抜きを取り出して眺めた。「消防士、倉庫火災で死亡」。

フランクに倉庫火災の件を伝えて警告した。フランクが信じないので、明日の野球の試合の結果も伝えた。

12日、倉庫火災が発生しフランクは出動した。ジョンが言った通りであったことに驚いた。また消防車の中で聞いた野球試合の結果も予言通りであった。

倉庫は川に面して建っている古い無人の倉庫だったが、中から少女が走り出てきて「妹が中にいる。助けて」。中で遊んでいたらしい。

フランクは最上階に踏み込んで、倒れている少女を抱きかかえた。そして二人を救出しようとハシゴ車が近づいたがギアの故障で届かない。

フランクはジョンの言葉を思い出した。少女を抱えて(荷物を下に滑らせるための)螺旋状の滑り台に乗った。二人は滑り降りて、窓を破って川の中に墜落した。

フランクは1999年のジョンに報告しようとしたが応答がなかったので、机にハンダゴテで無事だったことを書いた。ジョンの目の前の机に、そのメッセージが現れた。

ジョンのところにある新聞の切り抜きが「消防士が倉庫火災で人命救助」に変わった。ジョンには「フランクが死亡した」という以前から持っていた記憶に「フランクは助かった」という記憶も追加された。

しかし追加された記憶には「20年後にフランクがガンで死亡する」という情報も付加されていた。ジョンはフランクにタバコをやめるように警告する。

◆ ジュリアが殺された

ジョンはジュリアに電話するが「ノア」という店にかかる。そして喧嘩別れした恋人のサムの職場を訪ねていった。だかしかしサムは怪訝な顔をしてジョンを知らないと言った。

そして昔の未解決の「ナイチンゲール」事件の犠牲者が10人となっており、犠牲者の中に「ジュリア・サリヴァン」の名前があった。

ジョンは「フランクが倉庫火災で死亡する」という過去が変わったために影響を受けたものと考えた。

ジョンは「ママに何かが起こった」とフランクに知らせ、ナイチンゲール事件への協力を依頼した。

次の犠牲者はキャリー・レイノルズ。13日午後6時の勤務終了後、コージーバーに出かけたことが確認されている。フランクにコージーバーに行くように依頼する。

フランクはコージーバーに出かけた。キャリーを見張っていて外に出たら後をつける予定だったが、キャリーを含む看護師三人から声をかけられて話した。結果、ジョンの手元にある被害者のリストからキャリー・レイノルズが消えた。

最初の犠牲者の身元が判明した。68年4月16日に行方不明になったメリー・フィネリ。歯形から分かった。

次はS.クラーク。ジョンの情報では「明日(14日)、終業後に飲み屋でバイトし、帰ってからアパートで殺された」。

ジョンはメリー・フィネリの親を訪ねて、死体が発見されたことを知らせる。親からメリーの学生時代のアルバムを借りてくる、卒業アルバムみたいなもの。それを見て「怪しいやつが三人」。

ジョンはジュリアを殺した犯人と思っているので暴走する。「ダリル・シンプソンが怪しい」と言って連行して尋問する。結局無関係であることが分かる。サッチに注意される。

◆ ジャック・シェパード

フランクは次の犠牲者S.クラークのアルバイト先の飲み屋に行った。そしてトイレに行ったところ、ある男に脅されて殴り倒された。そして財布の中から身分証明書と免許証を抜き取られた。

その後ジョンから教えてもらったクラークのアパートに行くと、クラークが殺されていた。フランクは部屋に入るときに目撃された。

フランクは自宅に戻ってジョンにそのことを話すと「財布の指紋を調べる」と言われ、財布をビニールに包んで食堂の窓際の床下にいれた。

30年後、ジョンがその財布を取り出して指紋を調査した結果は、なんとニューヨーク市警のジャック・シェパード。

ジョンがシェパードの家を訪ねた。父親と会った。「退職して今は私立探偵」とのこと。シェパードの母親も看護師で殺されたとのこと。「犯人は不明だ」と言う。

ジョンは酒場に行った。シェパードがいた。「あなたの現役時代の事件を調べている」。「最初の犠牲者の身元が分かった。メリー・フィネリ。歯形が残っていた」。そして「(シェパードの)母親がナイチンゲールの被害者とわかっていれば警察はお前を調べた」と言った。

シェパードが「どうする?」と言うので「お前の人生を30年ごといただく」と言って出ていった。

◆ フランクが逮捕される

ジョンがフランクに「シェパードをFBIに通報しろ、それとフィネリが埋まっている場所も」と言っているタイミングで、フランクをサッチが訪ねてきた。

サッチは「S.クラークの死体の下に、お前の免許証が落ちてた」と言って警察に連行しようとした。

フランクはジョンと連絡を取ろうとしたが、サッチと格闘になり、そのせいで無線機が壊れた。ジョンの前の無線機も壊れた。これで連絡が取れなくなった。

警察でサッチに「犯人はシェパードだ」というが、「アパートでお前を見た人がいる。指紋も免許証もあった」と言われる。

フランクは「1999年のジョンと話した」と言うが当然信用されない。フランクは(ジョンに教えてもらった)今日の野球の試合結果を予言する。

ジョンの手元にある新聞の切り抜きには「ナイチンゲール事件容疑者、消防士」とある。

フランクが拘留されている取調室にシェパードが入ってきた。拳銃を構えた。「なぜ分かった?」。しかし他の刑事が入ってきて(この事件の担当ではないので)シェパードをたしなめて、シェパードは出ていった。

