■ Cleopatra's Daughter
シーラはクレオパトラの娘だがアッシリアの王家に預けられた。クレオパトラは戦いに破れて死亡した。
アッシリアが征服されてシーラはエジプトに戻されて、ファラオの妻となった。
しかしファラオが毒殺されシーラが疑われた。シーラは生きたまま埋葬されることになる。
シーラに同情する医師のレジはシーラを仮死状態にして助け出す作戦を立てた。
しかし仮死状態にすることはできたが、助け出すことはできなかった。
シーラは仮死状態で生きたまま埋葬された。レジと仲間はシーラを助け出すために墓に侵入した。


製作年:1960、監督:Fernando Cerchio、脚本:Damiano Damiani、Fernando Cerchio


■ はじめに

◆ 登場人物(キャスト)
 シーラ(デブラ・パジェット) クレオパトラの娘
 ネモラ(Corrado Pani) ファラオ
 テギ(Yvette Lebon) ネモラの母親
 レジ(Ettore Manni) 医師
 レジの男性助手(Robert Alda) 名前不明
 レジの女性助手(Rosalba Neri) 名前不明

◆ 補足・感想

本作はイタリア映画でデブラ・パジェット以外はイタリア人のようである。

単に「クレオパトラ」と言えば「クレオパトラ7世」を意味する。プトレマイオス王朝のほぼ最後の(女)王。クレオパトラには三人の息子と一人の娘がいる。

シーザーとの間に生まれたカエサリオン(プトレマイオス・カエサル、プトレマイオス15世)はオクタウィアヌス対アントニウス+クレオパトラの戦いの後に殺害された。

アントニウスとの間にはアレクサンドロス・ヘリオスとクレオパトラ・セレネ、これは双子。それとプトレマイオス・ピラデルポスが生まれている。二人の息子はのちに行方不明となり、クレオパトラ・セレネはマウレタニア王ユバ2世と結婚した。

本作はクレオパトラの娘シーラ(デブラ・バジェット)がアッシリアの王家に預けられる。クレオパトラの死後連れ戻されてエジプトの王ネモラと結婚させられるが、ネモラ殺害の疑いで捕らえられて、医師のレジに助けられるストーリーとなっていて、史実とは違っている。

シーラは、わりと気骨がある振る舞いをするが、残念ながらアクション的には活躍しない。しかしデブラは「(1954)ナイルの王女/Princess of the Nile」では王女だが敵に支配されていて戦うストーリー。剣で戦ったり、水に落ちた恋人を飛び込んで助けるなど大活躍をしている。
 


