映画の場合で「末尾再帰」と私が言っているのは「最後の場面が冒頭と同じような場面となって、同じストーリーの再展開を予期させる映画」である。

「飾窓の女」は本当に惜しいところで末尾再帰になっていない。


(1947)悪魔の往く町/Nightmare alley

出演はジョーン・ブロンデル、イアン・キース、タイロン・パワー、コリーン・グレイ、ヘレン・ウォーカーなど。

各地を回って怪しげな芸を披露して回る演芸団。いや怪しげなものほど人気が出る。

ジーナ(ジョーン・ブロンデル)とピート(イアン・キース)がやるのは透視術。ジーナが舞台に立って口上を述べながら客にメモを書いてもらう。メモを担当者が集めて舞台まで持ってくる。ジーナはそのメモを読まないで燃やしてしまう。それからもおもむろに、そのメモの内容を一つずつ当てていく。

さてピートはアル中。ジーナによれば、昔は素晴らしい才能があった。しかし今は、アルコールを飲まなければ仕事ができない。しかしアルコール飲めば、さらに症状が悪化する。このようなディレンマ。ジーナがビートの摂取量を管理して、なんとかかんとか透視術をしている。

当演芸団にスタン(タイロン・パワー)が入ってきた。ジーナとスタンとモリー(コリーン・グレイ)は新しい方式の透視術を開発した。アシスタントが客席でメモを受け取って、その場で舞台の上のジーナが内容を当てる。

しかし喧嘩となってスタンとモリーは演芸団を飛び出して、ホテルなどの会場で透視術を始めた。成功し次第に人気が出てくる。スタンは有名になった。

しかし次第に腐敗してくる。よくあることである。そしてスタンは、顧客の情報を秘密裏にかき集めて利用するようになった。モリーは反対するが止めない。

ついにモリーは自己嫌悪に陥って、スタンが不正をしていることをばらした。二人は逃げ出すはめになるが、悪徳精神科医のリリス(ヘレン・ウォーカー)に騙されて、今まで稼いだ金を奪われてしまう。二人は離れ離れ。

時が経って、モリーはある演芸団にいた。ある男が雇われた。アル中だが、酒を飲ませると、なんとかかんとか仕事ができる。演芸団の人々は、それが有名なスタンであると知って驚く。
 


(1950)イヴの総て/All about Eve

出演はベティ・デイヴィス、アン・バクスターなど。

一流の舞台女優マーゴ・チャニング(ベティ・デイヴィス)の元におとなしそうな女性イヴ・ハリントン(アン・バクスター)が訪ねてくる。控えめな雰囲気ではあるが、演劇には熱心なようである。

マーゴは、イヴに身の回りの世話などの助手をさせることにした。イヴは一生懸命に仕事をした。

そしてその陰でイヴは、不正な情報で周りをだましたり、汚いことをして、自分の地歩を固めて行った。

ついにイヴにはアメリカ演劇界最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞が与えられた。

授賞式が終わった夜。フィービー(バーバラ・ベイツ)という女性が訪ねてきた。おとなしそうであるが演劇が好きなようである。「何でもやります。手伝わせてください」と頼んだ。
 


(1953)旅をする女/Wicked Woman

出演はビヴァリー・マイケルズ、リチャード・イーガン、イブリン・スコットなど。

ビリー(ビヴァリー)は長距離バスである町に来た。新しい町で新しい生活を始めたい。持ち物はスーツケースだけ。

レストランでウェイトレスとして働き始めた。

しばらくして経営者のマット(リチャード)と親しくなった。二人はレストランを売ってメキシコに行く計画を立てる。しかし所有者は実はマットの妻ドラ(イブリン)である。

しかし同じアパートのチャーリーに計画を聞かれた。チャーリーはビリーを脅した。

ビリーはドラの真似をして契約書にサインした。うまく行ったかに見えた。

チャーリーが来てビリーに抱き着いた。ビリーは弱みを握られているので、じっとしていた。

そこにマットが入ってきた。当然マットは誤解する。マットはビリーを殴り倒して出て行った。

計画が失敗したビリーはチャーリーやアパートの人に当たり散らした。

ビリーは長距離バスに乗った。新しい町で新しい生活を始めたい。持ち物はスーツケースだけ。
 


(1984)ナチュラル/The Natural

出演はロバート・レッドフォード、グレン・クローズ、キム・ベイシンガーなど。

ロイ・ハブス(大人になったときロバート・レッドフォード)は、子供の時から父親に野球を教えてもらって育った。

大人になって恋人のアイリス・ゲインズ(グレン・クローズ)に別れを告げて、プロ選手を目指して故郷を旅立った。しかし途中で銃撃事件に見舞われて、望みが絶たれた。

15年後、35歳のロイは弱小球団ニューヨーク・ナイツに入団した。いろいろあったが、ロイの活躍でリーグ優勝決定戦となった。

試合にはアイリスと息子(父親はロイ)が応援に来た。試合に勝ってナイツは優勝した。

故郷に帰って息子とキャッチボールをした。

 


■ (次点)(1944)飾窓の女/The Woman in the Window

出演はジョーン・ベネット、エドワード・G・ロビンソンなど。

犯罪心理学の助教授、リチャード・ウォンリー(エドワード・G・ロビンソン)は飲みに行った。一緒にいた知人が帰ったので、酒場で本を読んだ。

本を読み終わって店を出た。店のショウウインドウには女性の肖像画が飾ってあった。それを見ていると、まさにモデルの女性が現れた。アリス・リード(ジョーン・ベネット)。

アリスと話して意気投合し、アリスのアパートに行った。しかし男が乱入してきて殴りかかったので、アリスが渡したハサミで殺してしまった。

その後いろいろ展開があってリチャードは毒を飲んで自殺した。こうなったところで、目が覚めた。酒場の中で本を読んでいたところで、眠ってしまったもの。

目が覚めたリチャードは店を出た。ショウウインドウに飾ってある女性の肖像画を見た。女性が近づいてきた。

しかしこの女性はアリスではなく別の女性。二度目に近づいてくる女性がアリスであれは、完璧な末尾再帰となっている。
 


 

 


 

 

ナチュラル/The Natural(1984)

悪魔の往く町/NIGHTMARE ALLEY(1947)

イヴのすべて/All About Eve(1950)

飾窓の女/THE WOMAN IN THE WINDOW(1944)

(1953)旅をする女/Wicked Woman