■ A Tale of Two Cities
18世紀末、フランスに革命が起こった。貴族は次々とギロチンにかけられた。
チャールズ・ダーネイは、民衆の立場に立つ考えの人物であったが、公爵の甥であったために捕らえられて死刑が宣告された。
ダーネイの妻のルーシーを愛するシドニー・カートンは、牢獄に忍び込み、ダーネイと入れ替わった。シドニーはギロチンとなったが、無為であった自分の人生を意味あるものにした。
製作年:1935、監督:ジャック・コンウェイ、脚本:W・P・リプスコム、S・N・バーマン、原作:チャールズ・ディケンズ
■ はじめに
本作はチャールズ・ディケンズの原作があるが、実際のフランス革命の状況とはかなり違うようである。映画はフィクションなので、それは特に問題ではないだろう。
◆ 登場人物(キャスト)
シドニー・カートン(ロナルド・コールマン)
アレクサンダー・マネット医師(ヘンリー・B・ウォルソール)
ルーシー・マネット(エリザベス・アラン) アレクサンダーの娘
C・J・ストライヴァー(レジナルド・オーウェン)
サン・エヴレモンド公爵(ベイジル・ラスボーン)
チャールズ・ダーネイ(ドナルド・ウッズ) 公爵の甥
ギャベル(H・B・ワーナー) チャールズの教師
アーネスト・ドファルジュ(ミッチェル・ルイス)
テレーズ・ドファルジュ(ブランシュ・ヤーカ) アーネストの妻
バーサッド・クライ(ウォルター・キャトレット) 牢役人
ジャーヴィス・ローリー(クロード・ギリングウォーター) 銀行家
ジェリー・クランチャー(ビリー・ビーヴァン)
クランチャー夫人(エイリー・マリオン)
◆ 本作は次の3フェーズに分かれている。
第一フェーズ:18年間バスティーユに捕らえられていたアレクサンダー・マネット医師が助け出される
第二フェーズ;革命が起こる
第三フェーズ:チャールズ・ダーネイが捕らえられ、シドニー・カートンが入れ替わる
■ 第一フェーズ
18年間バスティーユに捕らえられていたアレクサンダー・マネット医師が助け出される
◆ フランスの状況
フランス。18世紀末期。絶対王政の下、貴族階級は贅沢をきわめ、一方大多数の国民は困窮の生活を強いられていた。国民の怒りが蓄積していた。
アレクサンダー・マネット医師はこのような状況に抗議したが、サン・エヴレモンド公爵の陰謀で18年もの間バスティーユ監獄に捕らえられていた。
◆ マネット医師と再会
イギリスの銀行家、ジャーヴィス・ローリーはマネット医師の娘ルーシー・マネットとともに、マネット医師を救い出すためにフランスに向かった。
二人はマネットの使用人であったドファルジュに会った。マネット医師はすでに救い出されていたが、長い獄中生活の間に精神が崩壊していた。ルーシーは父の姿に涙を流した。
ジャーヴィスとマネット父娘はイギリスに戻った。
その船にはチャールズ・ダーネイが乗っていた。ダーネイはエヴレモンドの甥ではあったが、恩師のギャベルの影響を受けて、国民に思いを寄せる青年であった。ルーシーとダーネイは惹かれあった。
◆ ダーネイは逮捕された
しかしダーネイはイギリスに到着すると、スパイの疑いで逮捕された。これはエヴレモンドの指示を受けたバーサッド・クライの陰謀であった。
ジャーヴィス・ローリーはダーネイの弁護をとストライヴァー弁護士に依頼した。
ストライヴァーは無能であったが、助手のシドニー・カートンの知恵によって、ダーネイは無罪となった。カートンは有能ではあったが、酒に溺れて身を持ち崩していた。
裁判の席でカートンはルーシーを知り、自分の人生に価値を見出した。しかしルーシーはダーネイと結婚し、カートンは元の酒に溺れる生活に戻った。
■ 第二フェーズ
革命が起こる
◆ 民衆は立ち上がった
フランスでは国民の不満がたまっており、地下のマグマ状態であった。サン・エヴレモンドが寝込みを襲われて殺された。
貴族たちは相変わらずパーティにうつつを抜かしていたが、少しずつ、国民の動きは彼らにも伝わってきた。
1789年7月14日、そしてついに民衆は立ち上がった。兵士たちは民衆を襲撃した。
民衆は手製の武器を持って、圧政の象徴であるバスティーユ監獄を襲撃した。
◆ バスティーユ監獄は解放された
中では兵士たちが待ち構えており、銃を乱射した。民衆は門の中に突入した。
しかし銃だけではなく、大砲が撃たれて多数の犠牲者が出て、門の外に押し出された。
ここで一団の兵士が出てきた。民衆はさらなる攻撃を警戒したが、出てきた兵士は、監獄の方に向き直り、監獄に向かって銃撃した。
そして民衆と兵士は監獄の中に突入した。監獄は陥落した。
バスティーユ監獄の陥落を機に貴族たちは逃げ出した。革命が成功した。
貴族たちは次々に捕らえられてギロチンにかけられた。
■ 第三フェーズ
チャールズ・ダーネイが捕らえられ、シドニー・カートンが入れ替わる
◆ ダーネイが捕らえられた
多くの人々が投獄・処刑された。それは今まで圧政の恨みからすれば、無理もないとも思われたが、客観的に見ればやりすぎであった。ほんの少しの罪状でもギロチン台送りとなった。
ギャベルも彼の思想に無関係に「貴族に使えていた」という理由で投獄され、死刑を宣告された。ギャベルの知人が、無実を証明してもらおうとダーネイに手紙を書いた。ダーネイはフランスに向かった。
マネット医師とルーシーも後を追いかけた。
出自は貴族なので、ダーネイも無条件に捕らえられた。マネット医師とルーシーはダーネイが捕らえられている監獄の外から祈った。
◆ カートンはダーネイを助けに向かった
ダーネイの裁判が開かれた。マネット医師が証言した。マネットの弁論は素晴らしいものであったが無駄であった。死刑となった。
ここにいたってカートンは、むしろルーシーのためにダーネイを救い出そうと決心した。カートンもフランスに向かった。
カートンは今は牢番となっているバーサッド・クライに接触した。ダーネイが入れられている牢に入り、ダーネイを騙して薬で眠らせて牢から出した。
カートンはダーネイとして牢に残った。そして処刑の日が来てカートンはギロチンの犠牲となった。カートンは自分の人生に満足した。
■ 出演作
◆ ロナルド・コールマン
(1935)嵐の三色旗/二都物語/A Tale of Two Cities
(1937)失はれた地平線/Lost Horizon
(1937)ゼンダ城の虜/The Prison of Zenda
(1947)心の旅路/Random Harvest
(1947)二重生活/ A Double Life
(1956)80日間世界一周/Around the World in Eighty Days
◆ ベイジル・ラスボーン
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1944)情炎の海/Frenchman's Creek
(1935)嵐の三色旗/二都物語/A Tale of Two Cities