■ あらすじ

◆ シーラは連れ戻された

クレオパトラとアントニウスの娘シーラはアッシリアの王家に預けられていた。そこで成長した。

両親がオクタウィアヌスとの戦いで死亡した。その後エジプトに王家が成立した。王はネモラであるが、実質的な権力は母親のテギが握っていた。

アッシリアの王家は倒されてシーラはエジプトに連れ戻された。シーラは泣きながら歩いてきた。

◆ シーラはネモラと結婚させられた

ネモラは精神がまともではなく、しょっちゅう頭痛がしているようである。また突然笑い出したりする。

シーラはネモラと結婚させられることになった。シーラはしっかりと反論し、きっぱりとしている。

しかし所詮は捕らえられている身である。二人は結婚した。シーラは妃なのでそれなりの待遇を受ける。

ネモラとの間には小競り合いというよりも火花が散る。

ネモラがシーラを抱こうとするが「私は奴隷なのよ。あなたの妻ではない」と言って拒否する。

しばらくすると「私はあなたの奴隷じゃないのよ。あなたの自由にはならない」という展開になってくる。

このような態度なのでネモラは怒る。しかしシーラも負けずに言い返す。

◆ 医師のレジと親しくなる

レジはネモラの医師である。なのでそれなりにシーラと接触の機会がある。

レジはシーラに同情の言葉をかけて励ました。

「君(シーラ)の家族が死ぬのを見た」「私の弟はまだ赤ん坊だった」。

二人の気持ちが近づいてくるのは当然の流れであるが、二人の間柄を考えると、それ以上には進まない。

だがしかし、二人はついにキス。パチパチパチ。

今の映画のようにストレートな表現はないが、二人はベッドに横になっていたりする。

◆ ネモラが死亡した

ネモラが急に体調を崩し気を失った。レジの手当てを受けた。

テギが心配そうな顔をしてきた。レジは「何か分からないことが起こっている」。しばらくして「毒を盛られている」。

レジは解毒剤を飲ませた。ネモラは気がついた。

シーラが連れてこられて疑われた。もちろんシーラは否定する。

しかしネモラが死亡しテギは泣き伏した。

テギはシーラに「違う方法で殺してやる。ネモラの墓の中に永久に閉じ込める」と言う。シーラは連れ去られた。

ネモラに誰が毒を盛ったのかは明らかにされない。シーラではない。

◆ レジの計画

レジは自分が「毒を盛られている」と言ったことを反省した。そしてどうすれば良いかを考えた。

結論は「シーラを仮死状態にする薬を与えて、死んだと見せかけて助け出す」。

シーラは地下牢に閉じ込められている。レジは地下牢に忍び込んだ。

シーラに計画を話して薬剤を飲ませた。シーラは倒れた。

シーラが倒れたのを見て牢番などで駆けつける。レジは「死亡した」と宣言した。

シーラを運び出そうとしたが屈強な護衛がレジに襲い掛かった。やっとのことで護衛を倒したが、しかしレジも傷ついて倒れてしまった。

レジの助手が来て、レジを運び出した。「シーラを仮死状態にする」ことできたが「シーラを助け出す」ことはできなかった。計画の半分。

レジは助け出されて沼地を通って逃げた。小屋の中で治療を受けた。

◆ 葬儀の隊列を襲う

葬儀の隊列が進んでいく。シーラの棺を運んでいる。補足。ネモラの葬儀の様子は表示されない。

レジは、それを遠くからから眺めている。出て行こうとするが、まだケガが回復していないので、みんなに止められる。

棺は墓の地下に入れられた。

その後、葬儀の隊列が住民たちに襲われた。

兵士たちは反撃するが、住民たちは高いところから石を投げて戦う。高度差の関係から住民たちが有利である。

さらに住民たちは坂を駆け下りて兵士を襲撃した。

兵士のリーダー格の人物を捕虜にした。

レジが捕虜を尋問すると捕虜は墓の中の構造を知っているとのこと。

◆ シーラを助けに向かう

まだレジの体は回復していないが、シーラ救助に向かう。

メンバーはレジと二人の助手、その他に住民と捕まえた捕虜。合計10人くらい。

一行は宮殿の敷地の中の穴から忍び込んだ。

捕虜を脅して道案内をさせる。穴は狭く、また床や壁や天井に隠し扉がある。捕虜もだいたいのことは知っていてもすべては知らないようである。ともかくいろいろ苦労して進んでいく。

シーラの棺が置かれている地下。突然大きな叫び声。シーラが目覚めたようである。気がつくと閉じ込められていたのでびっくりしたらしい。

一行はまだ進んでいく。罠もある。一人が落とし穴に落ちてしまった。捕虜は次第に協力的になってきた。

シーラは棺の蓋を押し上げて外に出てきた。石の壁をしらべて出口がないか調べる。しかし出口が見つからない。

悲観して見つけたナイフで自分を刺そうとした。しかし壁の外から音がした。

◆ シーラは助けられた

一行はついにシーラの棺が納められている場所に来た。

しかし石の壁がある。壁を棒で突いて少しずつ壊していく。

シーラはその音に気がついて声を上げた。

ついに壁が突き崩された。レジは中に入りシーラと抱き合った。

シーラは気が緩んだのか気を失った。レジはシーラを抱えて、みんなと外に出た。

一行は地上に出た。みんなに見送られてレジとシーラは馬に乗って旅立った。
 


■ 出演作

デブラ・パジェット
(1949)春の珍事/It Happens Every Spring
(1950)折れた矢/Broken Arrow
(1951)女海賊アン/Anne of the Indies
(1957)十戒/THE TEN COMMANDMENTS
(1956)やさしく愛して/Love Me Tender
(1954)ナイルの王女/Princess of the Nile
(1951)14時間の恐怖/Fourteen Hours
(1957)舞い散った札束/断崖の河/The River's Edge
(1960)シーラ、クレオパトラの娘/Cleopatra's Daughter