サッチは警察に訪ねてきたたジュリアと話している。サッチはジュリアに「フランクは未来のジョンと話していると言っている」と言うが、フランクはジュリアには事情を言っていないのでジュリアは返答に窮する。

そばのテレヴィで野球放送が行われている。試合の結果がフランクが予言したとおりになるので、サッチはびっくりする。

もう一度シェパードが入ってくるとみて、フランクは罠を仕掛ける。入り口部分にコーヒーをこぼす。電源コードをドアノブに巻きつける。もう一方のコードを手に持つ。

シェパードが入ってきたので、手に持っているコードをコーヒーの上に投げる。シェパードは感電して気絶した。

シェパードのポケットから身分証明書を取り戻した。シェパードの身分証明書を見た。注、シェパードの住所確認のため。

火災報知機に炎を近づける。スプリンクラーから放水される。その混乱の中を逃げ出した。

◆ シェパードのアパート

場所はシェパードのアパート。実家ではない。この前にフランクはシェパードが倒れた時に身分証明書を確認している。

フランクが侵入する。シェパードも入ってくる。フランクはシェパードに隠れながらアパートの中を探す。

棚の上からナイチンゲール事件の記事の束を発見する。シェパードに見つかる。フランクは逃げ出す。シェパードは拳銃を撃ちながらフランクを追いかける。

サッチがアパートに入ってきて事件の記事を見る。二人を追いかける。

フランクは川のそばまで逃げてくる。川の上の桟橋(のようなもの)の下に隠れる。シェパードが、桟橋の上にくる。フランクはシェパードを水中に引っ張り込んで格闘となる。

フランクが桟橋の上に上がってくる。

◆ ラスト

フランクが無線機を修理した。ジョンの前の無線機も修理される。フランクが「シェパードを殺した」と言うが、ジョンは「でもママがいない」。

この時、フランクとジョンの両方に対してシェパードが襲ってくる。

1969年の場面。自宅でフランクがシェパードに襲われる。フランクは手錠を掛けられて一方の手錠の端は机の脚に掛けられる。そしてシェパードはジュリアを襲うがジュリアは何とか逃れる。

その間フランクは机の脚から手錠を抜く。そしてシェパードにライフルを構える。しかしシェパードはジョンを人質にする。フランクがライフルを床に置く。

その時に階段の上からジュリアがシェパードに飛び掛かる。フランクが再度シェパードにライフルを向ける。

この後の結果は表示されない。しかし1999年の結果を見るとシェパードは死んではいないことが分かる。

1999年の場面。ジョンとシェパードが格闘する。最後は倒れたジョンがシェパードから拳銃を額に突き付けられる。

シェパードが引き金を引こうとする。ここでシェパードが撃たれて倒れる。撃ったのはフランク。

最後は、フランク、ジュリアも含めて、みんなで野球を楽しんでいる場面。
 


■ 補足

◆ 冒頭の場面

冒頭の場面はストーリーには関係がない。ガソリンを積んだタンクローリー転倒し大火災となる。結果一人が地下に閉じ込められる。

フランクともう一人がマンホールから入って、閉じ込められている人を助け出す。マンホールから出る直前に大爆発が発生するが、危うく命拾いをする。

◆ サマンサ

最初の世界ではジョンにサマンサ(通称サム)という恋人がいる。ジョンの家に同居しているが、サムはフランクと喧嘩して出ていく。

フランクが倉庫火災から生還した後の世界では、恋人ではない。ジョンがよりを戻そうとして、サムを訪ねていっても、サムはジョンを知らずに不審な顔をされる。

◆ ジョンの記憶

ジョンは過去の変化によって現在が変化したときに、変化前後の両方の記憶を持つようになるという設定なのだが、このルールが破られている部分がある。

例えばフランクが倉庫火災から生還した後ではジュリアが殺されてしまうが、ジュリアが殺されたのは(ジョンから見れば)ずっと昔のことなのに、初めて知って驚いている。

他にいくつもある。だがしかし、これは問題でなく、むしろこの方がよいだろう。
 


■ 出演作

デニス・クエイド
(1988)熱き愛に時は流れて/Everybody's All-American
(1993)アンダーカバー・ブルース/子連れスパイ危機一髪/Undercover Blues
(2001)ディナー・ウィズ・フレンズ/Dinner with Friends
(2005)ヘレンとフランクと18人の子供たち/Yours, Mine and Ours